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【東日本大震災から7年】誰もが地域の一員として 暮らせるように

2018年03月02日  日本
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東日本大震災から7年が経とうとしています。震災直後、倒壊した家屋や流出した車などのがれきでおおわれた場所は更地になり、沿岸部の一部はかさ上げされました。現在はそこに復興公営住宅や新しい商店街ができています。被災地の風景は、ときを追って変化しています。復興庁によれば、災害公営住宅や宅地の整備など着実な進捗が見られる一方で、現在も7万5,000人が避難生活を続けており(2018年1月30日現在)、そのうち仮設住宅に約3万5,000人が暮らしています。阪神・淡路大震災では、仮設住宅は震災後5年で閉鎖されたことと比べても、復興に時間を要していることが分かります。

AAR Japan[難民を助ける会]は、震災直後から物資配付や炊き出しなどを行い、その後も障がいのある方や高齢者、子どもたちなど支援が届きにくい方々を主な対象にして支援をしてまいりました。AARが行っている現在の支援について東京事務局の加藤亜季子が報告します。

障がいのある方々への支援に注力

福祉作業所、かたつむりの外観

2017年6月に完成した福祉作業所「かたつむり」(岩手県大船渡市、2017年6月24日)

通っていた施設やその取り引き先が被災するなどして、障がいのある方々の多くが震災後、居場所や仕事を失いました。AARは被災地の障がいのある方々が活動を再開できるよう、事業所の新築や修繕、資機材や車両の提供など、それぞれの施設の状況に沿った支援を実施しています。2014年以降は、事業所の整備に加え、彼らの仕事づくりにも取り組んでいます。

さまざまな色のビーズを、ピンセットを使って整理する利用者の皆さん

福祉作業所「かたつむり」でビーズ整理作業をする利用者の皆さん(岩手県大船渡市、2017年7月5日)

岩手県大船渡市にある福祉作業所「かたつむり」は、津波で作業所が流出し、2011年に初めて訪問したときは、ほかの団体の事務所を間借りして活動していました。その後も、6年にわたり狭い仮設のプレハブで、利用者が肩を寄せ合うようにして、空き缶のリサイクルや地元のお米を使ったお煎餅作りなどの作業を続けていました。AARは送迎用の車両や活動に必要な機材を提供した後、新作業所の建設支援を開始。土地の確保や設計にも関わり、2017年6月に完成しました。利用者の皆さんはそこで元気よく作業に取り組んでいます。私が7月に訪問したときは、特別支援学校を卒業し、通所をはじめたばかりの男性が、「とてもしっかりと作業をしているから、(支援学校の)先生にそうやって伝えてね」と誇らしげに話してくれました。

また、社会福祉法人「ほっと福祉記念会」が運営し、障がいのある方々が働く福島県郡山市の「カフェスイートホット」に対し、AARはその売り上げを伸ばすための支援として、2014年に料理研究家の浜内千波先生を招き、お弁当のメニュー開発を行いました。そのお弁当は現在も人気商品の1つで、同会は昨年もう1軒のカフェをオープンさせました。お客さまに新しいメニューを提供したいとの要望を受け、AARは地元食材を使った中南米風料理などの新メニューの開発支援を行っています。これまで岩手、宮城、福島の3県で271の施設を支援してきました。

子どもたちの安心のために

紫、オレンジ、黄色の花を植える子どもたち

7月に実施した「西会津ワクワク子ども塾」では、西会津町の親子を相馬市へ招き、花壇に花の苗を植えました(2017年7月22日)

原発事故で外遊びの機会が減った福島県の子どもたちに、野外でおもいっきり遊んでもらおうと2012年に開始した「西会津ワクワク子ども塾」は先月、第23回目を開催しました。運動不足やストレス解消などを目的とした1泊2日のプログラムで、福島県相双地域に住む子どもたちとその保護者が参加しています。「子どもたちが元気に遊んでいる姿を見られて本当に嬉しいです」と毎回大好評です。

地域みんなで元気になろうプロジェクト

ボランティアがベットで、村民の方にマッサージをする様子

村民会館で、AARのボランティアによるマッサージを提供しました。住民の方の交流の場にもなっています(福島県双葉郡葛尾村、2017年9月16日)

仮設住宅での支援も続けています。復興公営住宅へ の転居が進む中、仮設住宅にはさまざまな理由で残る方がいます。ご高齢の方が多く、自分だけが残ってしまったという焦燥感にかられる方や、震災前に住んでいたコミュニティとは異なる仮設住宅に暮らしているために今も近隣の人に心を開くことができず、孤独感に苛まれている方もいます。AARはお茶会や理学療法士・作業療法士の資格を持つボランティアによるマッサージの提供など、仮設住宅内での交流を促進するイベントを「日本産業カウンセラー協会」の協力を得て、開催しています。「復興公営住宅に移ったが友人ができず寂しい」といった声も聞こえ、元住民が集まれる同窓会のようなイベントにするなどの工夫をし、これまでに3県で479回実施しました。(2017年12月31日時点)

東京都内に避難している方々への支援を開始

昨年10月に東京都が発表した、都内で避難生活を送る被災者へのアンケート結果※によると、67%の方が避難の長期化により心身に影響を感じているとしつつも、その半数以上の方が都内に住み続ける見通しであると報告しています。また相談相手は誰かという質問に、71.3%が「家族・親戚」、16.5%が「誰もいない」と回答。震災から約7年が経っても避難先の地域に馴染むことができない多くの被災者の姿が浮き彫りになりました。AARも2017年2月より、都内で活動する避難者支援団体を通じて、交流イベントの開催などの支援を開始しています。

※2017年10月11日東京都発表 「平成29年3月末に応急仮設住宅の供与が終了となった福島県からの避難者に対するアンケート調査の結果について」 http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/10/11/13.html

多様化する避難者の生活

困窮しているにも関わらず支援からこぼれおちている人がいるのではないかという懸念から、多くの被災者が避難生活をおくる福島県郡山市で、仮設住宅や地元の支援団体を対象に調査を行いました。その結果、仮設住宅、復興公営住宅、自力で再建した家と、避難者の住まいの多様化にともない、必要な支援も多様化している現状がわかりました。また、高齢の親と無職の子の世帯といった、解決しづらい恒常的な福祉の課題が残されている状況がわかりました。話を聞いた方々の中には、地元に戻ることを夢見ながらも、避難先での生活が長期化することを想定し、今いる環境で安心して、そして地域に溶け込んで暮らし続けることを望んでいる方も多くいました。

被災者の生活や状況が多様化し、また被災者の方があちこちに散らばっていく中、支援はどんどん複雑にそして多様化しています。震災直後に比べると被災者支援に携わる人や団体は減ってきています。AARはこれからも被災地に寄り添って、被災者の方がお住まいの地域で活き活きと暮らすことができるよう丁寧に支援を続けてまいります。
7年間の活動は、皆さまお一人おひとりのご支援に支えられてきました。改めまして心より御礼申し上げます。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局 加藤 亜季子

大学卒業後、民間企業勤務を経て、英国の大学院で社会開発を学ぶ。政府系研究機関、在外公館勤務後、AARへ。2010年4月より東京事務局で主にハイチ事業、ザンビア事業、東北事業を担当。2013年4月から2016年2月まで東北事務所長。東京都出身

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