活動詳細(ラオス)

ラオスにおける車いす製造・配付事業を通した障がい者自立支援

ラオス

AAR Japan[難民を助ける会]では、ラオスの首都ビエンチャンの国立リハビリテーションセンター内で、国際協力機構(JICA)と連携し、車いすの製造と配付の支援を行っています。

ラオスの障がい者が抱える問題

ラオスの地図

ラオスの地図

東南アジアの内陸に位置するラオスは、国土の約80%を山が占めています。このため道路、通信など基本的なインフラ整備が不十分で、開発途上国の中でも特に貧しい国の一つでもあります。

農家が人口の約70%を占めているラオスでは、教育や医療などに従事する人材が充分に確保されておらず、水準も低い状態です。海外からの支援も入っていますが、交通事情の悪さもあり、支援が充分に行き届かない状態です。

ラオスの障がい者は約7万人(2005年、国勢調査)といわれています。しかし、障がいの定義や、障がい者の権利などが法律で明確に定められていないこの国では、多くの障がいを持つ人々が、適切な支援を受けるのが難しい状況にあります。特に山間部では“障がいを持つことは恥ずかしいこと”という考え方や、“忙しくて障がいのある家族を世話する時間がない”などの理由で、通学や労働の機会はおろか、外出の機会も与えられず、一日中家の中で過ごしている障がい者が大勢います。

ラオスで作った車いすをラオスの人たちへ

車いすを製造する工房スタッフ

車いすを製造する工房スタッフ

このような状況を打開し、障がい者が社会に参加する機会を増やすため、AARでは2000年から国際協力機構(JICA)の支援を得て、ラオス国立リハビリテーションセンター内の車いす工房の再建と、車いすの製造、配付を強化する活動を行ってきました。

車いすは、利用者一人ひとりの状態に適したものを製造することがとても重要です。体の寸法だけではなく、障がいの状態や、どのような機能が残っているかなどについて正確に把握し、車いすをどこで使用するのか(屋内か、未舗装の路上なのか)など、様々な点を考慮する必要があります。

配付するときも、ラオス人理学療法士が利用者の状態に合わせて最終的な調整行うことによって、できるだけ利用者の状態や生活に適した車いすを配付してきました。体や用途に合わないものでは、せっかく受け取っても利用できませんし、無理に使うことで、より障がいを悪化させてしまうこともあります。

リハビリテーションの専門家である理学療法士/作業療法士が、利用者の状態を確認して寸法を測り、その結果を元に、工房技師が車いすを作ります。10人ほどの工房技師のうち約半数は障がいを持つ人たちです。障がい者を雇用することにより、就職の機会を増やすと同時に、車いすの乗り心地など使用者ならではの観点を製作に反映させることができます。

利用者からの指摘は非常に大切です。指摘がなければ、体に無理な負担をかけていることや、改善点に気付かないことがあります。利用者からの声を集めることは今後の課題の一つです。

現在では、生産台数が増えただけでなく、比較的長距離を移動するための手漕ぎ三輪車など、車いす以外にも利用者の要望に応えた製品を製造できるようになってきました。配付地域もラオスの中心部から、ラオス全土へと、着実にその範囲を広げています。

車いすで広がる生活

手漕ぎ三輪車の利用者

手漕ぎ三輪車の利用者。未舗装の路上で使用する人も多い

車いすや手漕ぎ三輪車を受け取ることによって、利用者の活動範囲は大きく広がりました。移動手段がなかったため、学校へ行けなかった子どもたちが、学校へ行けるようになりました。家族が農作業に忙しく、日中は家に置き去りにされていた子どもたちが、一緒に畑まで行けるようになりました。車いすバスケットという新しい趣味を手に入れた人もいます。子どもをおぶって外出していた家族の負担も減りました。そして何よりも、今までほとんど体験することができなかった外の世界に向かう彼らの顔は、笑顔で溢れています。

しかし、解決しなければならない課題も数多くあります。車いすの採寸は難しく、現地の専門家でさえ正確な測定ができないことがあります。舗装されていない道路で使う機会が多いため壊れやすい車いすを、修理する施設や技術が不足しています。一人ひとりの状態や生活に合わせた車いすの製造もまだ始まったばかりです。

また、車いすや障がいに対する家族の知識や理解も不十分なため、外出することの重要性が理解されないこともあります。

子ども用、悪路用など、利用者の要望に応えるために

車いすを受け取り喜ぶ男の子と家族

車いすを受け取り喜ぶ男の子と家族

現在、この車いす製造・配付支援事業は、2008年6月から2011年までの、JICAの草の根事業(パートナー型)として行っています。今後は、これまでの課題であった、悪路でも壊れにくい車いす作り、壊れた車いすを修理できる人材や環境の整備、ラオス人による事業運営、車イス配布地域の更なる拡大、そして脳性まひの子ども用、悪路用など、一人ひとりの生活環境や目的にあった車いすの製造、などを更に進めてまいります。

今後も、車いす製造・配付を通してラオスにおける障がい者の社会参加を支援していきます。

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