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東日本大震災:安心して在宅ケアを続けられるように

2012年12月20日  日本緊急支援
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障害のある子どもたちに、発電機や足踏み式たん吸引機をお届けしています

たん吸引機器をお届けした戸塚暢さんとお母さん

「電気がなくても使えるのでとても安心です」。たん吸引器をお届けした戸塚暢さんとお母さん(2012年9月12日)

人工呼吸器やたん吸引器を使って自宅で生活している障害者にとって、停電は命に関わる問題です。東日本大震災発生時には多くの地域が停電になり、大勢の方々が、発電機を備えた病院に駆け込んだり、車のバッテリーを使うなどして命を繋ぎました。AARは、そうした方々が安心して在宅ケアを続けられるよう、障害のある子どもたちがいる世帯に、電気がなくても使える足踏み式たん吸引器や家庭用発電機を配付しています。

配付は医療施設を通じて行っています。9月12日、障害児の療育施設である宮城県拓桃医療療育センター(宮城県仙台市)で、脳性まひによる重度の身体障害のある戸塚暢(のぼる)さん(16歳)に、足踏み式のたん吸引器をお届けしました。戸塚さんのお母さんは、「震災後は1週間停電が続きましたが、近くの病院にも受け入れてもらえませんでした。この吸引器は電気が必要ないので、震災時の備えとしてだけでなく移動や通院の際にも使えてとても安心です」と話してくださいました。

田中総一郎医師と仙台事務所の大高いずみ

拓桃医療養育センターにたん吸引器をお届け。配付にご協力くださっている同センターの田中総一郎医師(右)。左は仙台事務所の大高いずみ(2012年9月12日)

配付にご協力くださっている田中総一郎医師(東北大学小児科)は、「震災当初は、家庭用の呼吸器などに備えてあるバッテリーの充電もままならず、病院ともすぐに連絡がとれない状況でした。障害児を自宅でケアしている方々には、電気を必要としない機器や発電機を備えるほか、医薬品の常備や地域との連携など、災害に備えて実施してほしいことがたくさんあります。機器のお届けとともに、そのことも多くの方々に伝えていきたい」と話しています。

AARは2011年10月から2012年11月までに、岩手・宮城・福島の3県で、202台の発電機と282台の足踏み式たん吸引器をお届けしています。

※この活動は皆さまからのご寄付のほか、action medeor(Germany)の助成、及びソフトバンクモバイル「かんたん募金」の支援を受けて実施しています。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

仙台事務所 大高 いずみ

専門学校卒業後、民間企業で勤務。仙台で東日本大震災を経験し、被災者支援に関わりたいと2011年6月からAAR仙台事務所へ。

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