ラオス・シェンクワン事務所
山下 祐美子
ラオス・モン民族の新年のお祝いと「婚活」
2010年10月よりラオス・シェンクワン事務所駐在。大学卒業後、看護師として病院に勤務。その後、イギリスの大学院で保健システム管理について学ぶ。帰国後、難民を助ける会へ。(千葉県出身)
記事掲載時のプロフィールです
ラオスには49の民族がいるといわれています。全人口の半数以上がラオ民族ですが、難民を助ける会が地雷・不発弾対策活動を行っている北部のシェンクワン県では約40%がモン民族です。
昨年12月に盛大に行われたモン民族の新年のお祝いの様子をお伝えします。
モンの人々のお正月は12月!?
昨年12月7日、モン民族の新年を迎えました。新年といっても西暦のように決まった日付があるわけではなく、その年の秋の穀物の収穫時期や月齢によって元旦が決められます。
年末・年始になるとモン民族の人たちはラオス国内だけでなく海外からも帰省し、家族そろって大晦日や新年を祝います。大晦日の夜には、家族みんなで鶏肉を使った伝統料理を食べ、その年の厄を払い落し、翌年の幸運を祈願します。
町中が大賑わいの2週間!
そして元旦にあたる翌日から2週間ほど続くのがモン民族新年のお祭りです。この期間、シェンクワンの町中は大勢の人出でとても賑やかです。
モン族の女性たちは、きれいにお化粧をして色鮮やかな伝統衣装を身にまといます。衣装にはコインを模した装飾品がついており、女性たちが行き交うたび、町中には「シャンシャン」という高い音が鳴り響きます。
モン民族の新年のお祭りでは、2つの大きな催しものがあります。
ひとつは闘牛観戦。町の中心から少し離れたところに作られた即席の闘牛場では、多くの観客が丘の上から2頭の闘牛の激しい戦いにくぎづけとなり、歓声をあげて楽しみます。
年に1度の貴重な出会い。「ボール投げ遊び」
もうひとつはボール投げ遊び。これは独身の男女しか参加できません。
遊びのルールは簡単です。まず男性と女性がそれぞれ一列に並び、向かい合います。そしてテニスボールぐらいの小さなボールを、会話をしながら投げ合います。このとき、もし向かい合った列の中に好意を持った異性がいれば、その人にボールを何回も投げて「好き」をアピール!相手も自分に好意を持ってくれればボールを投げ返してくれます。そして、お互いの気持ちを確認し合った男女の間で、ボール投げはずっと続きます。
そう、この遊びはモン民族の若い男女にとっては、年に一度の貴重な「婚活」の場となるのです。実際にボール投げで知り合い、結婚した人たちもたくさんいるそうです。
ちなみに、もしもボールを落としてしまったら、罰ゲームとして、モン民族伝統の歌を歌って踊ったり、自分が身に着けているものをボールを投げてくれた相手にあげなければなりません。もしもラオスでモン民族のボール投げを見かけたら、参加する前にキャッチボールの練習をしておくことをお勧めします。