駐在員・事務局員日記

ミャンマー(ビルマ)のお正月

2011年05月24日  ミャンマー
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執筆者

元ミャンマー(ビルマ)事務所駐在
久保田 和美

2009年8月よりミャンマー(ビルマ)駐在。イギリスの大学院で開発学と教育学を学んだ後、在外公館にて勤務。その後、難民を助ける会へ。(東京都出身)

記事掲載時のプロフィールです

多民族国家のミャンマー(ビルマ)では、町を歩く人の顔つきも宗教も多彩です。そんなこの国のお正月は、年に何度も訪れます。国際的に使用されている西暦の正月(1月1日)、毎年日付が変わる中国暦の正月とミャンマー(ビルマ)のカレン民族の正月などがあります。中でも盛大にお祝いするのが、人口の8割以上を占める、ビルマ民族やヤカイン民族などに多い上座部仏教徒の正月(4月)です。

水をかけ合い、「汚れ」を落とす

舞台から水をかける人々

宗派を超えて全国民が参加する水かけ祭り。毎年盛大に行われます

皆さんは大晦日、何をしますか?仏教の信仰が深く根付いた生活を送るミャンマー(ビルマ)では、仏教徒による正月の大晦日前の数日間、自分の心の大掃除をします。
お隣のタ イでも有名な水かけ祭りが、その儀式です。仏教徒でなくても参加できる、国を挙げてのお祭りです。大規模な水かけ用の舞台が設置され、1年で最も暑い4月の太陽に負けないくらい、たくさんの水をかけ合います。暑さを吹き飛ばすため、そして新年を迎える前に心の「汚れ」を落とすため、みんな真剣です。もう一つの心の掃除方法が、「瞑想」です。正月前の数日間、僧院で瞑想しながら、静かに心を落ち着かせて、新年を迎える準備をする人もいます。

新年を迎え、被災者たちも新しい一歩を

被災者に配る種もみを選ぶ難民を助ける会のスタッフたち

田植えはサイクロンの被災から立ち上がる大事な一歩。種もみを選ぶ目も真剣です

仏教徒の正月は、田植えの時期でもあります。サイクロン・ギリ被災者への緊急支援を実施しているヤカイン州にも、田植えの時期がやってきました。2010年10月の被災後、苦しい生活の中で、村人たちは一生懸命に田んぼの土手を修復しました。その田んぼで、皆さまのあたたかいご支援が、新しい生活を始める第一歩となる米の種もみとなって撒かれます。実り多き収穫の秋となるよう、祈っています。

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