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ミャンマー避難民キャンプの災害に備える

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ミャンマーから逃れた約100万人のイスラム系少数派が暮らす隣国バングラデシュ南東部のコックスバザール県。4月下旬から雷雨や突風が度々発生し、いよいよ雨季が始まりました。当地では10月頃までモンスーンによって雨量が増大し、丘陵地帯を切り開いて造成した避難民キャンプでは、土砂崩れや洪水の恐れが高まっています。国連機関を中心に自然災害への備えが急ピッチで進む中、AAR Japan[難民を助ける会]はこうした状況を踏まえつつ、生活環境を改善する緊急支援事業を推進しています。

雨季到来で土砂崩れや洪水の恐れ

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大規模な造成が進むクトゥパロン避難民キャンプ(2018年5月3日)

60万人余りが密集する最大規模のクトゥパロン避難民キャンプ近くで5月4日、薪集めをしていた8歳の少女が土砂崩れに巻き込まれて亡くなりました。同キャンプでは旧来の避難民居住区に加えて、数十万人規模で流入した避難民のために広大なエリアを造成していますが、樹木を伐採した砂質土の丘陵上にテントが立ち並び、大雨が降れば容易に土砂崩れが起きる危険性があります。また、かなりの範囲で低湿地が水没すると考えられます。

バングラデシュ政府と国連機関は、急斜面を階段状に造成して土のうを積み上げたり、土砂崩れの危険性が高い区域の住民2~3万人を別の場所に移動させたり、ビニールシートや竹材、工具を支給して風雨に耐えられるテントに建て直したりと、防災・減災の取り組みを急いでいます。レンガによる道路舗装や排水路整備も進んでいます。しかし、大雨が続けばキャンプへのアクセス道路が通行できなくなると考えられ、大規模な土砂崩れが発生した場合、救援活動にはかなりの困難が予想されます。

AARは共同トイレ・水浴び場などの建設にあたって、土砂崩れや水没が起きにくい場所を選んでいますが、雨季の間もモニタリングやメンテナンスを続けて、避難民の人々が利用しやすい状況を維持していきます。

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崩れかけた尾根に立ち並ぶテント(クトゥパロン避難民キャンプ、2018年5月3日)

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雨季に備えたレンガの道路舗装工事(クトゥパロン避難民キャンプ、2018年5月3日)

衛生啓発のオリエンテーション実施

今年1月に始まった衛生分野の緊急支援事業で、AARはクトゥパロン避難民キャンプに共同トイレ・水浴び場施設5棟と井戸22基、最南端に位置するナヤパラ避難民キャンプに共同トイレ・水浴び場施設17棟をそれぞれ建設しました。施設完成を受けて、避難民の人々に向けた衛生啓発オリエンテーションを4月23~24日に両キャンプで行い、計180人が参加しました。

ナヤパラでは集会施設に男性・女性、子どもたち合わせて約100人が集まりました。避難民と同じ言葉を話すバングラデシュ人女性のファシリテーターが、感染症や下痢などの病気を防ぐために、①トイレ使用後は必ず水を流して清潔に保つこと、②石けんを使った手洗いを励行すること、③食べ物や飲み水の衛生管理に気を付けること――など、イラストを見せながら丁寧に指導。「家族が病気になれば薬代がかかる。衛生に気を配って病気を防げば、そのおカネを食事や教育に使える」と実利的な説明を加えたほか、イスラム教の教えで身体や衣服、身の回りの清潔さが特に重視されていることにも言及し、人々は分かりやすい説明に熱心に聞き入っていました。最後に私から「多くの日本人が皆さんのことを心配しています。このトイレ・水浴び場は日本の人々からの贈り物なので、大切に使って下さい」と伝えると、大きな拍手と感謝の声が上がりました。

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約100人が参加したナヤパラ避難民キャンプの衛生啓発オリエンテーション(クトゥパロン避難民キャンプ、2018年5月3日)

女性と子どものフレンドリー・スペースを計画

メガキャンプから車で南に約1時間、バングラデシュ最南端のテクナフ。国境のナフ河を挟んでミャンマー領を望むこの地域にも、3万人規模の避難民が暮らすキャンプがあります。多くの支援団体が拠点を置く中心都市コックスバザールからかなり遠くに位置していることもあり、支援があまり届いていないこのナヤパラ避難民キャンプで、AARは共同トイレ・水浴び場17棟を建設中です。以前からミャンマー避難民を受け入れていた同キャンプにも、昨年の衝突を受けて新たな避難民が移り住んでおり、トイレなどのニーズが高まっています。流入する人数の多さから、キャンプに隣接するホストコミュニティ(受け入れ地域)にも避難民がテントを建てて住んでいます。そのためキャンプ外でも、土地を所有する地域住民の要請を受けて、トイレ・水浴び場を建設しています。バングラデシュは以前から暮らす20万人と併せると100万人以上の避難民を受け入れています。地元住民にも負担が大きくのしかかっており、避難民支援と併せてホストコミュニティへの配慮も大きな課題になっています。

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完成した共同トイレ・水浴び場(ナヤパラ避難民キャンプ、2018年4月24日)

雨季・モンスーンに備えて支援を急ぐ

AARは5月以降、依然としてニーズが高いトイレ・水浴び場や井戸の建設を継続するとともに、特に弱い立場にある人々に対するプロテクション(保護)事業として、新たに女性や子どものためのフレンドリー・スペースを設け、女性や子どもたちが少しでも安心して暮らせるよう支援を強化します。併せて、大量の避難民流入の影響を受けたキャンプ周辺地域(ホスト・コミュニティ)の貧困世帯への支援を開始し、避難民と地域住民の間に対立感情が起きないよう配慮していきます。

ミャンマー避難民問題が長期化する中、これから数カ月は特に自然災害による被害が予想されます。引き続き、皆様のご支援をお願い申し上げます。

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ナヤパラ避難民キャンプ内のスイカ売り。雨季が本格化する前の3~4月頃が最盛期(2018年4月24日)

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    【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

    バングラデシュ・コックスバザール事務所 中坪 央暁

    大学卒業後、新聞社で特派員、編集デスクを経験。ジャーナリストとして平和構築支援の現地取材に携わった後、2017年12月にAARへ。栃木県出身

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