AAR支援企業担当者さまが集まり交流会を開催
2020年2月5日、さまざまなかたちでAAR Japan[難民を助ける会]をご支援いただいている企業・団体の社会貢献担当者さまなどをお招きした「AAR 支援企業担当者さま交流会」を、昨年に続き今年も開催し、8つの企業・団体の皆さまがご参加くださいました。
AAR事務局長の堀江良彰から日頃のご支援への謝辞を申し上げるとともに、「SDGs(持続可能な開発目標)は達成に向けた取り組みが正念場を迎えており、企業とNGOの協働がますます重要になっている」と挨拶。その後、参加者の皆さまの自己紹介を兼ねて、それぞれの社会貢献の取り組み、社会課題に挑戦する思いなどをうかがいました。
続いて、AAR理事長の長有紀枝が「難民支援活動から見る難民問題の諸相」と題して講演しました。インドシナ難民支援を目的に1979年にAARが設立された経緯、世界中で7,080万人(2018年末/国連難民高等弁務官事務所:UNHCR)が家を追われて難民・国内避難民になっている現状、日本における難民認定制度の現状と問題点などについて説明しました。AARの創設者である相馬雪香自身が、第二次大戦直後の混乱の中、旧満州から命からがら日本に戻ってきたことがAARの難民支援の原点であることや、長自身も大学時代の留学先で差別や偏見を受けたことから社会の少数派に目が行くようになった話などもありました。国際協力の意義にも触れ、企業・団体の皆さまのご協力やご意見をいただきつつ、今後の支援の在り方を考えていきたいと締めくくりました。
続いて、AAR東京事務局で渉外担当の伊藤美洋が「AARと企業の協働事例のご紹介」として、さまざまな事例についてお話ししました。参加者の皆さまより、AARの活動に社員の皆さまがボランティアとして参加することで、「社員が支援現場にボランティアに行くことで、百聞は一見にしかずと言えるほどの大きな気づきがある」「国内の被災地支援に継続的に関わることで社員の意識改革につながっている」というお話があったほか、「企業、福祉施設とAARによる商品の共同開発を通じて、"マルチステークホルダープロセス"(多種多様なステークホルダーが対等な立場で参加し、協働して課題解決にあたる合意形成の枠組み)の在り方を実感できたことが大きなメリットである」、「チャリティ商品の社内販売会を通じて、忙しい社員が商品を買うことを通じて国際協力について考えるきっかけを提供できた」など、AARやNGOと協働することのメリットをお話しくださいました。
ほかにも社員向けセミナーや講演会が参加された皆さまに社会課題について学び考えるきっかけとなっていることや、イベントやセミナーの共催を通じてのネットワークの広がりや出会い、学びがあることなど、さまざまな連携によるメリットやインパクトについて話が及びました。最後に、AARが2018年に始めた「法人サポーター制度」による支援もご紹介しつつ、企業や団体の皆さまの強みと、AARが現場で得た知見を活かし、ぜひ、SDGsを達成し、社会をよりよく変えていきましょうと、ご協力をあらためて呼びかけました。
交流会は終始和やかな雰囲気で進み、参加者の皆さまからは「他業種の方と会うことが少ないので、他社の皆さんから大きな刺激を受けた」「世界の難民の現状、日本の難民受け入れの課題など学ぶことが多かった。有意義な会だった」「AAR設立の背景や国際協力活動の意義など知ることができ満足している」「新たな連携について企画したい」などのご感想をいただきました。
ご参加いただいた企業・団体は次の通りです(50音順)。改めて御礼申し上げます。
キッコーマン株式会社、株式会社日清製粉グループ本社、日本郵船株式会社、生活協同組合パルシステム東京、薬樹R&D株式会社/NPO法人Liko-net、株式会社リコー、リタウィルコンサルティング株式会社
AARは今回ご参加いただいた皆さまをはじめ、多くの企業・団体のサポートをいただき、日本国内を含む世界15ヵ国で難民支援、障がい者支援、災害被災地支援など、支援のより届きにくい人々に寄り添う人道支援活動を実施しています。今後も、より多くの企業・団体や個人の支援者の方々とともに諸課題に取り組んで参ります。
【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
東京事務局 中坪 央暁(なかつぼ ひろあき)
新聞社でジャカルタ特派員、編集デスクを経て、国際協力分野の専門ジャーナリストとして南スーダン、ウガンダ北部、フィリピン・ミンダナオ島などの紛争復興・平和構築支援の現場を取材。2017年12月にAARへ。栃木県出身