パキスタン洪水支援 速報第1弾「すべてが流された。一体どうすれば」
高さ6~7メートルもの洪水が押し寄せた
パキスタン北西部で起った洪水被災者への緊急支援のため、8月6日現地入りした東京事務局の大西清人が、被災地の様子を報告します。
8月7日、首都イスラマバードより、もっとも被害の大きい北西辺境州ノシェラ群に向かいました。途中、道路から見える農地は水に浸かったまま、インダス川では例年はありえないほど水量が増し、河畔の建物は水没、洪水被害の甚大さを物語っていました。
ノシェラでの被害は想像以上でした。カブール川の氾濫で、一時は高さ6~7メートルもの洪水が押し寄せたとのことです。レンガ作りの建物は崩れ落ち、本来なら小麦などの農作物が実っているであろう農地は水浸しのままです。人々が日常の生活を取り戻すには、かなりの時間がかかると思われます。
今後も降雨が続くことが予想され、被害の拡大とともに、野菜などの生鮮食料品や生活物資などの物価高騰が、被災者をさらに苦しめるだろうと懸念されています。
連日500名の患者が並ぶ臨時診療所
8月2日に設置されたばかりの臨時診療所では、運びこまれた患者やその家族で大混雑していました。大学の校舎を臨時診療所として使用しているほか、敷地の空いた場所には被災者用のテントが張られています。土の上に張られたテントは既に水浸しになり、感染症などの衛生面での問題も心配です。現在6名の医師が、怪我人や下痢、熱などの患者を毎日500名ほど診察しているとのことでした。
家は流され、父親も失業中。これからどうすれば・・・
高熱を出し、点滴治療を受けている1歳半の赤ん坊を連れたハミール・タージャさん(65歳・女性)。洪水によって家を流されて、一時親戚の家に身を寄せたが、現在はこの診療所に寝泊まりしているそうです。孫の父親は失業中で、食料やテントを買うお金もない、と途方に暮れています。
出産直後に洪水が家を襲い・・・。命からがら逃げてきました
ムハマド・フマユーンさん(52歳)は、家族全員で臨時診療所に避難しています。7月30日に妻が自宅で双子を出産、その数時間後に洪水が家を襲い、命からがら家族全員でボートで逃げてきました。幸運にも妻も4人の息子も無事でしたが、出産で衰弱した妻や生まれたばかりの赤ん坊の健康が心配。住むところが欲しいと語っています。
食料を中心とした支援物資の配布開始!
2005年の地震の際は、首都から被災地へ向かう道は支援物資を積んだトラックの群れで激しい渋滞ができていましたが、今回、支援物資を運ぶトラックはほとんど見受けられません。甚大な被害が出ていながら、支援がまだ足りていません。
難民を助ける会は、ただちに食料と生活物資の配布を開始します。
何卒、皆さまの温かいご支援を、被災者の元にお送りください。
【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
事務局次長 大西 清人
2004年から2年間、アフガニスタンに駐在し、地雷対策活動に従事。またパキスタン大地震(2005)、レバノン空爆(2006)、ミャンマーサイクロン(2008)、フィリピン台風(2009)で緊急支援を担当。44歳(広島県出身)