ケニア:「スポーツで関係を築く!」難民と地域住民との共生を目指して
AAR Japan[難民を助ける会]では、ケニア北西部、南スーダンとの国境に位置するトゥルカナ郡カロベイエ地域にて、2017年より地域住民と難民との平和的共存を目指した活動を行っています。
4月に開催したスポーツイベントについて、駐在員の後藤麗が報告します。
地域住民との軋轢を軽減させるために
カロベイエ難民居住区は、トゥルカナ郡にあるカクマ難民キャンプの人口が増えすぎたため、カクマから40 キロ離れた場所に2015 年に新しく設置されました。もともとこの地域には、遊牧生活を送っている方が多く、半砂漠地帯で農業に向かない土地柄から、ケニア国内で最も貧しい地域の一つにあたります。頻繁に干ばつに見舞われ、食糧や水、教育機会やインフラの不足といった多くの課題を抱えています。
そのような場所に難民が流入し、援助団体からさまざまな支援を受けるようになると、地域住民の中には不公平感を覚える人もいます。紛争の長期化などに伴い、難民としての生活も長期化する中、地域住民との軋轢を軽減し、その地で共生していけるようにする必要があるのです。
そこでAAR は地域住民、難民の両方が利用し、交流 できるコミュニティーセンターの建設・運営支援を行っています。このセンターは、地域住民と難民のそれぞれから民主的な選挙で選ばれた代表が主体となり、どのような施設を建てるかという計画から、建設後の運営まで一貫して行っています。これまでに多目的ホール、インターネットカフェ、食堂、売店を建設し、双方が利用しています。
難民と地域住民の合同チームでスポーツイベント
AAR は4月6日に、交流を促進するためのスポーツイベントを開催しました。このイベントでは地域住民と難民の合同チームを編成し、バスケットボール、バレーボール、サッカーの試合をしました。最初はぎこちなかった選手たちですが、試合が進むにつれて、チームメイトとして徐々に打ち解けあっていくのがわかりました。ハーフタイムには一緒になって戦略を練り、勝ったチームは、地域住民・難民に関係なく喜び合う姿がありました。
人を結びつけるスポーツの力
女子バレーボールに参加したケニア人のロキルさんと男子サッカーに参加した南スーダン難民のメスフィンさんはふたりとも、「これまで対戦相手として試合をする機会はありましたが、チームメートとして競技を行うのは初めて。新鮮だったし、とても楽しかった」と話してくれました。
バレーボールもサッカーも、自分一人では点数を取ることができません。だからこそ、チームのメンバーと力を合わせ、協力することが大切です。これまで一緒に何かをする機会が少なかった人たちが、同じチームでプレーすることで、関係が深まっています。スポーツには民族や置かれた立場の違いを乗り越えて人を結びつける力があると再認識しました。このようなイベントを継続して行い、地域住民と難民の共生を進めていきます。
※この活動は皆さまからのご寄付に加え、国際連合人間居住計画(UN-HABITAT)の助成を受けて実施しています
【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
ケニア・カクマ事務所 後藤 麗(ごとう れい)
大学卒業後、英語教師として中学校に勤務。イギリスの大学院で教育・開発学を専攻した後、ガーナにおける教育支援プロジェクトでインターンを経験。2018年3月よりAARへ。岩手県出身