フィリピン:台風被害から1年 減災の取り組みが始まっています
台風被害を軽減するため、防災の意識を持った家づくりを
2013年11月8日にフィリピンを襲った台風30号(ハイエン、現地名ヨランダ)は、死者6,000人、被災者1,400万人以上という甚大な被害をもたらしました。1年が経過しようとする現在も、47万人以上が、支援物資のビニールシートや拾った資材などを使って作った小屋で生活をしています(国連人道問題調整事務所・UNOCHA, 2014/10/30)。もともと木材を組んだだけの建屋と、トタンや樹皮などを重ねただけの壁や屋根の家に住んでいた方が多かったことも、被害が大きくなったことの一因です。
AAR Japan[難民を助ける会]は、発災直後から特に大きな被害をうけたセブ島北部、レイテ島タクロバン市などで、食料や家屋の修繕資材の配付、教育施設の再建などを実施してきました。2014年6月からは、建築資材配付とともに、経済的余裕のない方々でも、次の災害に備えて防災の意識をもった家を再建できるよう講習会を実施しています。また、講習会に参加した方が家を建築する際は一軒ずつ訪問して技術指導を行いました。これにより災害時の被害が軽減されます。
被災から一年、災害に強い町づくりに向けて、一人ひとりの取り組みはまだ始まったばかりです。
「やっと自宅を再建できました」 | |
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タクロバン市に住むヘクター・サリポットさん(54 歳)。被災後は、拾ったトタンやビニールなどで作った家(左下写真)に住んでいました。 「AARの家作り講習会で、木の結合部分にワイヤを巻きつけたり、木製の留め具を使うことを学び、自宅作りで実践しました。この方法なら大抵の台風には持ちこたえられると思います。学んだことを活かして、近所の家の再建も手伝いました」。 |
フィリピンより今月1日に帰国した伊藤悠子への取材を受け付けています
伊藤 悠子
2013年12 月からフィリピン事業を担当、2014年7月から11月まで現地での支援活動に従事。「私も毎日建築中の家を訪問して、伝えたことがきちんとできているか確認しました。家作りの基礎が地域に 浸透し、災害へのリスクが減っていくことを願っています」。京都府出身。27歳