AARはキラーロボット(殺傷ロボット)反対キャンペーンに参加しています
AAR Japan[難民を助ける会]は、2013年4月より「キラーロボット(殺傷ロボット)反対キャンペーン(Campaign to Stop Killer Robots)」の運営委員(Steering Committee)を務めています。
「キラーロボット(殺傷ロボット)」とは、自律的に周囲の状況を判断して移動し、偵察や攻撃を行う兵器のことです。今はまだ開発途上の段階ですが、実用化されれば、人間の判断なしにロボットが標的を攻撃することが可能になります。
最近、キラーロボットへの関心が世界的に高まっています。2013年10月7日から11月6日にかけて開催された国連総会第一委員会では、軍縮・安全保障分野の問題について協議されるなかで、キラーロボットの問題が初めて議題として取り上げられ、日本を含む16の国が声明の中でこの問題に言及しました。また、2013年11月14日・15日にはスイス・ジュネーブで、特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の締約国会議が開かれ、ここでもキラーロボットへの対応が協議される予定です。
AARは、「キラーロボット」が使用されることは、国際人道法および国際人権法に照らして違法であると考え、「キラーロボット」の使用に反対します。その開発および製造は中止するべきだと考えます。
国際協力に取り組むNGOであるAARが、なぜキラーロボットという物騒な兵器の問題に取り組むのか、疑問に思われる方もいらっしゃるかも知れません。
AARは、キラーロボットの問題は政治問題でも軍事問題でもなく、私たち市民社会が一人ひとり正面から取り組むべき人道問題であると考えています。AARが兵器の問題に関わるのは初めてではなく、対人地雷、クラスター爆弾に続き、3度目となります。先の二つと違う点と言えば、地雷とクラスター爆弾は既に世界中で使用されていて人道的に大きな被害をもたらしているのに対して、キラーロボットはまだ開発中であり、これから実用化されようとしているという点です。すなわち、キラーロボットのもたらす被害を未然に防ぐためには、いま行動を起こす必要があるというわけです。
2013年4月、キラーロボットの問題に関心を持つNGOの世界的な集まりとして、「キラーロボット反対キャンペーン(Campaign to Stop Killer Robots)」が発足しました。このキャンペーンは、対人地雷およびクラスター兵器問題でAARが長らく活動を共にしたジョディ・ウィリアムズさんが中心になって活動しており、彼女からの呼びかけを受けて、AARも発足当初から運営委員を務めることになりました。
AARはキラーロボット反対キャンペーンの一員として、さまざまな活動を展開しています。キャンペーン立ち上げの際には、イギリス在住の水鳥真美理事が会議に出席しました。また、2013年11月8日にはロボット兵器の専門家であるピーター・アサロ博士(キャンペーン技術専門家)を招いて東京で講演会を開催し、キラーロボットの問題について広く訴えました。
AARは今後も引き続きこの問題に取り組んでまいります。皆さまのご理解・ご協力をお願いいたします。
AAR Japan[難民を助ける会]理事長 長 有紀枝
※特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)とは、非人道的な兵器の使用禁止や制限を目指す条約で、日本を含む117ヵ国(2013年11月12日現在)が参加しています。本体条約と、個別の通常兵器について規制する5つの附属議定書からなり、X線で検出不可能な破片を利用する兵器、地雷とブービートラップ、焼夷兵器、失明をもたらすレーザー兵器、不発弾を発生させるような兵器について使用が規制されています。