駐在員・事務局員日記

「僕がNGOを選んだ理由」平間亮太-これから国際協力の分野を目指す人たちへ(15)

2016年08月19日  職員紹介
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執筆者

東京事務局
平間 亮太(ひらま りょうた)

大学在学中に青年海外協力隊に参加し、西アフリカのベナン共和国でエイズ対策活動に携わる。帰国後大学院で国際保健学を学び、2012年にAARへ。ハイチ事務所、ザンビア事務所を経て、2016年8月より東京事務局勤務。趣味はテニス(北海道出身)

記事掲載時のプロフィールです

AAR Japan[難民を助ける会]のスタッフがどんな想いで国際協力の世界に飛び込んだのかを紹介するこのコーナー。第15回はハイチ、ザンビア事務所を経て、東京事務局で勤務する平間亮太です。大学院修了後、社会人経験なくAARに入職するも、海外事務所で多くの現地スタッフをまとめながら事業を進めてきました。東京でも現地でも信頼の厚い彼の仕事のやり方は?マネージメントの秘訣は?(聞き手:広報担当 長井)

のんびり受験生が一転、猛勉強の日々

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「とにかく外国の人と話すのが楽しく、英語が大好きでした」(2016年4月)

Q.国際協力に関心を持ったきっかけは?

中学生のころから英語が好きで、高校は英語教育に力を入れていた地元札幌の新設校に進学しました。高校3年の2学期まで、大学も地元の私立大学の英文科に進もうと決めていました。私立大学は受験科目が少なく、模試の判定も合格圏内でしたので、とてものんびりした受験生でした。高校では、そんなのんびり組のための特別講座のようなものが用意されており、たまたまその中の、「国際協力」や「国際理解」を学ぶ講座を受講しました。フィリピンのミンダナオ島で迫害から逃れてきた先住民族の方、チェルノブイリ原発事故の被害にあった子どもたち。彼らや、彼らを支援する団体の方と交流する機会があり、「人の役に立てる仕事っていいな」と思うようになり、せっかく英語を勉強するなら国際協力の仕事をしてみたい、と興味を持つようになりました。当時の担任の先生に相談したところ、「北海道の外に出たらより多くの人との出会いや刺激があり、視野がもっと広ろがるから、一度北海道の外に出てみたらどうか」と勧めてくれました。

両親は地元の大学への進学を望んでいました。先生はとて情熱的な方で、「私大に比べ国立大なら学費も安いし、寮に入ればそれほど費用は変わりません」と、学費や生活費を試算したエクセル表まで作って両親を説得してくれました。「国立大なら」という両親の了承を得て、のんびり受験生から一転、猛勉強の日々が始まりました。

体育会系の大学生活の途中で協力隊参加

Q.大学時代はどのように過ごしたのですか?

無事に関西の外国語大学に入学し、開発環境学を専攻しました。ただ、硬式テニス部に所属し、そっちに夢中になってしまいました。朝練が終わって、授業中は身体を休めて、また午後から練習に力を入れる、といった体育会系の生活を送っていました。また、ケニアのスラムに暮らすHIV陽性者のシングルマザーを支援する学生NGOにも所属し、日本での勉強会やイベントの開催といった活動を行っていました。勉強にはあまり熱心ではありませんでしたが、充実した学生時代でした。

Q.大学を休学して、青年海外協力隊に参加しましたがそのきっかけは?

大学3年になり就職活動について考えたとき、自分があまりに勉強不足だということに気づきました。「このままでいいのか、もっと大学時代に経験するべきことがあるのではないか」と悩んでいたとき、協力隊経験者の方に勧められ、青年海外協力隊への参加を決めました。サークル活動の経験を活かし、エイズ対策隊員として西アフリカのベナンに赴任。地方の保健センターに派遣され、妊産婦にHIV/エイズなどの性感染症の危険と予防方法を伝える活動に従事しました。保健センターの待合室での啓発から始まり、村々を巡回しての活動、教材の開発にも取り組みました。

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赴任当初は、何をやって良いのかわからず、戸惑うことも多かった。ホームステイ先の家族(2006年10月、ベナン)

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コンドームの使い方を女性たちに指導。やり方を工夫し、イラストも自分で描きました。(2007年8月、ベナン)

大学院に進学し、再びベナンへ

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ベナンの伝統医療従事者へのインタビュー。研究を通じて、現地の人たちの考え方や価値観を深く知る事ができました(2011年9月)

