サイクロン「ギリ」緊急支援続報 さまざまな工夫で被災者を支えています
難民を助ける会は、2010年10月にミャンマー(ビルマ)西部を襲い、被災者26万人を出したサイクロン「ギリ」の緊急支援を継続しています。ミャンマー事務所では、サイクロン発生後に駐在員の久保田和美を中心とした支援チームを結成。これまでヤカイン州のチャウピュー地区とミエボン地区の3,368世帯(16,475人)へ、食料や生活必需品などの緊急支援物資を配付しました。
立場の弱い被災者や村の状況に配慮した配付
配付するにあたり、事前に村人にその村に住む世帯のリストを提出してもらいます。ところが、ミエボン地区のンガ・ラット・ピャー村では、そのリストには、高齢者世帯や女性世帯、障害者世帯が含まれていませんでした。また、サイクロンの襲来以前に、村の中で口論があり、それが原因で村八分にされていた世帯もリストに載っていませんでした。難民を助ける会のスタッフは、村のすべての世帯を確認し、全世帯に支援を届けました。
ミエボン地区は、ベンガル湾に面し、川や水路が網の目のように入り組んでいる複雑な地形。人々は土手を築いて海水の浸入を防ぎながら、農業を営んでいます。しかし、サイクロンで多くの土手が決壊しました。支援物資の配付にあたっていた難民を助ける会の現地スタッフは、「土手が壊れたままでは、来期の農耕期を迎えても、田植えができない」ことに気が付きました。
土手が壊れた場合、通常は土地所有者の組合が、日雇労働者を使って修復します。しかし、サイクロンで収穫した米を失った組合には、その余裕はありません。そこで、健康で元気のある村人を募って、米を配付する代わりに、土手の修復作業を行ってもらうという仕組みを考えました。2月9日までに、ミエボン地区東部の8つの村で、土手の修復を行うことができました。土手の修復が必要なことは村の人たちが一番わかっていましたが、お腹が空いた状態で作業を行うことは難しかったようで、今回の配付の方法にとても喜んでいました。
今後もさまざまな工夫をしながら、復興の応援を続けていきます。
※この活動は、多くの方々からのご寄付に加え、ジャパン・プラットフォームの助成も受けて行っています。
【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
東京事務局 林 早苗
2010年6月より東京事務局で主にミャンマー(ビルマ)事業を担当。大学卒業後、民間企業に勤務。その後、英国の大学院で人類学を学び、国際機関勤務などを経て難民を助ける会へ。2010年12月よりミャンマーに入り、サイクロン「ギリ」の緊急支援活動に従事。37歳。(栃木県出身)