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アンゴラで「地雷対策自主グループ」の活動を支援しています

2008年11月26日  アンゴラ地雷対策
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アンゴラでは、1975年のポルトガルからの独立以降、2002年まで27年間も続いた内戦により、45万もの人々が難民となって国外に流出しました。2002年4月の停戦を受け、隣国に逃れていた難民の人々は、母国アンゴラに続々と帰還してきています。

「地雷対策自主グループ」を結成

地雷回避教育の様子

地雷回避教育の様子。地雷回避教育チームが村を巡回して指導を行っています。

難民を助ける会では、2004年からアンゴラで地雷回避教育の支援を行なっています。地雷回避教育は、まず村を巡回し、ポスターや人形劇を使って、地雷や不発弾の被害に遭わないために、どのような行動を取れば良いかを指導しています。

しかし、1、2回の教育活動だけでは、時間が経つと地雷・不発弾への注意が薄れてしまったり、新たに村に引っ越してきた住民などに必要な情報が伝えられないなどの問題が起こります。

このため、地雷回避教育チームの巡回指導と並行して、村に「地雷対策自主グループ」を結成し、継続的な活動が行えるように支援しています。「地雷対策自主グループ」の活動の目的は、(1)地雷や不発弾の情報を村全体で共有する (2)新しく移り住んできた村人に地雷回避教育を行う (3)危険な場所に目印をつける などです。8月末までに、36村で「地雷対策自主グループ」が結成され、ボランティアの村人たちが活動しています。

今回は、その中の一つムアザザ村での活動を紹介します。

村人自身による継続的な活動を目指して

ムアザザ村の様子

ムアザザ村の様子

ムアザザ村は、近くに地雷原がある人口100人程度の村です。今年の6月に難民を助ける会が支援する現地NGOから地雷回避教育を受け、7月から、「地雷対策自主グループ」による活動が行われています。

グループのメンバーは、村人から選ばれた男性3人、女性2人の計5人です。

この村では、日常生活の様々な場面で、地雷や不発弾の被害にあう危険がとても大きいのです。

(1) 農作業

自主グル―プの村人と東京事務局の堀越

自主グループの村人(写真右)と東京事務局の堀越(写真左奥)

ムアザザ村では、主食のキャサバ・トウモロコシを中心に、自給自足の生活をしている人がほとんどなので、男性も女性も農作業に従事しています。農地の区画が明確に決められてはおらず、村人たちは必要に応じて空いている土地で作物の植え付けなどを行っています。そのため、安全に農作業を行なうためには、村の周りで安全に耕すことのできる土地はどこかといった情報が共有される必要があります。

(2) 狩り

猟師たちは、村から約30キロの範囲で現在も狩りを行っており、ヤギやインパラ(鹿のような動物)、猿といった動物を食料にしています。狩りに出かけると、地雷や不発弾を見つけることがあり、安全に狩りができる場所を把握しておく必要があります。

(3) 木炭製造

アンゴラでは、ガスのない村が多く、木炭が一般的に使用されています。そのため、貴重な現金収入の手段として、村の周りから木を刈り、木炭を製造・販売している人々もいます。こういった人々も地雷や不発弾の被害にあうリスクの高い人々です。

(4) 女性や子どもの仕事

女性や子どもたちは、農作業に加えて、水汲みやきのこや果物狩り、食料用の芋虫の採取などで地雷や不発弾を見つけることがあります。

上記のような危険は、ムアザザ村に限らず、アンゴラの多くの村に共通するものです。

新しく越してきた村人にも地雷の危険情報を伝えています

地雷の存在を示す赤と白の棒

道路のすぐ横にも地雷の存在を示す赤と白の棒が立てられています。

アンゴラの多くの村では、1日~1週間に1回程度、村人全員が参加する集会が行われています。日常生活の中で得た地雷や不発弾の情報は、この集会で「地雷対策自主グループ」のリーダーシップのもと報告され、村人全員で共有します。

アンゴラでは、内戦終結から6年たった今も、隣国に逃げていた人々が故郷の村に帰ってきています。新しく帰ってきた人は、地雷のない難民キャンプなどで生活していた人が多く、地雷がどのような色や形をしているのか、といった基本的な知識や、村の周辺のどの辺りの場所が危険であるか、などを知らないことが多いのです。そのため、このグループの人々が中心となって、新しく来た人々に地雷や不発弾の危険情報を教えています。

内戦終結から6年が過ぎた今でも地雷回避教育は必要です

おばあさんの右足は義足です

地雷の被害にあった若いお母さんとおばあさん

アンゴラでは、NGOが村々に訪れて地雷回避教育を行なう段階から、これまでに教育を受けた人々が今度は自分たちが中心となって、その知識を広める、またその知識を活用して自分たちで地雷対策を行なうように、少しずつなってきています。

アンゴラでの地雷除去も徐々に進んでいますが、まだまだ道路や川といった国のインフラ部分が優先され、村人の生活範囲での地雷除去は遅れています。

内戦終結から6年がたち、地雷回避教育はあまり重要でなくなったと思われがちですが、難民を助ける会が活動を行うような地域には隣国ザンビアやコンゴから今でも難民が帰ってきており、この人々に新たに地雷回避教育を行うことが必要です。また、現在、アンゴラ全体で、道路や橋が着実に整備されてきており、今後人々の移動が増えると、これまで地雷・不発弾の危険が少ない地域で暮らしてきた人々が、地雷・不発弾のたくさんある地域にやってくる危険も高く、トラック運転手などに、新たに地雷回避教育を行なう必要が出てきます。

新たな危険にさらされる人々に、これからも地雷回避教育を提供できるよう、あたたかいご支援をよろしくお願い致します。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局 堀越 芳乃

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