ハイチ事務所
古川 アンナ
ハイチ食べ歩き:お正月に欠かせないスープとは?
2012年1月よりハイチ駐在。ブラジルの大学卒業後、三重県で国際交流員として多文化共生関連事業に従事し、2011年にAARへ。ブラジル・ロンドニア州出身
記事掲載時のプロフィールです
カリブ海に浮かぶハイチ共和国は、フランスの植民地であったこと、アフリカ系の国民が多いことなど、周辺のラテン諸国とは少し性格が異なります。ハイチのおいしい食べ物について、駐在員の古川アンナがご紹介します。
朝食:ハイチの定番は?
日本の朝食は、ご飯、パン、フルーツ、といろいろですね。ここハイチで人気の朝ごはんは、なんとスパゲッティです。ケチャップとマヨネーズで和えるパスタはボリュームたっぷり。私もはじめは違和感がありましたが、食べてみるとなかなかおいしく、ときどき食べるようになりました。それにしてもなぜこれが定番になったのか、ハイチの人たちに聞いてもよくわかりませんでした。
昼食:今日は白、黒、それとも茶色?
昼食には、道端で売られているお弁当をよく食べます。ご飯とお肉、野菜炒めがたっぷり入ってたったの75グルド(約150円)。昼には食べきれず、晩ご飯もこれで足りてしまいます。日本のお弁当と比べると見た目はきれいとは言えませんが、とてもおいしいです。
ハイチの主食は、日本と同じ、お米です。白いご飯に加えて、「黒いご飯」と「豆ご飯」が定番です。「黒いご飯」はキノコの炊き込みご飯で、キノコの煮汁で真っ黒に色が付きます。ピラフのような感じで、おかずなしでもおいしく食べられます。一方の「豆ご飯」は豆の香りが特徴で、お赤飯のように茶色に炊きあがります。私は豆は大好きなのですが、ハイチの豆ご飯はちょっと癖が強く、お気に入りは白いご飯と黒いご飯です。
夕食:いろいろ選べる揚げ物はいかが?
夜、お弁当の残りではもの足りないときに便利なのが、「フリタイ」の屋台です。フリタイとはハイチで人気の揚げ物類で、豚肉、牛肉、ヤギ肉、魚、バナナ、芋などたくさんの種類があります。「ピクリス」と呼ばれるピリ辛ソースを付けてどうぞ!
歴史のつまった元旦のスープ
1月1日、老若男女のハイチ人が食べる特別な料理があります。それは「カボチャスープ」。カボチャに加えて、ニンジン、玉ねぎ、キャベツ、パスタなどが入った具だくさん、栄養満点のスープです。なぜこのスープをこの日に食べるのか。それにはハイチの歴史が関係していました。1月1日はハイチの独立記念日です。1804年のこの日、ラテンアメリカで最初の独立国として、ハイチはフランスの植民地支配を脱したのです。植民地時代、奴隷はカボチャスープを禁止されていました。1月1日のカボチャスープは、誰もが平等に好きな物を食べられる独立国ハイチを象徴する料理なのです。
カボチャのスープは1月1日だけではなく、毎週日曜日に出してくれるレストランもあります。2010年1月12日の大地震からの復興が進み、日本の皆さんが気軽にハイチを訪れてその味を楽しめる日が一日も早く来てほしいと思います。