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フィリピン台風緊急支援:一番必要な「家」の建て直しを支援しています

2014年03月18日  フィリピン緊急支援
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2013年11月8日、猛烈な台風30号に襲われたフィリピン。この台風により被災した方は1,600万人以上、全壊または一部が破損した家屋の数は114万棟以上に上ります。AAR Japan[難民を助ける会]は支援の手が届きにくい障がい者世帯を中心に、調査と物資の配付を進めています。いまだその爪痕が深いレイテ島タクロバンに出張した、東京事務局の広谷樹里からの報告です。

廃材、がれきが散乱したままの街

テントが立ち並ぶ沿岸部

テントが立ち並ぶ沿岸部。元々あった家屋はほとんど流されてしまいました(2014年2月7日)

前回の出張から約1ヵ月半、2月初めにタクロバンの空港に降り立ちました。被災後早々に、空港機能自体は再開し支援物資の受け入れが始まっていましたが、いまだにターミナルビルの屋根の一部は破損したまま、荷物のターンテーブルも動いておらず、全て人の手で荷物チェックなどが行われています。

タクロバン中心街に向かう車中からの景色も、12月下旬に見た光景とあまり大きく変わらず、倒れた木やがれきがいたるところに散乱しています。台風により家屋が半壊・全壊した世帯では、自分たちの手で廃材などを利用してなんとか家を建て直そうとしていました。フィリピン政府も仮設住宅の建設を進めていますが、沿岸部ではいまだテントとビニールシートで応急処置しただけの家々が、見渡す限りに建ち並んでいます。

家屋の修繕資材の配付を進めています

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AARが支援している住宅再建キット。もともと簡単な作りの家が多く、工具と資材さえあれば住民の方々の手で家を直すことができます

AARは12月より、タクロバンとそのすぐ南のパロで、被災した障がい者世帯を一軒一軒訪問し、食料を配付しながら被災状況の調査を行ってきました。その後、フィリピン政府や他の団体からの支援状況も調べたうえで、必要とされている家庭に、家屋の修繕資材を配付しています。内容は、屋根用のトタン板6枚、壁材の合板4枚、柱用の木材(ココヤシ)8本、そして釘やのこぎり、金づちといった工具です。

沿岸部の被災状況

沿岸部の地域。屋根として使われていたトタン板や、ばらばらになった家の残骸が積み上がっています(2014年2月13日)

「NO BUILD ZONE」の看板

海岸線から40m以内は、「NO BUILD ZONE(再建禁止区域)」と指定され、看板が提げられています(2014年2月13日)

ロデリト・ノウェラスさんとAAR東京事務局の広谷樹里

ロデリト・ノウェラスさんに資材をお渡ししました。右は東京事務局の広谷樹里(2014年2月13日)

2月13日、タクロバン市内の沿岸部地域で34世帯に修繕資材を配付しました。

資材をお渡しした一人、ロデリト・ノウェラスさん(49歳)は2000年に列車事故で右手を失いました。台風が上陸した日は避難所には行かず、妻と6人の子どもたちとともに自宅に留まりました。屋根が吹き飛ばされてしまいましたが、幸い家族全員無事でした。以前は市場で魚を売って生計を立てていましたが、台風後、タクロバン周辺では魚がとれなくなってしまったため、失業中だと言います。

次の一歩を踏み出せる支援を

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タクロバンにて、笑顔で資材を受け取る被災者の方(2014年2月24日)

AARは3月17日までに、セブ州北部とレイテ州の990世帯に家屋の修繕資材を配付しました。食料や生活物資は政府や他の支援団体からの支援があり、ある程度手に入るようになってきましたが、「家を建て直すための資材を届けてくれたのはAARがはじめて」と喜ばれます。被害の大きかったタクロバンやその周辺では、台風から4ヵ月が経った今も、多くの方が破損したままの家での生活を強いられています。AARでは引き続き、障がい者の方の戸別調査を続けるとともに、被災した方々が生活を立て直し、次の一歩を踏み出せるよう、家屋の修繕資材の配付を進めていきます。皆さまのあたたかいご支援を、よろしくお願いいたします。

※この活動は、皆さまからのあたたかいご寄付に加え、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成を受けて実施しています

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局 広谷 樹里

大学卒業後、アフリカのケニアでNGOのインターンとして活動。企業勤務を経て2009年よりAARへ。広報担当、2009年9月のフィリピン台風緊急支援、パキスタン事業担当、南スーダン駐在などを経て、現在は東京事務局でフィリピン緊急支援事業に携わる(神奈川県出身)

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