Q.その後は大学院に進学し、再びベナンに行きましたね。

協力隊での2年の任期を終えて帰国しましたが、心の中にモヤモヤが残っていたのです。無我夢中の2年間で、自分のやっていることを立ち止まって考えることができませんでした。「活動の成果はあったのか」「自分のやってきた活動は、本当に住民に求められていたことなのか」。そんな心残りを解消するべく、大学卒業後に大学院に進学しました。再びベナンをフィールドに、伝統医療者と近代医療者との連携について研究しました。アフリカの多くの国には、魔除けや呪いを使って病気を治す伝統医療者がおり、多くの人に信頼されています。西洋医学を中心とする近代医療の観点からいえば、間違っているかもしれません。でも、効果がまったくないわけではないのです。その2つの医療が連携すれば、より効果的な医療になるのではないかと考えました。

2度にわたる現地での調査で、エイズ患者や伝統医療従事者とじっくり腰を据えて話をしました。より深く、ベナンの人たちや国・地域を知ることができ、モヤモヤした気持ちはだんだんと解消していきました。

「独裁者!」ハイチで始まった社会人生活

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支援していた障がい者施設を訪問(ハイチ、2012年10月)

Q.そして、AARへ就職ですね。

はい、現場で深く現地の人たちと関わることができると思い、AARへの就職を決めました。最初に赴任したのはハイチ共和国です。それが人生初めての仕事。赴任当初、ハイチ事務所は2010年の大震災からの復興支援として、障がい児施設や孤児院、学校の再建など多くの業務を抱えていました。人手も足りず、事務所は新入りの私のことなどに構っている暇はなさそうな雰囲気でした(笑)。とにかく、「仕事は盗んでやる」という気持ちで、自分にできることはないかを探し、誰かが外出するときは、「連れて行ってください」と自ら手を上げてくっついて行きました。そうやって、一つ一つ、自分にできることを探し、仕事を覚えていきました。

1年くらいたったとき、当時の事務所長が離任することになり、社会人2年目にして、事務所長代行として私がマネージメントをすることになりました。ほんとうに不安で、マネージメントに関する本を10冊以上読みました。当時現地スタッフが4人いましたが、彼らにもなめられてはならないと、ずいぶん偉そうにしてしまったかもしれません。すべての業務を1から10まで把握していないと不安になり、仕事量は増える一方で、現地スタッフとの衝突も絶えませんでした。ついに、現地職員の1人から「お前は独裁者だ!」と罵られました。ものすごくショックでした。人の上に立つ、ということの難しさを思い知らされました。

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AARが支援するエイズ遺児(左から2人目)、現地スタッフと(2015年2月)

その後、ザンビアに異動になり、HIV/エイズ対策事業を担当しました。ハイチ同様、事務所長としてマネージメントをする立場でしたが、ザンビア事務所は20年以上の歴史もあり、ベテランの現地スタッフも多く、彼らにずいぶんフォローしてもらいました。自分の心に余裕も出てきたと思います。

あるとき、スタッフの1人をチーフに昇進させたのですが、やる気が感じられずチーフとしての仕事をしてくれてはいませんでした。厳しい指導をするべきか迷いましたが、彼と面談の機会を設け、「あなたにはチーフとしての役割を期待しています。今はそれができていないので、改善してほしい」と丁寧に伝えました。すると、みるみる彼の業務態度が変わり、期待以上の仕事をしてくれるようになりました。その後彼は、「チーフになったのは、役職の名前が変わっただけだと思っていた。自分が期待されていることは知らなかった」と話していました。

「上司の期待で、こんなに変わるものなのか」と驚くと同時に人を育てる楽しみも感じることができました。

「とにかく、語学力を高めて」

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「現地スタッフと意見の違いを埋めていくのはとても大変ですが、仕事の面白さでもあります」(2016年4月)

Q.これから国際協力の世界を目指す方々へアドバイスを。

月並みなことしか言えませんが、まず大事なのは、語学力だと思います。同じものを食べておいしいねと言い合ったり、同じものを見て感動したりなど、確かに言葉が通じなくても、理解しあえることはたくさんあります。でも、考え方や価値観のまったく違う人たちと仕事をしていくには、各々の意見や気持を徹底的に話し、お互いに違いを認め合った上で、次にどうするかを決めていく。そうしたプロセスが必要です。そのためには、語学力とコミュニケーション能力が必要です。

これから国際協力での仕事を目指すのであれば、時間に余裕のあるときに、しっかりと語学力を身に着けてほしいと思います。

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