スーダン・カポエタ事務所
角谷 亮
2年毎に新築し、結婚に牛80頭をおくる国は...?!
2007年11月よりタジキスタンおよびアフガニスタン・タロカン事務所に駐在。2009年3月よりスーダン・カポエタに駐在。大学では英米語学を専攻。卒業後、派遣員として在ナイジェリア日本国大使館他に2年半勤務後、難民を助ける会へ。(兵庫県出身)
記事掲載時のプロフィールです
難民を助ける会では、スーダン南部で「水・衛生」と「基礎保健」事業を行っています。事業実施地の州都カポエタに赴任した角谷が、現地の人々の様子を報告します。今回は、日本であまり知られていないスーダン南部の人々の生活についてご紹介します。
築2年、そろそろ家の交換どき?
2年毎に新築の家に住む、そんな贅沢な話は日本ではそうないでしょう。しかし、ここスーダン南部の村では、2、3年毎に家を建て替えます。
というのも、家の素材が木の枝や藁で出来ており、2年もすれば作り直しが必要になってくるからです。作り直しといっても、日本のように家の建替えを電話一本で業者に頼むのとはわけが違います。
この写真の村では、動物の放牧をしながら、2ヵ月かけて家の土台になる木を他の郡から運んでくるそうです。もちろん徒歩で。そして、集めてきた木や藁を使って村の「女性」が雨季に入る前の3月~4月頃、1週間程かけて家を作り上げていくそうです。
髪の毛がその人を語る?
「失恋を機に髪型を変える」。迷信なのかどうなのか、日本ではそんな事が言われたりします。ここスーダン南部も、髪型を見ればちょっとした事が分かります。
まずは、既婚か未婚か。既婚女性は、髪の毛を縞模様に結うため、髪型を見ればその人が結婚しているかどうか見分けがつきます。
また、我が子に不幸があった際、女性は髪の毛の一部を剃ります。もし自分の夫に不幸があったときは、髪の毛の一部ではなく、すべてを剃ります。
ここスーダンでは、男性が一家の大黒柱と考えられているため、子どもの場合は一部、夫の場合はすべて剃るようです。また、夫が亡くなった場合は、いつも身につけている色鮮やかなアクセサリーもすべて外すということです。
男の価値は牛で決まる?!
綺麗な顔で生まれたい。この思いに反対する人はいないでしょう。ここスーダン南部も、それは同じ。しかし、結婚をする際には、もっと大事なことがあります。それは…牛。
結婚をするにあたり、花婿から花嫁へどれだけ牛を持参出来るか、これは最も重要な要素です。もし、複数の男性にプロポーズされれば、最終的には牛の数で勝敗が分かれるとのこと。なお、一般的な相場は80頭程だそうです。
また、地域によって、貢ぐものが牛であったり、羊、ヤギ、またはお金であったりと違っているそうです。この違いが、地域間による結婚の妨げになることもあるとのことです。
ファッションは皆の関心事
裸。そう、スーダン南部では多くの人が裸なのです。男の子の多くは下着も身につけず、荒野を駆け回っています。非常にたくましい。そして大人の女性も、胸まではだけている人が多くいます。
そんな人たちのファッションはというと、ビーズを使ったアクセサリー。そしてもう一つは、動かぬ資本、自らの体に装飾することです。写真にあるように、幼い頃に顔や腕、お腹に鋭利なもので模様を描いていくのです。小さな女の子のまだ新しい傷口を見るとかなり痛々しいのですが、年配者の模様を見ると、ファッション的美しさと同時に何か人生の深みまで伝わってきます。
また、顔に模様を入れるのには、ファションの意味合いと、もう一つ理由があります。それは、争いなどで家族が離れ離れになってしまった際、この顔の模様から自分の子どもを探し出すことが出来るという昔からの慣習によるものです。従って、今でも顔の模様を見ると、どこの地域の人か判明出来るそうです。
いかがでしたか。いつもとは違った視点から見ると、他にももっと面白い発見があるに違いありません。これからも、こうした発見を皆さまにお伝えしていきたいと思います。