スリランカ洪水緊急支援第3弾:トリンコマレーの被災地で
被災地に到着、洪水の被害を目の当たりにする
1月24日昼過ぎ、被災状況の調査のため、スリランカの最大都市コロンボを出発、その日の夜に島の東岸にあるトリンコマレーに到着しました。翌朝、未舗装の道を車で走り、被災したキンニヤ地区に向かいます。途中では道路が陥没していたり、いまだに冠水しているところもありました。2時間ほどでキンニヤ地区に入ります。大きな湾に面した海沿いの低地で、石造りの家や藁葺きの納屋、田んぼが広がる村です。
村の人に話を聞くと、昨年から続いた豪雨は今年に入ってさらに激しさを増し、1月9日頃から洪水となって村を襲ったとのことでした。家の壁には洪水がそこまで達したことを示す水の跡がくっきりと残っています。水位は80cmから100cmに及び、場所によっては200cmを超えたところもあったそうです。
この村は仏教徒の多いスリランカには珍しくイスラム教徒の多いところで、洪水の際は多くの人たちがモスクに避難したそうです。人々の救助に使われたというボートが力なく道に残されていたのが印象に残りました。
田んぼにも水が浸水し、稲は倒れ、収穫できる状態ではありませんでした。農業を営む貧しい村人たちにとって、貴重な収穫の機会を奪われることは、生きていく糧を失うことでもあります。今後、農作物の被害がもとで食料不足が起こり、価格が高騰する心配もあります。洪水が去っても被害が終わるわけではありません。
「どうか、家を直してほしい」
洪水で家を失ったという女性に話を伺うことができました。
モスクで祈りをささげた彼女は洪水のなか帰宅すると、変わり果てた我が家に眼を疑ったそうです。屋根はなくなり、家の壁が半分崩れていました。実際に自宅の跡を見せてもらいましたが、積みあがった瓦礫の山が水の勢いを物語っています。自宅を失った彼女は、今、娘の家に身を寄せています。私と話している間、彼女は決して私と眼を合わせようとしませんでした。帰り際、「どうか、家を直してほしい」と力なくつぶやく姿に、彼女の深い絶望を感じました。
※この活動は、皆さまからのあたたかいご寄付と、ジャパン・プラットフォームの助成を受けて行っています。
【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
東京事務局 小林 通孝
2010年より東京事務局にて勤務。大学卒業後、新聞社、広告会社で営業・編集・広告制作に従事。34歳(東京都出身)