東日本大震災(51):被災した方々、一人ひとりの声に応えられるように
難民を助ける会では、3月11日(金)から被災者への支援活動を行っています。宮城県に比べて、被害地域が都市部から離れた地域に広がり、復興が遅れている岩手県で活動する盛岡事務所の大豆本由紀から、岩手県の現状と難民を助ける会の取り組みについての報告です。
スーダンから被災地へ
難民を助ける会では、4月1日、岩手県の活動拠点として盛岡市に事務所を設立しました。対象としている障害者・高齢者施設や在宅避難者は沿岸部に多く点在し、日々数時間かけて被災地へ行きます。
今回の震災を3月末まで駐在していたスーダンで知りました。3月末に帰国し、4月7日に盛岡に入りました。初めて被災地を訪れたときは、ニュースで見たあの光景が目の前に広がっているという事実をしばらく信じることができませんでした。「あそこに家があって、隣は本屋があったんだ」とつぶやくおばあさんが指差す向こうは、その痕跡さえ残らない状態であったことを今でも鮮明に覚えています。
めまぐるしく変化するニーズ
震災から2ヵ月以上が経ち、被災地では変化が見られています。瓦礫の撤去が進み、物流が回復し、交通量も多くなりました。電気の復旧作業のため道が通行止めとなり、渋滞が起こることもあります。一方で、自衛隊が行方不明者を捜索する地域、水道が復旧せず店が一軒もない地域もあります。一概に被災地といっても、地域差が生じているのが現状です。
また、被災された方々が必要とするものも変わってきました。飲料水や保存の効く食料から、最近では野菜や果物といった生鮮食品、また春物・夏物衣類や扇風機、施設では運営に必要なコンピューターやプリンターといった事務用品を配付することが増えています。生きるためから、当たり前の生活を送るために必要な生活用品へと、要望はめまぐるしく変化しています。
障害者、高齢者、在宅避難者への支援強化を
宮城県に比べると岩手県は障害者・高齢者関係団体の情報が少ないため、関係団体や施設一つひとつと密に連絡を取ることで被害状況の把握を行っています。障害者・高齢者施設には、自宅から通っている方もいらっしゃいます。避難所の被災者とは異なり、在宅避難者は物資配付の対象から漏れることもあります。今後はそのような在宅避難者の方々への支援強化が必要です。
さらに、岩手県庁の依頼を受け、被災者個人の安否確認、所在把握、義援金などの給付業務を支えるシステム構築にも協力し、被災者の皆さまの生活が一日でも早く回復するよう支援しています。
岩手県は広大なため、活動団体の数は十分とはいえません。支援の手が届いていない方々がいるのではないか、支援を必要とする声がどんなに小さくとも聞き逃さないように、綿密な調査を続けていきます。
宮城県とともに岩手県での支援もまだまだ課題が山積みです。今後も変わらぬご支援をどうかよろしくお願い申し上げます。
※支援活動にあたっては、企業や団体、学校、個人の皆さまよりご寄付や物資のご提供などのご協力をいただいて行っております。すべての方々をご紹介することができませんが、何卒ご容赦ください。皆さまのあたたかいご協力に心より感謝申し上げます。
緊急募金にご協力ください
皆さまのお気持ちを、被災された方々に確実にお届けします。どうぞご協力をお願いいたします。
郵便振替: 00100-9-600 加入者名: 難民を助ける会
*通信欄に「東日本大震災」とご記入ください。*領収証が必要な方はその旨お書きください。
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【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
盛岡事務所 大豆本 由紀
大学卒業後、民間企業、政府機関などを経て、2009年より難民を助ける会のスーダン駐在員。2011年4月より盛岡事務所にて岩手県を中心に東日本大震災の被災者支援活動に従事。(兵庫県出身)