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ウガンダ:祖国の将来を担う子どもたちのために

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南スーダンで戦闘が激化した昨年7月以降、ウガンダへの難民流入は現在まで続いており、ウガンダ国内に暮らす南スーダン難民は95万人にのぼります(6月7日時点)。昨年8月に開設したユンベ県ビディビディ難民居住地は27万人を受け入れ、ウガンダ国内で最大、世界でも最大規模の難民居住地となりました。ここで、AAR Japan[難民を助ける会]は難民の約60%を占める子どもたちへの教育支援を実施しています。

教育支援の一環で行ったサッカー大会の優勝チーム

教育支援の一環で行ったサッカー大会で優勝チームと記念撮影。前列左から2番目はAAR理事長の長有紀枝、右から順番にAARウガンダ駐在員の吉川剛史、河津志貴保、雨宮知子(2017年3月19日)

帰る目途の立たないなかで...

大人数の生徒で溢れかえる教室

ときには1つの教室で200人近い児童が授業を受けることもあります(2017年3月10日)

AARが活動を開始した昨年9月、教育設備がまったく整っていないなかで、新たに流入する難民の子どもたちに1日でも早く教育の機会を届けることが求められていました。そこで、つくりは簡素なものの約10日間でできあがる、木の柱をビニールシートで覆った仮設教室を作りました。今年5月までに小学校7校に計60教室を建設、仮設トイレの設置や机・椅子の提供、児童への通学かばんの配付なども行い、子どもたちの教育環境を整えてきました。しかし、ウガンダの基準では1つの教室につき児童は53人までとされているのに対し、居住地の小学校では時には200人近い児童が1つの教室にすし詰めになることもあり、教室の数はまったく足りていません(右写真)。

また、ビディビディ居住地開設からもうすぐ1年を迎える今もなお、南スーダン国内の戦闘は収まる気配をみせず、難民の方々の帰還の目途も立っていません。このためAARは、新たに逃れてくる難民の子どもたちへ迅速に教育機会を提供し続けるのに加え、ビディビディのように避難生活が長期化する居住地においては、教室の過密状態を解消するとともに、風雨で傷みの激しい仮設教室からレンガなどを使用したより耐久性の高い構造の校舎への移行を進めていくことにしています。

仮設教室の外を走り回る子どもたち

仮設教室の外を走り回る子どもたち(2017年5月4日)

配付された通学用のリュックを背負って嬉しそうな女子児童(2017年6月8日)

難しいクラス運営...教員たちを支える

教員研修で挨拶をする現地職員のジャスティン(2017年4月7日)

学校は、勉強する場であるだけでなく、子どもたちが保護され、友だちや教員と接するなかで社会性を身に着ける場でもあります。なかでも教員は、子どもたちの価値観や思想などに大きな影響を与える存在です。ビディビディ居住地で働く教員は、ウガンダ国内の教員資格を持ったウガンダ人の教員と、特に言葉の面などを補助するために難民から登用される南スーダン人のクラスルーム・アシスタントで構成されています。特にウガンダ人教員にとっては、国籍も言語も民族も異なる200人もの児童を相手に教鞭を取るという非常に大変な仕事です。言うことを聞かない児童に対し、教員が暴力に頼ってしまうケースもみられます。暴力や体罰は決して適切ではありませんが、言葉も十分に通じない200人の子どもたちの統制を取るのは並大抵のことではありません。トラウマを抱えていたり親を失ったりして心の状態が不安定な児童もいれば、民族の異なる難民の子どもたち同士の喧嘩も起こります。教員免許を持っていても、適切な対処方法がわからずに悩んでいる教員が多くいることを知り、AARは、暴力のないクラス運営、児童への心理社会的サポート、民族間対立の対処などをテーマにした教員向け研修を実施しています(上写真)。

研修参加者に修了証を渡す雨宮(2017年4月8日)

参加した教員からは「クラス運営について新たな知識・スキルを習得できたので実践したい」「同様の研修を今後も続けてほしい」などの感想が聞かれました。今後も研修を受けた教員たちの変化を観察していくとともに、より多くの教員へ研修を開催していきます。

言葉や民族の壁を乗り越える

児童とサッカーボールで遊ぶ雨宮(2017年3月19日)

ビディビディ居住地のなかには多様な民族の南スーダン難民が共存しています。民族が違えば話す言葉も違います。南スーダン国内の戦闘の背景にある民族間の対立に伴う、特定の民族への敵視もあります。そこでAARは、児童同士が言語や民族の違いを超えて互いを理解・尊重し、共存していけるように、スポーツを通じて交流を促す活動を行っています。

この活動では、難民と受け入れ地域のウガンダ人の間の相互理解・交流機会の促進にも力を入れています。受け入れ地域の人々は、基本的に難民の受け入れにとても寛容ですが、受け入れ地域の住民と難民間の諍いも散発的に起きています。ユンベ県ではウガンダ人の人口55万人に対し南スーダン難民が27万人と、全人口の33%を難民が占めるまでになっています。ユンベ県はウガンダ国内でも決して豊かではない、いわゆる未開発地域。人口の急増によって水や木などの資源が逼迫するなか、難民に対する食糧や給水、医療、教育などの支援が集中しているのを見れば、不満が溜まるのも無理はありません。今は平穏ですが、何かのきっかけで爆発する可能性のある火種は常にあります。

サッカー大会では国籍も民族も違う子どもたちが同じチームに(2017年3月19日)

チームカラーのお揃いのユニフォームをまとって試合に臨みました(2017年3月19日)

このような背景から、南スーダン難民の児童とウガンダ人の児童の混成チームを作ってサッカー大会を開催しました(上写真)。試合前に4日間の練習日を設けましたが、初めて会ったときにはお互いよそよそしかった子どもたちが、試合の日には団結し、ゴールを決めて抱き合って喜びあったり、負けてともに涙を流したりする仲間になっていました(下写真)。参加した選手児童からも、「以前は『難民』としか見ていなかったけど、名前で呼び合える友だちができた」「周りの人が難民のことを悪く言っていたけれど、それは間違いだとわかった。彼らはいい人だった」などの声が聞かれました。コーチを務めた教員からも「練習を重ねるごとに民族を超えて団結力やチーム力が高まり、お互いに謝ることや許すことができるようになった」とのコメントがありました。

勝利に喜びを爆発させる子どもたち(2017年3月19日)

連日1,000人が集まり大盛況だった大会。女子の試合には多くの女性の観客が集まりました(2017年3月19日)

また、事前アナウンスをまったくしていないにも関わらず、会場には連日1,000人近い観客が集まりました(右写真)。改めてスポーツが持つ魅力や、民族や言葉の壁を越えて友情や団結を育むスポーツの力を感じました。小さな活動ですが、異なる民族同士が争っている南スーダンから逃れてきた子どもたちが、いつか祖国で民族の違いを超えて理解し合い、平和をつくっていくための一助になればと願ってやみません。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

ウガンダ事務所 雨宮 知子

2017年1月から現職。企業勤務を経て、青年海外協力隊員としてニカラグアで活動後、2012年11月にAARへ。大阪府出身

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