タジキスタン事務所
角谷 亮
タジキスタンってどこですか?
2007年11月よりタジキスタンおよびアフガニスタン・タロカン事務所に駐在。大学では英米語学を専攻。卒業後、派遣員として在ナイジェリア日本国大使館他に2年半勤務後、難民を助ける会へ。趣味は野球。(兵庫県出身)
記事掲載時のプロフィールです
2001年9月11日に発生した米国同時多発テロ後、アフガニスタン/タジキスタン国境へ逃れたアフガニスタン難民への支援をきっかけにタジキスタンでの活動を開始。現在は外務省の助成を得て、東部山岳地域にあるラシュト渓谷を中心に障害者支援を実施しています。
知られざるタジキスタン、あれこれ
タジキスタン共和国。この国名と場所までご存知の方は、かつてシルクロードを夢見たか、ペルシャ文化に憧れたか、もしくは大の地図好きの方ではないでしょうか。今回は、日本ではあまり知られていないタジキスタンの日常の1コマを、いくつかご紹介致します。
我らがヒーローは誰?
小学校に絶対ある写真。日本で言えば、音楽室にあるベートーベンの写真でしょうか。しかし、ここタジキスタンにはなんと、「タジキスタン共和国の6英雄」としてラフモン現大統領の顔写真があります!しかも、玄関や各教員室など、いたるところにあるのです。こうなると大統領を見ない日はないでしょうね。
ちなみにこのラフモンさん、大統領に選出されたのが94年。再選を繰り返し、現時点の任期は2013年まで。ここまで長いと1枚のポスターでも20年間役目を果たせます。それに比べて日本では首相の交代が早いので、同じことをした場合、学校もポスターの取替えに大忙しですね。
そっちは北枕?
日本では、「北枕は縁起が悪い」(お釈迦様の入滅(死去)の際に頭を北に、顔を西に向けていたため)と教えられますね。以前、タジキスタンの旅先で、いざ寝ようとすると「そっちに足を向けたらダメ」と宿泊先のおばちゃんの声。「北枕だからかな?」と思い理由を尋ねると、足の裏がアッラー(イスラム教の神)の印に向いていたとのこと。
ここタジキスタンはイスラム教徒が大半を占めており、家庭にこのアッラーの印(日本の神棚のようなもの?)があります。そして、イスラム教を重んじる家庭では、アッラーの印だけではなく、聖地メッカの方角、聖典コーランのおいてある場所に足の裏を向けることも失礼にあたるという考えがあります。なお、アッラーの印とコーランは持ち運びが可能なため、仕方なくそれらの方向に足を向ける際は、移動させて解決するということです。
美しい髪は「丸刈り」から
洗髪、パーマ、カツラ、そして植毛…。髪はいつの時代も人類共通の関心事です。誰でも綺麗な髪の毛が欲しい。その夢の実現のため、タジキスタンの人々が行っていることは…丸刈り。といっても、誰もが頭を剃っているわけではなく、幼い時に短髪にする人が多いです。「女の子が幼稚園にあがる以前に髪を短くしていると、美しい髪が生えてくる」と考えられているそうです。
待ちに待ったお休み、でもその前に…
漢字ドリル、計算ドリル…。小学生なら誰しも経験する宿題の定番。
ここタジキスタンも、母国語であるタジク語の授業があり、小学校入学時からコツコツと文字を習っていきます。
そして全ての文字の学習が終わると1週間のお休みに入ります。そして休みに入る日に、他学年の児童や保護者を呼んで、学習成果のお披露目会があります。
児童は民族帽子を被ったり民族衣装を着たりして、タジク語の歌や詩を読みます(タジキスタン6英雄に詩人が選ばれているように、詩は広く好まれています)。中には歌に合わせて踊りを披露する子どもたちも。先生も児童も少し緊張気味の日本とは違い、とっても賑やかで華やかな授業参観でした。
赴任してはや4ヵ月。日本との違いに驚いたり、国は違っても共通する人の優しさ、温かさに感激したりする毎日です。これからも、まだまだ知られざるタジキスタンについて、皆さまにお届けしたいと思います。どうぞお楽しみに。