スーダン:給水支援で子どもたちを学校へ
水を得るのに往復2時間
AAR Japan[難民を助ける会]の活動国の一つであるスーダンは、国土の大半が乾燥地帯で、多くの地域で給水設備が十分に整っているとは言えず、安全な水の普及率はたった33%、中でもカッサラ州は13.1%と、極めて低い状態となっています。カッサラ州のアグドゥブ村の人々も、これまで水へのアクセスに苦労していました。村では3km離れた水源から配水する設備が2007年に整備されていましたが、すぐ動かなくなり、その後は放置されていました。
村の多くの子どもたちはロバで往復2時間もかかる場所へ水を汲みに行ったり、高値で売られている水を買うために働いていたり、学校へ行く時間がありませんでした。劣悪な水衛生環境により 下痢や感染症で苦しむ人も多くいます。AAR Japan[難民を助ける会]はこうした状況を改善し、子どもたちが再び学校に通えるようにするため、スーダン政府と協力し、2016年、アグドゥブ村と隣のシンカットキナーブ村で、給水設備の修復を行うことにしました。
10年ぶりに村に戻ってくる水
現在AARは、アグドゥブ村で放置されて動かなくなった発電機や給水ポンプなど、給水設備を修復しています。また、放牧で生計を立てている村の人たちにとって貴重な、羊や牛などの家畜のための水飲み場も建設しています。
また、修復後も設備がきちんと管理されていくよう、各村に15名ずつからなる水管理委員会を設置し、5日間研修を行いました。代表、副代表、書記、会計、利用者から水料金を徴収し、設備を管理するオペレーション担当、メンテナンス担当からなる中心メンバーは、今後委員会が毎年選挙を行って決めていきます。
研修では給水設備を使う人たちの人数を予測し、給水ポンプを動かすための発動機用のガソリンや修繕の費用を算出したり、設備を運営していく上でのルール作りを行いました。オペレーション/メンテナンス担当として選出されたカラル氏は、研修終了後も、給水設備の工事業者から、給水ポンプや発電機の仕組みについて熱心に学んでいます。「新しいことを学ぶのは楽しいし、村にまた水が戻ってくるのはとても嬉しく、楽しみです。これからもしっかりと仕事をしていきます」と意気込みを語ってくれました。また、水管理委員会メンバーであるハサン氏は、「水は生命にかけがえのないものであり、給水支援はすなわち、人々の命を救うことにもつながります」と話してくれました。アグドゥブ村の人たちは、子どもたちが学校へ戻れるようになることを期待し、喜んでいます。アグドゥブ村の給水設備が修復された後は、シンカットキナーブ村の既存給水設備の改修を予定しています。
AARはこれからもカッサラ州の村の人たちに安全な水を届けられるよう活動していきます。
※この活動は、皆さまからのあたたかいご支援に加え、外務省日本NGO連携無償資金協力の助成を受けて実施しています。
【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
カッサラ事務所 アダム・オマール・アリ
大学卒業後、国内NGOや国際NGOで経験を積み、2012年11月よりカッサラ事務所で地雷回避教育員として勤務。2016年2月より、新しく始まった水衛生事業を担当。カッサラ州出身