駐在員・事務局員日記

理事長ブログ第33回「バングラデシュの衝撃」

2016年07月04日  理事長ブログ
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執筆者

長 有紀枝

2008年7月よりAAR理事長。2009年4月より立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授。2010年4月より立教大学社会学部教授(茨城県出身)

記事掲載時のプロフィールです

AAR理事長、長有紀枝のブログです。

 トルコ・イスタンブールのアタチュルク国際空港を狙ったテロ事件の衝撃も収まらぬ中、ODAやNGOによる国際協力のみならず、ビジネス界の進出も目覚ましいバングラデシュで、衝撃的としかいいようのない事件が起きました。
 犠牲になられた方々、ご家族や友人、所属企業やJICAはじめ、関係者の皆さまに心からお悔やみと、お見舞いを申し上げます。
 バングラデシュ治安部隊の突入以前に、鋭利な刃物で殺害されていたとされる犠牲者の方々。味あわれた恐怖はいかばかりかと、内臓を素手でつかまれるような、重い鉛のかたまりを飲み込んだような、いたたまれない思いがします。ご無念な胸の内は、はかり知ることさえできませんが、心よりご冥福をお祈りいたします。

 バングラデシュはといえば、「アワミ連盟」と「BNP(バングラデシュ民族主義党)」という二大政党の対立による政治の不安定さや圧倒的な貧困と裏腹に、あるいはそれ故に、欧米のNGOにも勝るとも劣らぬ存在感と規模を誇る世界有数のNGO、BRAC(「バングラデシュ農村向上委員会」)やノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行など活発な市民社会の存在でも知られる国です。インドやパキスタン、エチオピアと並び国連PKOへの最大派兵国の一つでもありますが、JICA関係者のみならず、日本のNGOや研究者の方々も活発な活動を行っている国です。

 そのような国で起きた事件。こちらがどのような認識でいようと、「敵」か「味方」かという対立の図式でのみ区別される極端な世界が地球規模で広がり続けているかのようです。そんな不安な時代、そのような波に飲み込まれないために、私たち一人ひとりが日常生活でとれる対抗策は、あらゆる場所で、またあらゆる次元で、多様性を認め、その多様性を尊重し続けることであるように思います。

 昨今の世界的な治安の悪化によって、紛争地や危険地における緊急人道支援のみならず開発も含めた、国際協力の空間そのものが狭められ続けています。
 究極的に、身を守るには国内に留まるしかない、という極論に陥らずないためにも、私たちAAR Japan[難民を助ける会]でも、安全管理、危機管理に一層の注意を払ってまいりたいと思います。

 【追記】バングラデシュに続いて、3日にはイラクのバグダッドでも市内の繁華街で市民を標的にしたテロが発生しました。100人を大きく超える犠牲者の方の数が増え続けています。現地の方々の衝撃は計り知れません。
 トルコで、バングラデシュで、そしてイラクで、犠牲になられた方々を悼み、謹んで哀悼の意をささげます。
(2016年7月4日)

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