パキスタン洪水支援 速報第5弾 「先が見えません」幼子を抱えた被災者たち
臨時診療所の患者たち
パキスタン北西部で起った洪水被災者への緊急支援のため、東京事務局の大西清人、青木真理子、杉澤芳隆、川邉安行が現地入り。12日には、現地の協力団体NCHDとともに、被害の大きいノシェラのピール・サバック村で、支援をもっとも必要とする200世帯へ、15日には、現地の協力団体GPPとともに、同じく被害の大きいノシェラ・カランで110世帯に支援物資を配付しました。
以下は、現地からの報告です。
8月15日、ノシェラ・カラン村で物資配布を行った後、近くの臨時診療所を訪問しました。速報第一弾で大西が訪れたのと同じ場所です。廊下が人であふれるよう なことはありませんでしたが、診療所には診察を受ける人が続々と来ていました。また、小さい子どもをつれて診療所内に寝泊りしている人もたくさんいまし た。
「昨日出産したばかり。帰る家がありません」
ナシリンさん(35才)の娘ザヒダさん(15才)(写真上)は、洪水後にはじめての子どもを産みました。自宅は洪水で崩壊したといいます。
ロヘダさん(写真左)は昨日女の子を出産したばかり。「飲料水、ミルク、服、どれも足りません。帰る家がなく不安です。」と訴えました。
「着の身着のまま避難しました」
臨時診療所は大学の建物を利用しています。敷地内の空き地には一面テントが張られていました。テントで暮らすグルナジラさん(60才)の一家に話を聞きました。
洪水当日の様子を伺うと、「(近くを流れる)カブール川が氾濫し、水が突然押し寄せてきました。何も持てずに避難したから、この服も洪水の当日着ていたものなの」との答えでした。自宅は崩壊し、徒歩でこの場所まで来ました。このテントでの生活は15日目になるそうです。
グルナジラさんの長男は結婚してカメラマンとして働いていましたが、機材等は洪水で流され、全て失いました。長男の二人の子どもファトマちゃん(1才)とマリアムちゃん(6ヵ月)も一緒にテントで生活しています。
食料は米をもらっていますが、それ以外の食材がなく、量が足りないとのことでした。配布された水は汚れていて、飲める水が足りないそうです。
物資や医師が足りないと、子どもや高齢者のいる世帯に特に大きな影響が出ることを再認識しました。必要なものが被災者に届いていない状況に、焦りを感じます。
難民を助ける会では、パキスタン洪水被災者への緊急支援を続けます。引き続き、皆さまのご支援をお願いいたします。
【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
東京事務局 杉澤 芳隆
2010年5月より東京事務局勤務。大学卒業後、民間会社に勤務後、難民を助ける会へ。(茨城県出身)