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夏休み子どもイベント「みんなちがうね、でもいっしょだね」を開催しました

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2014年8月20日、東京都千代田区の3331 Arts Chiyodaにて、小学生向けイベント「みんなちがうね、でもいっしょだね ―障がいと国際協力について考えよう― 」を開催しました。 午前と午後の2回開催し、幼稚園生から小学生までの子どもたちとその保護者の皆さま計34名にご参加いただきました。

今回のテーマは、途上国における障がい者支援。障がいは弱みや欠点ではなく、外見や性格と同じく一人ひとりの「違い」であることを理解するとともに、途上国のより困難な状況にある障がい者の現状を知り、子どもたち自身に「自分ができること」を考えてもらうことが目的です。また、今回は頌栄女子学院高等学校の生徒の方々に、イベントの企画・構成から当日の準備、イベントの進行までご協力いただきました。インターンの滝田みのりが、当日の様子をご報告します。

車いすに乗ってみよう

車いす体験

普段歩いているときには気にもしない小さな段差も、車いすに乗っているとひとりの力ではこえられません

坂道で車いす体験

下り坂のときは乗っている人が落ちないように、後ろ向きで下ります。怖くないように声をかけながら進むのが重要です

まず子どもたち全員に実際に車いすに乗ってもらい、普段わたしたちが何気なく通る道も、車いすを利用している方の目にはどのようにうつっているのか、体感してもらいました。初めて車いすを体験した子どもたちからは「おもしろかった」「楽しかった」という感想が出る一方、「小さな段差でも大変だね」「この生活が毎日続いたら疲れちゃうと思う」といった意見も聞かれました。

カンボジアで車いすを使って学校に通うサルーンくんを紹介

プレゼンテーション

「サルーンくんが通うカンボジアの学校では、日本と同じように算数や社会も勉強します」(AARカンボジア事業担当の向井郷美)

次に、途上国の障がい者の実例として、カンボジアで暮らす14歳の男の子、サルーン・チャイナーくんを紹介しました。サルーンくんは7歳のときに事故で下半身不随になり、車いすを使っています。事故の後、長い間学校に通えていませんでしたが、AAR Japan[難民を助ける会]がバリアフリー工事を行ったプラエク・タミア小学校に、昨年から通うようになりました。兄弟や友だちの手を借りながら、他の生徒にまじって勉強し、遊ぶサルーンくんの様子を、写真やビデオで紹介しました。

続いて、「もしサルーンくんがみんなの学校に転校してきたら、一緒に学んだり遊んだりするために、どんな工夫ができるかな?」というテーマでグループワークを行いました。サルーンくんには、言葉や文化の違う外国の子どもであり、また、障がいがあり車いすを使っているという、2つの特徴があります。事前に高校生ボランティアのみなさんが考えた「登下校時」や「給食の時間」などの場面ごとに、サルーンくんと一緒に学校で楽しく生活するためにはどんな工夫や協力ができるか話し合ってもらいました。

子どもたちのグループワークと並行して保護者向けの説明コーナーも設けました。途上国での障がい者を取り巻く厳しい環境や、障がい児教育に対する考え方の世界的な潮流、AARの支援活動などを、カンボジア事業担当の向井郷美が紹介しました。

グループワーク

「言葉が通じないなら絵で描けば伝わる?」「日本のことを教えてあげるかわりに、カンボジアのことも教えてもらえたら楽しい」など、本当にサルーンくんが身近にいるように想像しながらの話し合いが進みます

高校生ボランティア

「文化も言葉もちがう、障がいのある友だちと一緒に学校生活を送るために何ができるか」という難しいテーマですが、高校生が上手に子どもたちの意見を引き出して、まとめていきます

「登下校時」について話し合うグループ

「登下校時」について話し合うグループ。「サルーンくんの住んでいる村ではバスは走ってないけど、日本ならバスで登校するのかな?」 「バスに車いすの人が乗るときに使えるスロープ、見たことある!」という子もいました

子どもたち

今日知り合ったばかりの年齢も違う子どもたちが、一緒になってサルーンくんについて考えてくれました

小さな子もいるグループ

小さな子も頑張って意見を言ってくれました

まとめとしてグループごとに意見を発表。「車いすを自分で動かしてみたら大変だったから、長い道や段差は後ろから押してあげたい」「給食のときは、はしの使い方を教えてあげる。サルーンくんには、カンボジアにどんな食べ物があるのか教えて欲しい」など、違いを活かしながら一緒に楽しく生活するためのいろいろなアイデアが飛び出しました。その後は、アジア各国のお菓子を食べながらサルーンくんにお手紙を書いてもらいました。

最後にAARスタッフから「みんないろいろな違いがあるけれど、必ず共通点があります。それは何でしょう?」と質問したところ、参加してくれたこどもたちは即座に「みんな人間!」と答えてくれました。この当たり前のようでとても大切なことについて、高校生を交えた話し合いを通して考えることができました。

お菓子コーナー

フィリピンのバナナチップスやカンボジアのロータスティーなどを用意しました。「果物の王さま」ドリアンのキャンディーは、少し不思議な香りかな?

物販

カンボジアの民芸品はかわいいと好評。AARのメインキャラクター、うさぎのサニーちゃんグッズもたくさんご購入いただきました

参加された子どもたちと保護者の方々の感想

高校生ボランティアの皆さま

ご協力いただいた頌栄女子学院高等学校の生徒の皆さまと。ありがとうございました!

  • 今日、車いすに乗る体験をして、いつもは何も考えずに通れる段差も車いすだと通れないので、びっくりしました。もし、車いすに乗った人を見かけたら、そういうところで助けたいです。(小6)
  • 車いすにのってる人はさかみちだとこわいってわかった。(小2)
  • 他人の立場になって具体的に考えられる良い機会になったと思います。(保護者)
  • 身体を使ったりみんなで話し合ったりして、子どもたちが自然に理解できる工夫が素晴らしい。(保護者)

本イベントの参加費、チャリティグッズの売り上げから経費をのぞいた純益は、当会の支援活動のために大切に活用させていただきます。猛暑の中お越しいただいた参加者の皆さま、そしてお手伝いいただいた頌栄女子学院高等学校の皆さまに、心から御礼申し上げます。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局 広報インターン 滝田 みのり

現在大学1年生。NPO法人ドットジェイピーの運営する「グローバルインターンシップ」を利用して、2014年8月から9月までAARでインターン。

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