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フィリピン台風緊急支援・被災者の声 「とにかく怖かった...」「息子が行方不明です」

2009年10月04日  フィリピン緊急支援
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マニラ首都圏ケソン市バゴン・シランガン地区では、小学校が避難所となり、399家族、1797人が避難しています。死者数は45人、不明者10人。1つの教室に7~10家族(1家族5~6人)が生活しています。避難はしたものの、次の台風では浸水する危険のある地域のため、不安な日々は続きます。

10月3日、現地入りした東京事務局の広谷樹里が、被災者の方々から直接お話をうかがいました。

「本当に怖かった…」呆然とするマレーベル・ベヤジェンさん(24歳)

「とにかく怖かった。もう家には戻りたくない」

洪水で家財道具を一切失ったマレーベルさん(24歳)。生後7ヵ月の娘と避難所生活をおくる。(2009年10月3日、大西撮影)

「夫と3人の子どもがいます。台風16号が来る前日に、自分の判断で家から避難し、上の子2人は親戚の家に預け、日曜日にこの避難所に来ました。政府からの避難勧告などはありませんでした。
家自体は無事でしたが、家財道具は洪水ですべて流されてしまいました。本当に怖かった。もう家には戻りたくありません。家は川の近くなので、小さな雨でも危険です。
この避難所の教室には、今朝入ることができました。親戚や近所の人たちが同室です。7家族12人で生活しています。教室に入る前は廊下にいました。今でも教室に入りきれない人たちが、大勢廊下で寝起きしています。教室に入れたとはいえ、生後7ヵ月の娘がいるので避難所での生活は大変です。」

避難所の廊下にて

避難所となった小学校では、教室からあふれた人たち数百人が廊下で生活している

洪水は逃れたものの、不安を抱えての避難所生活

避難所の教室に入れたものの、先行きの見通しが立たず、不安な日々を送る人々

(2009年10月3日、大西撮影)

「生後11ヵ月の息子が行方不明です…」アントニー・イグナシオさん(30歳台)

最愛の息子(生後11ヵ月)を失ったアントニーさん

「家もお金も息子も失い、先の見通しが全く立ちません」とアントニーさんと娘(2009年10月3日、大西撮影)

「妻と3人の子どもがいます。そのうち生後11ヵ月の息子が行方不明です。私の弟も、妻と息子を亡くしました。
仕事は日雇い建設作業員です。今は仕事が止まっています。

洪水で家の中に閉じ込められ、2人の子どもしか助け出すことができませんでした。11ヵ月の息子は、今も見つかりません。
家は洪水により完全に流されてしまいました。

9月27日(日)の朝6時に妻と2人の子どもとともにこの避難所に来ました。
避難所は人が多いため、暑さと騒音で夜は眠れません。早く避難所を出て他の場所に移りたいですが、お金も戻る家もなく、今後の見通しがまったく立っていません。」

以下は、広谷樹里事務局員からの、避難所や周辺施設の様子の報告です。

避難所に並んだ子どもの棺

洪水で逃げおくれた死者の多くは子どもたちでした

避難所横の体育館に並べられた小さな棺。生前、子どもが好きだった食べ物などが供えられていました(2009年10月3日、大西撮影)

避難所となっている小学校に隣接した体育施設にも、数百人の被災者が避難していました。こちらは屋根のみで壁も仕切りも全くないため、小学校よりさらに悪い環境です。歩く隙間も無いほどマットで埋まり、足を伸ばして休むスペースはありません。仮設トイレが4つありますが、子どもがその辺で用を足しており、衛生状況の悪化も懸念されています。病気になった場合は隣接するヘルスセンター(市政府が運営)で診てもらえますが、医師や看護師も不足しています。

施設の端で、洪水による死者の葬式が行われていました。フィリピン人の多くはクリスチャンのため、日曜日に埋葬されます。

体育館には亡くなった方々の棺が並べられ、家族が寄り添っていました。28人の死亡者リストのうち、15人が15歳以下の子どもでした。

洪水により水位が天井近くまで到達

水位の痕が、洪水の恐ろしさを物語ります

洪水発生時は、あっという間に赤い矢印部分まで水位が到達(2009年10月3日、大西撮影)

マニラ首都圏ケソン市内でも土地が低く、被害が甚大だったバゴン・シランガン地区。ここは近くに山があり、ダムが3つ建設されていましたが、台風による豪雨でダムが3つとも決壊。大量の水が低地である同地区に流れ込みました。

水は家の天井まであふれ、人々は屋根の上や高い土地に避難しましたが、多くの家が2階、3階まで水に浸かり、逃げおくれた人も大勢いました。

この写真はこの地域に立つ地区センターですが、洪水発生時はこの壁に残っている線の高さまで水位が達したそうです。

水位は橋げたの下にまで達していた

マニラ首都圏のマリキナ市を流れるマリキナ川。橋げたの下まで水位が達したことが、泥水の跡からわかる

家財道具は探し出したものの、先行き不安な男性

泥だらけになった家財道具を積んで、憔悴(しょうすい)した様子の男性

洪水により流された家財道具を探す人々

洪水により流された家財道具を探す人々(最も被害の大きかったバゴン・シランガン地区)

洪水は川からあふれ出て村を襲った

同じく被害の大きかったプロビデントビレッジでは、川の水が溢れて堤防の上に生えた木にまで川のゴミがかかっている

洪水によりひっくり返された車両

ひっくり返された車両が、洪水の脅威を物語る(プロビデント・ビレッジにて)

台風16号に続き、17号による被害も危ぶまれる

マリキナ川の増水が引く様子はまだ見えない。人々の生活が元に戻るまでには、時間がかかりそうだ

(2009年10月3日、大西撮影)

一刻も早く、被災者がもとの生活を取り戻すために

避難所生活をおくる子どもたち

避難所の子どもたちが、一日も早く元通りの生活をおくれることを願って(中央が広谷・2009年10月3日、大西撮影)

難民を助ける会では、洪水により生活の見通しが立たない被災者へ、緊急支援物資を配布する予定です。

皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

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