駐在員・事務局員日記

ミャンマー:日本食づくりでチームワーク強化

2016年03月03日  ミャンマー
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執筆者

ミャンマー・パアン事務所
本川 南海子

2013年4月よりミャンマー駐在。イギリスの大学院で農村開発を学び、卒業後NGO職員としてインドで有機農業支援に携わる。その後青年海外協力隊に参加し、ネパールでの活動を経てAARへ。趣味は歌と踊り。神奈川県出身

記事掲載時のプロフィールです

1月のミャンマーは、雨がほとんど降らず、連日青空が広がり、一番過ごしやすい季節です。ミャンマー、カレン州にあるAAR Japan[難民を助ける会]パアン事務所にとっては、障がいについての啓発ワークショップや聞き取り調査、学校の通学路建設や井戸の修繕、障がい者の生計支援の一環として行うキノコ栽培のモニタリングに加え、次年度事業の計画ミーティングや準備が実施される忙しい時期でもあります。そんな忙しい合間を縫って、毎日がんばってくれている現地スタッフへの感謝の気持ちも込め、1月22日、事務所で日本食パーティを開催しました。その様子を駐在員の本川南海子がお伝えします。

力を合わせて料理スタート!

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それぞれの担当を決め、皆手際よく手を動かしています(2016年1月22日)

パーティのテーマは、「チームワーク」。もともとスタッフ同士の仲が良いパアン事務所ですが、仕事が忙しくなると、スタッフがそれぞれの担当事業に分かれて活動するため、一緒に過ごす時間が少なくなってしまいます。そんな時期だからこそ、みんなで協力して料理を作ることで、さらにチームワークを深めよう!というわけです。

普段ミーティングが繰り広げられるテーブルの上には、その日の朝、市場から買ってきた野菜や肉、果物とともに、調理道具が並びました。献立は巻き寿司、お好み焼き、コロッケ、マカロニサラダ、味噌仕立ての鶏汁、蜂蜜レモンジュース、スイカです。日本でよく食べられているものを作ることにしました。それぞれの料理の担当を決めて、いよいよ調理の開始です。献立に必要なエビや魚、豆腐やこんにゃくなどはパアンでも手に入ります。調理を始めると、スタッフたちは機械のような正確さで玉ねぎをみじん切りにしたり、シェフ並みのフライパンさばきを披露したり、仕事の顔とは違った一面を見せてくれました。また、「ねぇねぇ、コロッケの中に1個、激辛のコロッケを混ぜようよ」とイタズラなアイディアが出て来たり、初めて見る巻き簾で巻いた寿司に歓声が上がったりと賑やかに調理は進んでいきました。黙々と大量のコロッケを揚げ続ける人、使い終わった調理器具を洗い始める人、食器を並べ始める人。調理をする姿勢から垣間見えるスタッフの「素」のチームワークに、日本人駐在員2人の喜びもひとしおです。2時間後、ついに完成した料理がテーブルに並びました。

さて日本食の感想は?

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大量のコロッケが揚がりました。思わず笑顔がこぼれます(2016年1月22日)

カレン州では外国人が住んでいること自体が珍しく、日本食はおろか、洋食を提供するレストランもまだまだ限られています。もちろん、当会の現地スタッフも日本食を口にする機会はありません。さて、普段食べ慣れない、日本食を食べた感想は...。

皆、空腹の限界を超えていたのか、終始無言で食べているではありませんか。そして、その食べっぷりの良いこと。山のようにあったコロッケが、見る見るうちに消えていきます。

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日本食を皆で作ってチームワークもより深まりました。右から三人目が筆者(2016年1月22日)

しかし、空腹が満たされるにつれ、「美味しいね」と満足気に自分たちで焼いたお好み焼きや、鶏汁をお代わりしたり、「マカロニ」「マカロニ」と新しく覚えた単語を繰り返してつぶやいていたり、楽しそうにマヨネーズやお好み焼きソースをタップリつけてコロッケを食べていたり、皆、初めての日本食を喜んでくれたようです。
その光景を前に、「同じ釜の飯を食べる仲」という言葉が浮かびました。仲間とともに調理し、ともに食べる。それは、直接事業とは関係なくとも、チームワークに重要な信頼関係を築くため、また、ミャンマー人と日本人がお互いの文化を理解し、尊重するためにも大切なことだと再確認しました。そして美味しいご飯を食べた後は、「スイカ割り」ならぬ、「ココナッツ叩き」で盛り上がりました。

カレン州は自然が豊かで、人々は素朴で、とても穏やかである反面、2012年まで約60年もの間内戦が繰り返されてきたことにより、戦火を逃れるため、ミャンマーの他地域や国境を越えタイへ避難した人々、そして地雷により負傷した人々が今もなお数多くいます。今後もより多くの方へ支援が届くよう、現地スタッフと日本人駐在員が一丸となって、日々活動を行ってまいります。

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