活動ニュース

中国四川大地震 被災者支援報告

2009年05月01日  その他緊急支援
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被災地の小学校に学習用品を配布

百科事典と録音機を天満小学校の子どもたちへ

百科事典と録音機を天満小学校の子どもたちへ。写真右は上海在住ボランティアの菅沼真理子

2008年5月12日、中国四川省一帯にマグニチュード7.9の大きな地震が発生、7万人以上の死者と2万人近い行方不明者,そして4,000万人もの被災者を出しました。

難民を助ける会は、地震被害状況を調査した上で、四川省の都江堰市天馬鎮村の天馬小学校に学習用品を配布しました。

都江堰市は四川省の首都成都から北西40キロに位置する人口約70万の観光都市で、同市GDPのうち半分は観光収入によります。今回の地震では、都江堰市も大きな被害が発生。3,091人が死亡、行方不明者191人、9割以上の家屋が被害を受け、負傷者は1万人に達しました。

被災地では国内外からの多くの支援を受けて、震災孤児や負傷者の生活面を保障する様々な施策がなされていました。天馬鎮村にある4つの小学校に通う1,500人の子どもたちのためにも、すぐに仮設教室が建てられました。仮設教室への移動は、校舎の修復のためだけではなく、地震を思い出す環境から子どもたちを救い出すという意味がありました。さらに、4校を統合した大きな学校建設が進められ、2009年9月に開校を予定しています。

校舎は再建できても…

仮設教室に積み上げられた支援物資

仮設教室に積み上げられた学習用品。新しい校舎の開校後に使われます

しかし、建物への支援が進む一方で、子どもたちが学ぶための機材や備品を揃えるための支援は届いておりませんでした。そこで難民を助ける会は、現地の要請に応えて子どもたちが新しい教室で新たなスタートを切るお手伝いができればと、勉強に必要な録音機や百科事典などを提供しました。

子どもたちに品物を手渡すと「日本のみなさんどうもありがとう」と言って、にっこりと笑ってくれました。そして、先生からは「地震による勉強の遅れを一日も早く取り戻し、学校を優秀な成績を収めるモデル校とすることが目標です。それが復興の証になるからです」と力強い言葉を聞くことができました。

地震に十分耐えうる強度をもつ建設中の新校舎

地震に十分耐えうる強度をもつ建設中の新校舎

支援物資を配布した後、建設中の新学校を案内してもらいました。先生が、仮設教室の敷地から通りを隔て、数百メートルの所にある工事中のビル群をさして「あれがそうです」といった時、その規模の大きさに思わず目を疑いました。周囲の景観から見ても違和感を覚えるほどの立派な建物が建てられていたのです。

上海市の支援のほか、香港の企業も建設支援をしているということでした。これだけの建設支援を受けながら、学校の備品が用意できないところに支援のアンバランスさを感じずにはいられませんでした。

それでも生徒も先生も、そして父兄たちも新しく立つ学校に大きな期待と希望を寄せています。6月には校舎がほぼ完成するので、今年は夏休みを1カ月多く取り、開校の準備に当たるのだそうです。そのため今は土曜日を返上し週6日の授業を行っています。今回の訪問で、全員が心を一つにして新しい学校の完成を心待ちにしていること、そのための準備に力を尽くしていることがとてもよくわかりました。

私たちが届けた品々は、新しい教室に納められ、必ずや有効に、そして大切に使われることでしょう。

都江堰市内のビル

都江堰市中心部には、今も崩れかけたまま手付かずになっているビルがあります

休み時間は仮設教室の棟の間の狭いスペースで遊ぶ

休み時間には、仮設教室の棟の間の狭いスペースで遊んでいました

天馬小学校から届いた感謝状

天馬小学校から届いた感謝状。クリックすると大きく表示されます

感謝状

AAR JAPANと互人多※のみなさま

皆さまからの支援物資、心より御礼申し上げます。

皆さまは地震後もずっと被災地の子供たちに関心を持ち続けてくださいました。私たちも皆さまの温かい心と励ましを何時も身近に感じ続けていました。地震後、私たちは大勢の人々の助けによって、仮設校舎に入ることができました。仮設の教室は雨風を凌いで学ぶ場所こそ提供してくれましたが、多くの 教材や学用品が地震によって損失しました。残されたのは原始的な「黒板とチョーク」だけ、このため教育の質は大変低下してしまったのです。

そのような状況の中、皆さまは私達に録音機、複読機、百科事典、英漢辞典、地球儀、拡声器、サッカーボール、バスケットボールなど各種の学習用品や運動具を送ってくださいました。これらは被災地の子供たちの教育環境を改善してくれたばかりでなく、同時に子供たちの今後の教育にも、大きな希望を与えてくれました。皆さまの善意は私たちを感動させたばかりでなく、大いに鼓舞してくれたのです。私たちはあなた方の支援によって、地震によりもたらされた暗闇から一日も早く抜け出し、より良い学びの場を再建築できると信じています。

私たちは今後、地震後の復興に全力を尽くしてまいります。皆さんがこの地を訪問された時、新しく変わった私たちの学校をご覧にいれることができるでしょう。

最後にもう一度、AAR JAPANと互人多の皆さんに心より感謝の意を表したいとおもいます。そして皆さんのご健康とご発展、平安を心よりお祈り申し上げます。

四川省都江堰市天馬小学校

2009年4月9日

※ 互人多(フレンド)。中国の経済的に貧しい子ども達が、より良い環境の中で教育を受けられることを目的としたボランティアグループ。上海の日本人駐在員の家族が主なメンバー。難民を助ける会と共に中国四川大地震被災支援活動を実施。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

上海在住ボランティア 菅沼 真理子

1989~1995年まで、難民を助ける会の東京事務所および、ザンビア事務所駐在代表として勤務。現在は、ボランティアとして中国貧困地区の教育支援活動を行っている。2009年6月より難民を助ける会理事。

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