駐在員・事務局員日記

スーダン:さよならはソーセージの味

2015年11月27日  スーダン
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執筆者

スーダン事務所
小田 佳世

小学生のころから国際協力に関心を持ち、高校でアメリカに1年間留学、大学時代はカナダで政治学・比較文化学を学ぶ。総合商社に勤務した後、2014年3月よりAARへ。東京事務局でのアフガニスタン事業担当などを経て、2014年10月よりスーダン駐在員

記事掲載時のプロフィールです

AAR Japan[難民を助ける会]は2006年よりスーダンで地雷対策活動を行っています。スーダンでは首都ハルツームと東部カッサラ州の2ヵ所に事務所を置いています。2012年からは東部カッサラ州で地雷回避教育を実施していましたが、この10月をもって一旦終了することになりました。そこで、これまでカッサラでAARとともに活動した協力団体やカッサラ事務所を去る6名の現地スタッフに感謝の意を表すため、カッサラ市郊外の果樹園でピクニックを企画しました。なお、スーダンでの地雷対策事業は、来年以降また再開する予定です。スーダン事務所駐在員の小田佳世がお伝えします。

お祝いには羊の屠殺がつきもの

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スーダンのお祝い事には羊が欠かせません(2015年10月28日)

イスラム教の国スーダンで一番の祝日は、「イード・アル・アドハー(犠牲祭)」という、預言者イブラヒムが愛息イシュマエルを進んで神への犠牲として捧げたことを記念する日です。イブラヒムが愛息に刃を振り下ろす前に、神が天使を遣わし、「イブラヒムの犠牲(忠誠心)は既に神に受け入れられた」と伝えたため、イブラヒムは愛息ではなく羊を神に生贄として捧げたと言われています。この言い伝えに習い、イスラム教徒の人々は、毎年犠牲祭になると、羊、山羊、牛、ラクダなどの動物を、神に祈りを捧げて屠殺し、貧しい人や親族、友人と肉を分けてお祝いします。スーダンでは、肉の中でも価格が最も安い羊を食べるのが一般的です。今回のピクニックでも羊肉料理を作ることにしました。

どんなときでも甘いお茶

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作業が遅れていてもティータイムはしっかり取ります(2015年10月29日)

当日は14時開始のピクニックに料理を間に合わせるため、朝からスタッフ一同大忙しです。買い物をしたり、羊の下ごしらえをしたり、サラダを作ったり。でも、どんなときでも休憩して砂糖のたっぷり入った甘い紅茶を飲むことは忘れません。スーダン人はあまり時間を気にしないので、招待客も遅れて来るのは間違いないと思いつつ、紅茶を飲む現地スタッフの横で私は一人で焦りを隠しきれません。

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羊肉のソーセージは絶品です(2015年10月29日)

「準備が終わってから休憩すれば良いのに...。」とブツブツ言う私を尻目に、休憩を終えた現地スタッフたちは、慣れた様子でまた料理を作っていきます。羊肉のスープ、羊肉の石焼き、羊のソーセージ、羊レバーの煮込み、サラダ、パン、果物...。羊のフルコースです。羊のソーセージは腸を丁寧に洗い、湯引きをして、ハーブを混ぜた肉を手で詰めて作っていきます。14時半に最初の招待客が到着するまでには、何とか準備を終えることができました。

スーダン流のおもてなし

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羊づくしのおもてなし料理。どれも大好評でした(2015年10月29日)

当初想定していた通り、招待客が揃ったのは招待状に記載した開始時間を1時間以上過ぎた15時15分。ようやくピクニックの始まりです。スーダンの人々はお客をもてなす気持ちが強いため、AARの現地スタッフはご馳走に手を付けず、20数名の招待客に先に料理を振る舞います。皆、「とても美味しい」と大満足。おもてなしをする現地スタッフも嬉しそうです。ゆっくりティータイムを取るスタッフに焦りもしましたが、招待客に喜んでもらうことができ、私もほっとしました。

手作りの感謝状

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手作りの感謝状を一人ひとりに手渡しました(2015年10月29日)

皆がご飯を食べ終わったら、感謝状の贈呈式です。スーダン事務所代表代行の宇治川からスーダン政府、スーダン地雷対策センター、現地NGO、ラジオ局から参加してくれた招待客に感謝状を手渡します。皆、口々にこれからもAARの活動を応援していくと約束してくれました。

次に、私から退職する現地スタッフに感謝状を手渡しました。感謝状はAARハルツーム事務所の現地スタッフの手作りで、スーダン事務所全員分の写真が載っています。どれも写真映りに拘るスーダン人スタッフが「良い写真!」と絶賛するベストショットです。感謝状を一人ひとりに渡していくと、その人とのいろいろな思い出が鮮明に蘇ってきました。台所は綺麗に使うよう口うるさく注意したこと、アラビア語を教えてもらったこと、毎日一緒にお茶を飲んだこと...。英語を話せないスタッフが多いスーダン事務所に駐在するため、アラビア語を話せない私が日本を出発したのが、ちょうど1年前の10月29日。それから約1年間、お互いの持てるコミュニケーション能力をフルに活用してともに働いてきた現地スタッフとの別れに、涙が出そうになりました。

何よりも嬉しかったのは、現地NGOの代表に「君はよく働くスタッフを持って幸せだね。スタッフも『AARで働けて嬉しかった、また機会があればぜひAARで働きたい』と言っていたよ」と言われたことです。彼の言葉で、現地スタッフ自ら国を盛り立てていけるように応援していこう、と私自身の使命を再認識することができました。

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待ちに待ったご馳走。文化的・宗教的な理由から、男性と女性は別れてご飯を食べます。右は筆者(2015年10月29日)

感謝状贈呈が終わり、招待客を見送った後、AARスタッフと私もやっとご馳走にありつきました。特に美味しかったのが羊のソーセージ。この1年間、スーダンで何度も羊肉を食べてきましたが、この日に皆で食べたソーセージは、それまで食べたどの羊料理よりも美味しく感じました。

スーダンには未だ紛争が続く危険地域がいくつも存在するほか、水不足、地雷、劣悪な衛生環境、難民問題、貧困などさまざまな課題を抱えています。またいつか、皆で「良い仕事ができたね」と美味しいソーセージが食べられるように、私たちは現地スタッフと力を合わせて、引き続きスーダンでの支援活動を行っていきます。

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