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50本の井戸を掘りました。もっともっと必要です...! スーダン活動報告

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北部のアラブ系民族と南部の非アラブ系民族の間で内戦が20年以上続いていたスーダン。内戦の間、55万人以上の人々が国境を越えて近隣諸国へと逃れました。こうした難民の帰還と再定住を支援するため、ケニア・ウガンダ国境にある東エクアトリア州で、2006年8月から水、衛生、保健の分野で支援を実施しています。これまで清潔で安全な生活用水をもたらす井戸を50本掘削、地域医療を支える簡易診療所を3棟建設。生命に重大な脅威となるマラリアを防ぐための蚊帳を1万張配布するなどの活動を実施してきました。

内戦終結から3年が経過したスーダンでは…

緑色、茶色に濁った水

スーダン南部カポエタ周辺で採取した水。現地では濁った水でも大切な生活・飲用の水なのです

2005年に21年に及ぶ内戦が終結したスーダンには今、他国に逃れていた難民たちが続々と帰還しています。しかし、内戦中に学校、病院、井戸などのほとんどが破壊された故郷の姿に、人々は失望を隠し切れません。「難民キャンプの方がまだましだ」と多くの人々が口にしています。

なかでも、水問題は非常に深刻です。水道はもちろん井戸すらないため、住民は汚れた川や水たまり、ため池を生活用水として使っています。そこは、牛やヤギなどの家畜が水を飲む場でもあります。
慢性的に栄養不足の子どもたちは、不衛生な水を飲み、感染症や寄生虫による下痢が原因で命を落としています。たとえ井戸があっても、20キロもの重さの水を頭に載せて、数時間歩かなくてはなりません。人口に対して、井戸の数が全く足りていないのです。気温が40度を越すこともある厳しい暑さのなか、乾きを潤すための水すら手に入れることができない子どもたちを目の当たりにすると、「一刻も早くなんとかしなくては…」と焦りを覚えます。

水をめぐる争いが新たな対立の種に…

今後、帰還民の数は増え続け、ますます水不足は深刻になっていくでしょう。すでに、村同士や部族間で、水をめぐる争いも起きています。
より多くの人々が使えるよう場所の選定や、飲み水としての安全性の確認、また完成した井戸の管理など、ひとつの井戸を作るためには、やらなくてはならない大切なことがたくさんあります。

調査会社が地層のサンプルを採取している様子

1.掘る前に…


どの村に井戸を掘るのか。候補の村の水環境や道の状況などを調査し、選定します。井戸を長く清潔に使ってもらうため、村人による井戸管理委員会の設置・運営を村人に説明します。

掘削機を使って井戸を掘っている

2.掘るために…


内戦が終わったばかりのスーダンには掘削会社も機械もありません。地質調査や掘削は、隣国ケニアやウガンダの業者に依頼します。スタッフたちは現場でテント生活。雨期には、突然の大雨で道が通れなくなったり、大変な作業です。

完成した井戸を使う女性

3.掘った後には…


水が出たら、その水が飲用として安全かどうか調査します。井戸の土台やポンプを設置し、水質検査で問題がないという結果が出たら、使用を開始!井戸の管理委員、修理をする人などを村人から選出し、それぞれの仕事内容について研修を行います。

人間は、水がなければ生きていくことはできません。安全な水を充分に提供することが、ひいてはスーダンの平和定着にもつながるのです。人々の生活を「普通の生活」に戻していくこと、つまり安全な水が安定して手に入り、子どもたちが学校に通い、大人たちに生活の糧がある。そんな、将来に希望のもてるような生活をスーダンの人々が営むことができるようになれば、内戦に逆戻りする可能性は低くなっていくはずです。
そのために、私たちは活動を続けています。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

スーダン事務所駐在 名取 郁子

大学卒業後、外資系製薬会社に5年間勤務。モザンビークで1年間ボランティア活動を経験後、イギリスの大学院で開発学を専攻。国連機関職員、NGO職員を経て、難民を助ける会へ。2006年7月よりアンゴラ駐在員として地雷対策事業を担当。2008年1月よりスーダンに赴任。(滋賀県出身)

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