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トルコ:シリア難民支援 子どもたちの未来を少しでも明るくしたい

2018年03月08日  シリア難民支援トルコ
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紛争が続くシリアから多くの人々が難民として国外に逃れ、トルコで暮らすシリア難民の数も354万人に達しました(トルコ内務省移民管理局2018年3月1日現在の登録者数)。すべての人が難民キャンプに入れるわけではなく、その多くがトルコの街や村で避難生活を送っています。AAR Japan[難民を助ける会]は、2014年にトルコのシャンルウルファ県にコミュニティセンターを開設して以来、リハビリテーションや車いすなどの補助具の提供、法律相談、生計・就労・教育支援など、地域で暮らすシリア難民へのさまざまな支援を行っています。センターで行っている子どもたちへの活動について、トルコ駐在員の五味さおりが報告します。

補習講座や宿題の手伝いを

テーブルを囲んで勉強する子どもたち

センターで勉強する子どもたち(2017年9月)

2017年の秋に発表されたトルコ政府の新しい方針により、シリア難民の子どもたちはトルコの公立校に編入することになり、一時的な教育施設も段階的に閉鎖されることになりました。AARが活動するシャンルウルファでも、9月からトルコの学校に通い始めた子どもたちが多くいます。しかし、授業はトルコ語のため内容がわからず、ついていくことができません。そうした子どもたちのために、コミュニティセンターでは、小学校編入前の未就学児を対象とした幼児教育、小学生を対象にした読み聞かせを介したトルコ語とアラビア語の講座、算数と理科の講座、そして小学生から高校生を対象にした、学校の授業で理解できなかった部分をわかりやすく説明する補習講座を実施しています。 また、親たちもトルコ語がわからず、子どもの宿題を手伝うことが難しいため、補習講座では宿題の支援なども行っています。特に高学年になればなるほど、第二言語で理解するには難解な数学・物理・化学などの科目を学ぶため、それらを復習するための補習講座のコマを増やしました。毎月約180名程度の子どもたちが、これらの講座を受けています。

ホワイトボードに文字を書く少年

一生懸命勉強する子どもたち。学校に通えていない子どもたちにとっては、唯一の教育の場でもあります(2017年11月)

鉛筆を握って文字を書く少年

トルコ語で行われる学校の授業についていくのは簡単ではありません(2017年10月)

子もたちが静かに勉強でき、安心して過ごせる図書室

本棚と机、パソコンが設置してある部屋

2017年10月、コミュニティセンターに図書室を開設しました。ここにはアラビア語とトルコ語の本を置いています。シリア難民の多くが一つの家に数世帯が暮らしており、子どもが静かに勉強できる場所がありません。そんな子どもたちのために、いつでも気軽に立ち寄れ、ゆっくりと本を読み、学校の宿題ができる場を提供しました。使わなくなったAARのオフィスのパソコンも1台置き、授業で必要な調べものができるようにしています。

楽しい思い出をたくさん作ってほしい

笑顔の子どもたち50人と駐在員の五味さおり

普段、外出の機会が少ない子どもたちは大喜び(2017年5月)

センターでは、定期的に音楽会やスポーツ大会などのイベントを実施しています。2017年9月には動物園に計50名の子どもたちを連れていくことができました。イベントの何週間も前から楽しみにしており、当日は誰もがここ一番のおめかしをしてきて、本当に愛くるしかったです。

センターの理科講座で学んだ動物たちの実物を目にし、その日一日、子どもたちは大はしゃぎでした。誰も動物園に行ったことがなかったそうなので、楽しさもひとしおだったと思います。悲しい思いを数多く重ねてきた子どもたちだからこそ、これからはそれを補って余りあるくらいの楽しい思い出をたくさん作っていってほしいと思います。

水辺で元気よく遊ぶ少年たち

ユーフラテス川で川遊びも楽しみました(2017年9月)

ブランコを楽しむセンターの職員と子どもたち

思いっきり笑顔になれる貴重な時間です(2017年9月)

忘れられない笑顔

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センターで笑顔を見せる子どもたちも、さまざまな事情を抱えています

2017年8月にセンターで開催した工作の講座に8歳と10歳の兄弟が来てくれました。話を聞くと、学校に通っていないことがわかりました。裸足で衣服の汚れも目立ちます。ネグレクト(育児放棄)が疑われたためすぐに家庭訪問をしたところ、近くの一軒家に4家族で住んでいることがわかりました。母親はシリアの紛争で亡くなり、父親はアルコール中毒になり働いていません。満足な食事も摂れていないようでした。また、その家で暮らすほかの子どもたち6人のいずれもが、学校に通っていないことがわかりました。 AARは現地NGOと共同で家族への支援を開始し、子どもたち全員が学校に通えるように法的手続きを進めました。また、学校に通えるまでの間、センターのスタッフは彼らにアラビア語と算数を教えました。 センターで勉強を始め、文字を学んだ彼らが、初めて書いた自分の名前を満面の笑顔で私に見せてくれた日のことは、一生忘れません。

現場に身を置いていると、センターに通ってくる子どもたち一人ひとりの過酷な事情に目をそむけたくなることも多々あります。母親を紛争で亡くした子、父親が行方不明の子、空爆のトラウマを抱え、未だ安眠できない子。逆にシリアの記憶はほとんど無いほど幼い子どもが、病気で苦しむ親の面倒を見ていたり、貧困の中で暮らしていたりします。 しかし、私たちが現場に出ているからこそ、センターで毎日のように子どもたちと接しているからこそ、彼らの微妙な変化にも気付くことができ、それだけ適切な対応と丁寧な支援ができていることも痛感しています。 現場にいるからこそ気付けること、できることを常に意識しながら、子どもたちの未来を少しでも明るいものに変える支援を続けたいと思います。

トルコでは、この子たちのように、支援を必要としている方たちは今も増え続けています。長期化する避難生活を支えるため、今後もAAR の活動を応援くださいますよう心よりお願い申し上げます。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

トルコ事務所 五味 さおり

2017年2月よりトルコ事務所に駐在し、シリア難民支援に従事。アメリカで育ち、大学卒業後に日本へ。大手広告代理店で3年半働いたのち、AARへ。「シリア難民の子どもたちの未来を少しでも明るいものに変えたい」

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