イタリア:コロナ禍の障がい児をサポート
新型コロナウイルス感染が世界規模で続く中、AAR Japan[難民を助ける会]は、早い時期から被害が拡大したイタリアで、障がい児を診療する小児専門病院にコロナ対策支援の寄付をお送りしました。病院ではタブレットPCを購入し、移民など経済的に恵まれない障がい児家庭に配付して、自宅での勉強やリハビリテーションに活用してもらっています。AARは主にアジア・アフリカ・中東地域で活動していますが、今回はイタリア在住の指揮者・作曲家、杉山洋一さんのご協力で支援が実現しました。クリスマスを前にAARに届いたメッセージをご紹介します。
一日に数百人死亡「不安の中で暮らす」
AARが支援したのは、イタリア北部ミラノに1939年に設立されたニグアルダ総合病院の中で、小児医療を専門とするニグアルディーノ病院です。子どもと母親のための小児外科、神経科、産科などを備え、運動障がいや自閉症、てんかん、言語障がい、重度の学習障がいのある未就学児・小学生(4~12歳)の治療やリハビリテーションを行っています。イタリアは欧州で最も早く今年1月頃から感染が爆発的に拡大し、政府はロックダウン(都市封鎖)措置に踏み切りましたが、死者は欧州最多の6万4,036人に上ります(12月12日現在)。「コロナ感染で特に困っている家庭を支援したい」と、AARのチャリティコンサートでもお世話になった杉山さんを通じて現地で打診し、同病院の子どもたちを支援することになりました。
ニグアルディーノ病院のステファニア・ベルガモ―ニ医師によると「イタリアでは毎日数百人が亡くなり、誰もが不安の中で暮らしています。医療体制も限界を超え、厳しい状況が続いているのが現状です」といい、外出制限を受けて障がいのある子どもたちの通学やリハビリにも支障が生じています。同国でもオンラインによる学習が進められていますが、経済的に恵まれない家庭では、コロナ拡大によってさらに収入が減るなど、子どもにパソコンを買い与える余裕がありません。そこで同病院では、AARの寄付でタブレットPCを購入し、20人の子どもたちに届けました。「子どもたちはタブレットを使って自宅で自主学習したり、保護者とともに医師からリハビリの指導を受けたりと有効活用しています。自由に外に出られない障がい児たちにとって、とても大切なことです」(ベルガモ―ニ医師)。
「すばらしい贈り物ありがとう」
タブレットを受け取ったゾアハリ・サリム君(7歳)が描いた絵とともに、両親から「すばらしい贈り物をありがとう」というイタリア語のメッセージが病院を通じてAARに届きました。一家は仕事を求めて数年前に北アフリカのモロッコから移住しましたが、サリム君は重度の神経疾患と学習障がいがあり、家族の生活も決して楽ではありません。
両親のメッセージ |
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こんにちは。私たちはサリムの両親です。私たちの息子のために、こんなにすばらしい、そしてとても役に立つ贈り物をくださったAARに心からお礼を申し上げます。どうか、皆さんにも平和で穏やかな素敵なクリスマス休暇が訪れますよう、家族一同願っております。ありがとう。 父フォウアド・ゾアハリ/母ナジャ・ムジャヘディ 2020年 12月9日 |
世界中がコロナ感染の脅威にさらされた今年、AARは日本国内の障がい福祉施設や関連団体への衛生用品の緊急配付、海外12カ国の難民や障がい者家庭への物資配付や衛生啓発など、コロナ対策支援に取り組んできました。感染拡大の勢いは止まっていませんが、一日も早く感染が終息し、2021年が少しでも穏やかな年になることを願って、AARは今後も支援活動を続けてまいります。皆さまの温かいご支援をお願い申し上げます。
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