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ザンビア:HIVとともに生きる人を支える

2014年09月25日  ザンビア感染症対策
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HIV陽性者が服薬を継続できるよう支援しています

HIV/エイズと聞くと、死に至る病というイメージを持つ方がいらっしゃるかもしれません。しかし現在ではHIVに感染しても、服薬を毎日欠かさず続けることで、エイズの発症や進行を抑えることができます。AARは2000年より、成人の8人に1人がHIV陽性者と言われているアフリカ南部のザンビア共和国で、HIV感染予防のための啓発活動、両親をエイズで亡くした子どもたちへの就学支援などを行ってきました。2013年1月からは、HIV陽性者が服薬を続け日常生活をおくることができるよう、治療施設の改善や患者の治療を支えるボランティアの育成なども行っています。

エイズについての正しい知識を歌にのせて伝える「エイズ対策クラブ」の活動の様子

AARはザンビアのルサカ州の4つの学校で、生徒たちにHIVの予防を呼び掛ける「エイズ対策クラブ」を設置。クラブのメンバーになった生徒は、HIV/エイズの正しい知識を劇や歌などで楽しくほかの生徒に伝えています(2014年6月15日)

薬を飲み続けることでつなぐ命

診療所の前で

マウントマクル診療所のHIV陽性者専用診療棟で、医療スタッフと駐在員の粟村友美(2014年7月1日)

ザンビアでは、エイズで死に至る人が最も多く、その多くが働き盛りの成人です。エイズはザンビアの経済・社会に深刻な影響を与えています。ザンビアでは国をあげて、国内外のNGOなどと連携しながら、HIVの感染予防とエイズの発症や進行を抑える薬(ARV)による治療に力を注いでいます。この薬は、毎日必ず決まった時間に飲み続ける必要があります。服薬を忘れたり中断してしまうと、ウイルスに耐性ができて薬が効かなくなるため、違う薬を探さなければなりません。薬の種類は限られているため、服薬の中止は命に関わります。

しかしHIV/エイズに対する偏見が根強いため周囲の目を気にして通院できず、薬を手に入れられないまま体調が悪化し亡くなる方や、「今はまだ体調がいいから」と、薬がなくなっても通院しない方がいたりと、服薬治療は簡単なことではありません。

病院の患者受け入れ態勢を整備

パソコンの画面を指さす現地スタッフと駐在員

AARが支援するマウントマクル診療所で、患者名簿のデータベース化に向けて準備をするザンビア事務所スタッフと駐在員の櫻井佑樹(左。2014年5月30日)

そこでAARは以前から活動しているルサカ州で2013年1月より、3つの診療所内に、プライバシーの守られた環境で受診できるようHIV陽性者専用の診療棟を建設しました。また患者の来院履歴を正確に把握し、次回来院のタイミングが一目でわかるようカルテを整理しました。現在はデータベースによる管理もできるよう準備を進めています。

「エイズで大切な人を失う辛さはもう味わいたくない」

ムブンジさん

ボランティアのアルバート・ムブンジさん

同時に、診療日に来院していない患者の家庭を定期的に訪問し、カウンセリングを実施するボランティアを47名育成しました。2014年7月末までに1,300名の患者の家庭訪問を実施。緊急入院が必要な患者を発見し、患者の一命を取りとめたこともあります。

アルバート・ムブンジさん(42歳)は、昨年2月からこのボランティアに参加。「両親と兄弟3人をエイズで亡くし、HIVの克服のために何かしたいと思って参加しました。AARは私たちボランティアにカウンセリング方法などを丁寧に教えてくれるので、自信をもって患者を訪ねることができます。HIV陽性者の中には偏見にさらされ、希望や自尊心を失い、自暴自棄となって服薬を中止してしまう方もいます。今後こうした人々が私たちの働きかけを通じて、服薬をきちんと続け、希望をもって生きられるようになったとき、大きなやりがいを感じると思います」と話してくれました。

現在ボランティアは自発的に週に1回ミーティングを開催、家庭訪問の経験を共有し、より効果的なカウンセリング方法について学び合っています。

AARは、エイズ遺児たちの教育と交流の場となる図書館を作るプロジェクトを開始します。皆さまのご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
エイズで親を失った子どもたちのために図書館を

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

ザンビア事務所 粟村 友美

2013年5月より東京事務局でハイチ事業などを担当し、2014年5月よりザンビア駐在員。大学卒業後、小規模農民支援NGOのインターンとしてマラウイで活動、民間企業を経てAARへ。

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