パキスタン:学校にトイレと手洗い場ができたよ!
AAR Japan[難民を助ける会]は2016年以降、パキスタンのハイバル・パフトゥンハー州ハリプール郡のアフガニスタン難民居住地で、計11校の小学校の井戸やトイレなどを整備してきました。衛生施設の建設を担当したAAR現地スタッフ、ババール・シャーが今年取り組んだ女子小学校での活動を報告します。
学校には水がなく周辺の民家を利用
子どもたちが健康で安心して生活するには、清潔な水やトイレなどの衛生設備が欠かせません。しかし、パキスタンでは資金不足により、そのための基本的な施設が整備されていない学校が多くあります。特にアフガニスタンから逃れた難民が住む難民居住地内にある学校は、政府から資金面でのサポートを受けられず、国連機関や援助団体からのわずかな支援に頼らざるをえないため、より深刻な状況にあります。
AARが衛生施設を整備した、パドハナ難民居住地にあるPSG-082校もそうした学校の一つでした。女子小学校の同校には水やトイレ、手洗い場がありませんでした。そのため、校庭の一部にカーテンを用いた仕切りを設置してトイレとして使っていたほか、学校で使う水は周辺の民家などからバケツに入れて持ってくる必要がありました。さらに机や椅子もないため、児童たちは床に座って授業を受けていました。
サイドテーブル付き椅子180脚を提供
AARは2019年秋から同校の衛生施設の工事を始め、2020年夏までに、新しく井戸、トイレ、手洗い場、給水器を校内に整備しました。手洗い場には、地元の画家に依頼し、新型コロナウイルスの感染予防を促すための手洗いの手順を啓発する大きな絵を描きました。また、児童が学校で使用するサイドテーブル付きの椅子も180脚供与しました。
学校は2020年3月から新型コロナの影響により閉鎖されていましたが、10月に再開しました。再び登校してきた児童が新しく完成した衛生施設や机を見て目を輝かせているのを目にしたときは、胸が熱くなる思いでした。
「学校に来るのが楽しみに」
校長先生「この学校には長い間、トイレや水がなくて、とても困っていました。校庭の隅を布で仕切ってトイレ代わりにしていましたが、臭いがひどくて、こんな所で用を足したい子どもなんていません。学校にいる間、子どもたちはトイレに行くのが嫌なので、真夏の暑い日でも、水を飲むのも我慢していました。衛生施設ができたおかげで、今ではそんな心配がなくなりました。子どもたちはいつでも手や顔を洗えるし、トイレに行くことができるのです」
5年生の児童「(新型コロナによる休校期間が明けて)久しぶりに学校に来たら、学校が見違えるように変わっていてとても驚きました。トイレは、真っ白なタイル張りですごくきれいだし、手洗い場にもカラフルな絵が描かれていて嬉しくなりました。前はトイレも水もなくて汚い学校が嫌でしたが、今は学校に来るのが楽しみです」
5年生の児童「以前は、教室の床に布を敷いて、その上に座って授業を受けていました。冬はお尻が冷たくなるし、ホコリで服が汚れるので、とても辛かったです。新しい机と椅子が届き、服を汚さずに授業が受けられるようになりました。トイレも新しくなったので、これからは学校も身の回りも綺麗にするよう心がけたいです」
AARは厳しい状況に置かれた子どもたちが、安心して楽しく勉強できる環境を整備する活動を今後も続けてまいります。皆さまの温かいご支援をよろしくお願い申し上げます。
*この活動は、皆さまからのご寄付に加え、連合愛のカンパ、TOTO水環境基金の助成を受けて実施しています
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【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
パキスタン・ハリプール事務所 ババール・シャー
2005年にパキスタン北東部で発生した大地震の際、ボランティアとして被災者支援活動に参加した後、現地NGOの職員として衛生改善や教育に関する事業に従事。2017年3月にAARへ