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フィリピン台風:災害に強い家を自分たちの手で

2014年08月13日  フィリピン緊急支援
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2013年11月8日にフィリピンを襲った台風30号(現地名ヨランダ)。AARは緊急支援チームを現地に派遣し、活動を続けています。

2,224世帯に家屋補修資材を配付

フィリピンでは、今回の台風で約114万戸が全壊または半壊しました。被災者は吹き飛ばされた屋根部分をビニールシートで覆ったり、全壊した家の周辺でテント暮らしをするなど、不自由な生活を強いられていました。そこでAARは、2013年12月中旬からトタン板や釘など家屋補修用の資材をセットにし、障がい者がいる家庭を中心に、合計2,224世帯(約1万1千人)に届けました。

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「支援をありがとう。学んだ技術を地域住民へ伝えるよ」。災害に強い家づくりの講習会に参加した大工たちとAARの船越雄太(右端、2014年4月30日)

講義と実技で、家作りを学ぶ

フィリピンでは、十分な訓練を受けないまま家の建築や修繕を行う大工が多くいます。また、大工を雇う余裕のない人々は自力で家屋の修繕を行うしかありません。そこでAARは、資材を配付するだけでなく、災害に強い家の構造を学ぶ講義と、小型の模型を使用した補強技術の実技講習会を、大工と住民の両方に実施しました。初回の講習会はタクロバン市北部の2つの村から総勢40人の大工が参加。次の講習会では、初回に参加した大工たちが地域住民へ無料で教えました。

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災害に強い家の構造について、建築の技術者から学ぶ大工たち(2014年4月30日、タクロバン市)

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どこを補強すると家が倒れにくいかなどを模型で確認し、実際の工事に活かします(2014年5月19日、タクロバン市)

「自力で家を建て直します」

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台風で家が全壊したリチャード・ビンコさん。自宅跡にて(2014年6月19日)

タクロバン市サント・ニーニョ村に住むリチャード・ビンコさんは、台風により家が全壊してしまいました。しかし、AARが配付した家屋補修資材を使い、AARの講習会で学んだ知識を活かして、これから家を再建します。「大工を雇う経済的な余裕はないので自力で作ります。講習会に参加したので、より安全で強い家を作る自信がつきました」と、語ってくれました。

AARは、未だに支援が受けられない多くの方々のため、今後も家屋補修資材の配付と、講習会の開催を行ってまいります。

※この活動は、皆さまからのあたたかいご支援に加え、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成を受けて実施しました。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

フィリピン事務所 船越 雄太

2014年1月から7月までフィリピン事務所駐在。大学卒業後、保険会社に5年間勤務。英国の大学院で紛争解決学を学び、帰国後AARへ。「フィリピンでは住民の皆さんから『ユウタ!資材をありがとう。家が完成したから見に来て』と声をかけられ、力をもらいました」。千葉県出身

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