パキスタン洪水支援 速報第4弾 被災地ノシェラ・カランで物資を配付しました
被災者110世帯に緊急支援物資を配りました
パキスタン北西部で起った洪水被災者への緊急支援のため、東京事務局の大西清人、青木真理子、杉澤芳隆、川邉安行が現地入り。12日には、現地の協力団体NCHDとともに、被害の大きいノシェラのピール・サバック村で、支援をもっとも必要とする200世帯へ、15日には、現地の協力団体GPPとともに、同じく被害の大きいノシェラ・カランで110世帯に支援物資を配付しました。
以下は、現地からの報告です。
清潔な飲料水が手に入らず、感染症の拡大も
曇り空の中、8月15日の早朝8時にノシェラ・カラン村へ向けて出発しました。途中、突発的な豪雨に見舞われました。スピードを落とし走行を続けていると、車窓の景色は、8月12日に同じ道路を通った際とは明らかに異なり、水位が上がり流れも急な川や、完全に浸水した畑が目に入ってきました。約2時間走った後、高速を降り、ノシェラ・カラン村へ。その道の左右には、多くの避難民用のキャンプや臨時の診療所などが設けられ、氾濫したカブール川付近から内陸まで避難してきた人々の様子が伺えました。
洪水の影響で水没した道を車はなんとか進み、村の中心部へ。10時過ぎ、緊急支援物資を配付する場所に到着。私たちが着くと、既に会場には配付を待つ人々 が整然と待っていました。男性に加え、小さな子どもを連れた母親たちもいました。支援物資は前回と同じ米や砂糖、豆、カレー粉、食用油、すぐ食べること のできるデーツ(なつめやし)、干しぶどうなどの食糧品や、ろうそく、石けんなどの生活必需品に加え、飲料水としてミネラルウォーターも配付しました。こ のミネラルウォーターは物資を調達した商店の主人からのご寄付です。イスラム教の祈りを皆で捧げた後、約110世帯の人々に配付開始。今回は大きな混乱もなく、約1時間で配付が終了しました。
「将来の見通しが立ちません」8人家族で苦しい避難生活
会場には男性が多い中、片隅に配付の順番を待つ親子がいました。母親はルビーナさん(推定33歳)、息子はファハドちゃん(4歳)。子ども6人と両親の8人家族だそうです。
ルビーナさん一家は、洪水が発生しカブール川が氾濫したため村のはずれの高い丘へ避難したそうです。
数日後に家に戻ってみると、家は倒壊。家具などはすべて流され、何も残っていなかったそうです。現在は村の学校に設置された避難キャンプで生活をしています。しかし、1つの教室に7家族が生活を共にしており、飲み水はなく、食事も米だけという厳しい避難生活を強いられています。
「難民を助ける会が物資を届けてくれるまで、洪水被害発生から一度も、どこからも支援はありませんでした。また、これまで主人の日雇い労働のお金でなんとか生活していましたが、このような状況では仕事もなく、これからの生活を考えると不安です」と話してくれました。
今回、配付を受けた人の中には皮膚病を患っている人も見かけました。きれいな飲料水や生活用水が手に入れにくい生活環境の下、感染症の拡大が懸念されます。支援物資配付に加え、医療的な支援の必要性も痛感しました。
難民を助ける会では、パキスタン洪水被災者への緊急支援を続けます。引き続き、皆さまのご支援をお願いいたします。
【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
東京事務局 川邉 安行
2010年6月より東京事務局海外事業担当。大学卒業後、旅行会社に勤務し約50カ国に添乗。その後、難民を助ける会へ。(千葉県出身)