スーダン・南コルドファン州で激しい銃撃戦
空港が閉鎖、支援物資も行き渡らない状況に
難民を助ける会が事務所を置くスーダン、南コルドファン州の州都カドグリの近郊では、6月に入り、北部政府軍と南部の旧反政府勢力との戦闘が起こり、6月6日にはカドグリ市内でも銃撃戦が発生しました。当会の駐在員を含む多くの援助関係者がカドグリから首都ハルツームに退避し、国連からの情報によれば6万人以上の国内避難民が発生する事態となっています。また、この衝突の中で、当会カドグリ事務所も車両や家具、事務備品等の略奪を受けました。
6月24日現在、カドグリ市内は政府軍の支配下となっており戦闘は収まりつつありますが、カドグリ周辺の元SPLAの支配地域では激しい戦闘が継続している模様です。カドグリにある空港は通常、国連機や民間機が離着陸していますが、現在は政府軍が占拠し、国連機や民間機が使用できない状況にあります。空港の閉鎖によって緊急支援物資の輸送も困難となり、支援物資(食料、水、テント等)が今回の戦闘で新たに生まれた国内避難民に十分に行き渡らず、国内避難民は過酷な環境での生活を余儀なくされています。
7月の南部独立に向け、国際社会の注視を
カドグリ事務所は南コルドファン州における地雷回避教育活動の拠点でしたが、今回発生した戦闘で新たに地雷が埋設されているとの情報もあり、またこの戦闘により新たに不発弾が住民の活動地域に残る可能性もあります。戦闘の悪化は、これまでの地域に根差した活動を無にするだけでなく、戦闘終了後、地雷・不発弾対策活動が長期にわたって必要となる村々を生むことに繋がります。また南部10州からなる南スーダンの独立が2011年7月9日に予定されている今、このような動乱が各地に広がる可能性もあり、戦闘の拡大、長期化が懸念されております。
2005年に南北包括和平合意が締結されて以降、南コルドファン州では、内戦時に対立関係にあった住民間の融和が進み、多くの避難民が帰還し、生活再建への第一歩を踏み出していました。今回の戦闘が拡大、長期化することにより、6年間の和平、住民の生活再建への努力が、水の泡となることがないよう、国際社会がスーダン情勢、南部独立の行く末を注視していく必要があります。