パキスタン事務所駐在
山浦 遼
イスラマバードの古本屋めぐり
2011年3月よりパキスタン事務所駐在。大学卒業後、青年海外協力隊員としてウガンダに赴任。帰国後、難民を助ける会へ。2009年1月から2011年3月までスーダン北部のカドグリ事務所駐在。東日本大震災被災者支援活動に従事後、パキスタンへ。(宮城県出身)
記事掲載時のプロフィールです
パキスタン洪水支援や国内避難民・帰還民への支援などを行う難民を助ける会パキスタン事務所。今回は赴任して3ヵ月の山浦遼が、首都イスラマバードの古本屋事情についてお伝えします。
意外なほど静かなイスラマバードの街角
難民を助ける会パキスタン事務所に赴任前は、メディアを通じて報道される自爆テロや、民衆のデモなどから、常に張り詰めた空気をイメージしていました。でも、首都のイスラマバードはとても静かな街でした。道ばたや、ちょっとしたスペースを見つけては、大人も子どももクリケットを楽しみ、道路脇の芝生では、人々が楽しそうにおしゃべりをしています。その様子からは、毎日のように報道されるテロが、同じ国内で起こっているとは想像ができません。
自由時間は読書三昧
ただ、そうは言っても、安全上の観点からやはりいつでも自由に出歩けるわけではないため、夜は宿舎で本を読んで過ごすことが多くなります。そこでとても重宝しているのが、イスラマバードに数多くある古本屋です。
イスラマバードでは、市内の各区画に大きな市場があるのですが、市場の中にあるきれいな絨毯屋や服屋などの間に、多くの古本屋が点在しています。古本屋では色々な種類の本がとても安く入手でき、パキスタンの人だけでなく外国人が本を買い求めている姿もよく目にします。
古本屋には、国内で流行っている本はもちろん、海外で売れ筋の本、または誰が買うのか分からないような古い雑誌も置いてあります。ちなみに私が好きなのは、『ダ・ヴィンチ コード』で有名なダン・ブラウンの作品や、『評決のとき』や『ペリカン文書』のグリシャムの小説などです。海外の作品は、英語のまま売られています。中には現地語のウルドゥー語に訳した本もありますが、私がこれまでに行った本屋や古本屋では英語の本の方が圧倒的に多いようでした。他に絵本や児童書もありますが、日本の漫画などは残念ながらまだ発見できていません。
多くの本屋があるのも、イスラマバードの人々が熱心な読書家であることが理由なのかもしれません。難民を助ける会パキスタン事務所で働く現地スタッフのハッサンは、小学校のころから新聞や本をよく読んでいたそうで、彼自身、なんと2冊の著書があります。どちらもウルドゥー語で書かれており、一冊は詩で、もう一冊はニーチェに強く影響を受けた哲学的な本とのこと。難しそうですが、少しずつウルドゥー語を勉強して、いつか彼の哲学にも触れてみたい。そう思いつつ、今日も古本屋めぐりをしています。