スリランカ事務所
柴崎 大輔
スリランカの伝統漁法に人生を学ぶ
記事掲載時のプロフィールです
難民を助ける会が津波被害の復興支援を行っているスリランカ南部には、ユニークな漁法が伝わっています。なぜこんな釣り方をするのでしょうか?漁師さんに話を聞いてみました。
スリランカの伝統漁法
スリランカ南部には昔から伝わる伝統的な漁法があります。“リティパンナ(現地・シンハラ語の呼称)”と言われ、スリランカ全土でも今や4ヵ所程度しか残っていない貴重な漁法だそうです。ちょうど、難民を助ける会が活動しているスリランカ南部・ゴール地区にもあります。
海岸から2~3メートル程度はなれたところに、竹馬のような棒を立てて、そこに登り、エサもつけずに糸をたらして釣りをしているのです。
とてもユニークではありますが、そのような方法で本当に釣れるのか?という疑問を持ちつつ、漁師の方々に話を聞きました。
ありのままの自然の恵みを受けて
漁師のひとり、ウィルサン・シルバさん曰く、一日に多いときは700匹の小魚を取るそうです。確かに浅瀬を見ていても、たくさんの小魚が海面を舞っています。
「網ですくった方が早いんじゃないですか?」という私の問いかけに、「それじゃぁ、意味がない」と笑いながら応えてくれたウィルサンさんや他の漁師の方々。
しかし、今日の漁の成果は全然ダメだったようで・・・・。
スリランカは島国ということもあり、自然に大変恵まれた国です。
ただ、津波後はすべての“リティパンナ”が流されてしまい、最近では代用品ということで、材木を立てて漁をしているそうです。
もちろん、季節によって漁ができないときもあれば、全然釣れないときもあるようですが、漁師の人たちはいたってマイペース。
「釣れるときは釣れるし、釣れないときは釣れないんだよ」とウィルサンさんは話します。彼らを見ていると、自然とともに、自然に逆らわず、ありのままの自然の恵みを享受して生活しているということを実感します。
"リティパンナ"の漁師さんを支援しています
難民を助ける会は、現在、漁民支援を行っており、津波で被害を受けた漁業組合の建物の修復を通じて、彼らの組織化につながることを目指しています。