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どこからも支援がない――アフガン帰還民を待ち受ける困難


パキスタンには200万人ものアフガン難民が暮らしています。昨年7月以降、パキスタン政府はアフガン難民を母国に帰還させる政策を強化。その結果、昨年一年間で63万人が帰還しました。春を迎える3月以降は、さらに50万人が帰還すると予測されています。AAR Japan[難民を助ける会]は、パキスタンからの玄関口にあたり、14万人もの帰還民がとどまっているアフガニスタン東部のナンガハル州で、支援に向けた帰還民の調査を行いました。そこで明らかになったのは、「帰還」とは言いながら、どこにも戻ることができずに困窮する人々の姿です。
調査チームからの報告です。

住むところがない――極寒の中、テントで暮らす帰還民

調査チームは2月20日から3月4日まで、ナンガハル州の中でも特に帰還民が多くとどまっているナンガハル県内の10の地区で、パキスタンから帰還した3,815世帯に話を伺いました。
そのうちの実に半数が住むところがなく、借りた土地や、水を求めて川の近くなどにテントを張って暮らしていました。パキスタン政府が強制的に人々を帰還させる一方で、アフガン政府は帰還民のための住居や再定住のための土地などは用意しておらず、NGOなどが住居に関わる支援をすることも許可していません。長らく故郷を離れていたためにすでに家がなかったり、治安の問題などで元の居住地に戻れない人などは、自力で住むところを探さなくてはなりません。しかし、元々非常に貧しい暮らしをしていた人たちが多く、家を借りたり建てたりする余裕がないのです。

テント生活をしている女性が、涙ながらに語りました。
「夫はすでに亡くなり、子どもたちを連れて帰還しました。食べる物を買ったり、テントを張る土地を借りたりするために、パキスタンから運んできた家財道具をいくつか売りました。でも、テントは雨や風で壊れてしまいます。この寒さで亡くなった子もいます。だから私たちにはちゃんとした家が必要なのです。子どもたちは学校に行くことができず、路上で働いたり、れんが工場で働いたりしています。子どもにはとてもきつい仕事です。たくさんのNGOが私たちを支援すると言っているそうですが、支援を受け取った人はほとんどいません。私たちは希望をもって母国に帰ってきました。でも、ここには何の希望もありません」

学校に行けないのは、経済的な問題に加え、言葉の問題もあります。子どものほとんどは、パキスタンで生まれ育っています。アフガニスタンもパキスタンも複数の言語が話され、共通する言語もありますが、すべての子がアフガニスタンで通じる言葉を話せるわけではありません。帰還民の子どもたちの教育は、これからの大きな課題です。

どのような支援も私たちには必要です

ある男性の話です。
「私たち家族には、アフガニスタンに家はありません。土地を買ったり家を建てたりするお金もありません。今はテントで寝泊まりしていますが、当然、厳しい寒さや雨はしのげません。お金がないので医者にかかることもできません。子どもを産むところもないし、ましてや教育も受けられません。このままでは子どもたちは読み書きができないまま大人になってしまいます。私たちは、帰還したら収入を得て、住むところもあって、子どもたちも教育を受けられるだろうと、楽観的に考えていました。でもこれまで必要なものが届けられたことなどないし、こうしたニーズが満たされることは決してないだろうと思っています。あなたは私たちからこうして話を聞いていますが、何かしら支援をしてくれるだろうとは信じることはできません。でも、もし支援してくれるのであれば、どんなことであれ、とても感謝します」

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家を借りる余裕のない人たちは、土地を借りてテントを張って暮らしていました(2017年3月2日)

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テントは、真冬には氷点下になる厳しい寒さや雨から子どもたちを守ってはくれません(2017年3月2日)

特に支援が届かない非登録帰還民

帰還民の中でも、とりわけ支援が届いていないのが、「非登録帰還民」と呼ばれる人たちです。パキスタンから帰還する人たちには、国連から帰還証明書というものが発行され、一時金などの支援を受けることができます。しかし、アフガン難民の中には、そもそもパキスタンで難民登録せずに住んでいた人が50万人もいると言われており、こうした人たちには証明書は発行されません。すでに帰還した63万人のうち、25万人が非登録帰還民で、登録がないために家族の人数や滞在先などの情報が何もなく、どこからの支援も届きにくくなっているのです。
AARが話を聞いたのはこの非登録帰還民で、彼らの約5割が、どこからも支援も受けていないと答えました。話を聞いた誰もが経済的に困窮し、家を借りたり、生活に必要なものを買うお金もないといって嘆いていました。
春を迎え、これからさらに50万人が帰還すると見られています。AARは今後、これまで何の支援も受け取っていない非登録帰還民の中でも、障がい者世帯や寡婦世帯など、とりわけ困窮している家庭に支援をしてまいります。

母国に帰還した人たちが住む場所や食べ物を手に入れ、子どもたちを学校に通わせられるよう、緊急支援に皆さまのご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。

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    (トクヒ)ナンミンオタスケルカイ

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