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ラオス・ミャンマー事業視察報告 「懸命に生きる障害者からもらった勇気」

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9月20日~27日にかけて、難民を助ける会の加藤タキ副理事長が、ラオスとミャンマー(ビルマ)を訪問しました。ラオスでは車イスの製造・配布支援事業、ミャンマーでは障害者のための職業訓練校や、昨年5月のサイクロン被災者の復興支援事業を視察。10月30日に難民を助ける会の事務所で視察報告会を行い、参加者は熱心に聞き入りました。以下は、報告会当日の話をまとめたものです。

新しい夢を生む車イス

トゥックさんと加藤タキ

トゥックさん(左)が施設で学んだ技術で作ってくれた写真立てを手に

難民を助ける会は2000年から、ラオス国立リハビリテーションセンター内の車イス工房を支援しています。ラオスで唯一のこの工房では、月に約40台の車イスを製造しています。

今回私は、この工房で作られた車イスを使用している3名の方々を訪問し、お話を伺いました。そのうちの一人、トゥックさんは30歳の女性です。事故の怪我がもとで座った姿勢でいることが難しい彼女は、腹這いの姿勢で移動できるよう、車イスといっても車輪のついたベッドのような形のものを使っています。

トゥックさんは今、障害者の女性が仕事に就けるようにコンピュータや織物などの技術を学ぶ施設に通い、ノートやカードなどの紙製品を作るコースで学んでいます。私が訪問することを心待ちにしてくれていたそうで、プレゼントにと、素敵な写真立てを作って待っていてくれました。トゥックさんの障害はとても重いと思いますが、彼女は本当にニコニコしていて、「次は英語やコンピュータの勉強もしたい」と、とても前向きです。もし私が立って歩くことがかなわず、それどころか座ることもできなかったら、一体どういう心が育っていたでしょうか。力強く生きる彼女の姿を見ていると、車イスというのは、単なる移動の手段ではなく、使う人の可能性を広げ、新しい夢を持たせる力があるのだな、それが難民を助ける会が行っている支援活動なんだと、改めて思いました。

一人ひとりの生活が確実に変わっています

ミン・カント君と

素敵な笑顔を見せてくれたミン・カント君。姉(奥・15歳)、妹(右・8歳)とともに

ミャンマーで印象的だったのは、難民を助ける会が支援を継続しているサイクロンの被災地域での出会いです。また、障害のある人もない人も共にその地域社会で生活できるようにするための、地域に根ざしたリハビリテーション(CBR: Community-Based Rehabilitation)事業の活動地域に住む子どもたちが心に残りました。

サイクロン被災地域であるヤンゴンのインセイン地区。住民の多くが低所得者で、障害者も多く住んでいます。私たちが会ったミン・カント君は11歳で、先天性の脳性マヒをわずらっています。重度の障害で一時は寝たきりでしたが、難民を助ける会の支援によるリハビリ訓練の成果もあり、体調が安定してきています。彼の笑顔が、本当に素敵でした。私たちの訪問が嬉しくて仕方がない様子で、体をいっぱい動かして喜んでくれました。お姉ちゃんと妹が、一生懸命彼のことを気に掛けている様子に、心が温かくなりました。

ミン・カント君の他に、難民を助ける会が支援している障害児2人の自宅も訪問しました。現地スタッフの指導のもと、お父さんもリハビリを覚え、その成果で立てるようになった子、当会が進めている学校のバリアフリー化によって学校に行けるようになった子。日本の皆さまのご支援が、こうして障害児一人ひとりの生活を確実に改善していると実感、改めて皆さまに感謝します。

必要な支援が確実に届いていることを実感

スロープを設置した建物

スロープの設置など施設の改善も、障害者の社会参加を促す取り組みのひとつです

ひとつ、決して忘れてはならないことがあります。私が訪問した地域では、家の前が水溜りやぬかるみになっていて、家に出入りするには、水溜まりに置いた石や木の板を渡って出入りしなければならないところがほとんどでした。そうした家を訪問したとき、足に障害があるため松葉杖を使用している難民を助ける会の現地スタッフが、木の板の上を渡るときバランスを崩して、水溜まりに落ちてしまいました。深い水溜まりで胸まで浸かってしまったのですが、私はとっさに何もすることができませんでした。このことがどうしても忘れられません。私たちは日頃、障害を持つ方が感じるような苦労をすることなく過ごしているけれども、こうした苦労をしている方々が大勢いることを想像しなければいけないと、強く思いました。

難民を助ける会では、障害者が表に出ることもままならないこうした家の状況を改善する活動を行い、これまで21軒の家に、玄関から道までのスロープを設置しています。

想像することの大切さを伝えたい

脳性マヒによりほとんど話すこともできませんが、車イスで外に出られるようになり、生活の幅が広がったそうです

ラオスで、難民を助ける会が3年前に車イスを提供したブンチャン君(9歳)を訪問しました

私は今回の9日間で、これまでの64年間の人生でかつてないほど、障害を持つ人々に出会いました。どの方も、とても一生懸命生きていて、どの方からも元気や勇気をたくさんもらいました。一方で、もし自分が目の前にいるこの方と同じ境遇だったら、どんな感情を持ちながら毎日を過ごすのだろう、と考えさせられました。そして自分が今まで、普段そういうことを考えずに過ごしていたことを思い知りました。

今回視察に行った私の務めは、私の見たことを多くの方にお話しして、皆さんにアジアやアフリカで障害をもって生きている人々のことを時々、想像していただくことです。今回はラオスとミャンマーを訪問しましたが、海外の他の地域にも、同じように障害を持つ人々がたくさんいるはずです。こうした人々のことを想像すること、心を寄せることが大事なのではないでしょうか。

日本でも格差社会といわれ、経済的に厳しい状況にある人々もたくさんいます。しかし世界の中で見れば、日本は"平和"です。その日本で生活できているのですから、自分がどんな苦労をしても、やはり頑張らなくてはと思います。私はこれからの人生をますます真剣に生きていきたいと、強く、強く思いました。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

 副理事長 加藤 タキ

国際的ショービジネス・コーディネーターの草分け。TVコメンテーター、各種委員、著述など幅広く活躍。自立した知的なライフスタイルが多くの女性に支持されている。難民を助ける会の設立当初から故・相馬前会長のよき協力者であった母、故・加藤シヅエの意志を受け継ぎ、2005年より難民を助ける会の副理事長に就任。

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