東日本大震災(59):女川町にコンテナハウスの商店街が誕生!
難民を助ける会では、国際ジャーナリストの菅原出氏を発起人として、組み立て式で設置の容易なコンテナハウスを被災地に送るプロジェクトを行っています。これまで宮城県牡鹿郡女川町に8棟を設置。続いて10棟を、6月7日・8日に設置しました。
プロジェクトの発起人である菅原出氏から、6月7日・8日の設置の様子をご報告します。
新たに10棟のコンテナハウスを住居兼商店として設置
宮城県女川町は、震災によって、3800の世帯のうち残った家がたった800世帯と、壊滅的な被害を受けました。女川湾の目の前に位置していた商店街の地区は津波の被害が最も大きく、すべて流されてしまいました。震災から3カ月が経過した今も、女川町で買物ができるのはコンビニエンスストアと小さな商店のたった2軒だけという状況です。
その女川町の鷲神浜に、6月7日~8日、コンテナハウスを10棟設置しました。住居兼商店として活用し、商店街を復活させたいという女川町商工会青年部の方々の声にお応えしたものです。
これまで同様、大崎八幡宮の小野目宮司をはじめとする神社のスタッフと、仙台のプレハブ会社である東北グレーダー株式会社のプロフェッショナルが組み立て作業を主導。またコンテナハウスの調達や輸送などの手配をしてこの活動を支えている小西美奈さんとご主人のニルス・ビルト氏もアメリカから一時帰国して参加してくれました。西木場工務店のスタッフたちは、今回も手作りのテーブルを届けに埼玉から駆けつけてくれ、女川町商工会青年部の方々などたくさんの方が設置にご協力くださいました。
希望に満ちた「コンテナ村」が完成
青い屋根のかわいいコンテナハウスが10棟完成すると、立派な商店街の出来上がりです。
商工会青年部の方々は、ここを「コンテナ村商店街」と名づけました。車や自転車で前を通り過ぎる人たちが嬉しそうにこちらに目を向けながら、青年部の方々に声をかけていきます。
「震災から2カ月以上、これが欲しかったんです。これさえあれば活動を再開できるんです」と話してくれたのは商工会青年部の阿部喜英さん。阿部さんをはじめとする商工会青年部の方々の希望に満ちた笑顔を見ていると、「ここから何かが起こりそうだ」、「この人たちのパワーで女川の復興が始まりそうだ」と嬉しい予感がします。
この商店街には、食料品店、衣料品店、電気店に生花店、喫茶店などが並ぶ予定だそうです。
「ここにテーブルやいすを並べて青空カフェをやりたいね」
「皆が集まってお茶をしながら話ができるなんて最高だね」
「そうそう、皆で集まって話をする場所なんてなかったからな」
「ここに町のさまざまな情報が集まって、ここからいろんな情報を発信していきたいな」
阿部さんたちのイメージはどんどん膨らんでいるようでした。これから設備などを整え、7月上旬には女川町で震災後初めての商店街がオープンする予定です。
明日に向かって力強く歩もうとされている商工会青年部の方々の姿は、実に生き生きとしていました。こんな希望に満ちた瞬間に立ち会えたことに、とてつもない感動を覚えました。
今も住居として、保育施設として、仮庁舎として、様々な理由でコンテナハウスを切望されている方々がたくさんいらっしゃいます。もっともっとこの喜びの輪を広げていくために、皆さまの変わらぬご支援をお願いいたします。
※本プロジェクトの実施にあたっては、ゴールドマン・サックス証券株式会社およびゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社より、30棟分に相当する約2,400万円のご寄付をいただきました。
今後も広く募金を呼びかけ、ひとりでも多くの被災者の方に少しでも快適で安全な空間で過ごしていただけるよう、支援を行ってまいります。ぜひご支援をお願いいたします。 【コンテナハウス・プロジェクト支援 専用口座】 ■銀行
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※支援活動にあたっては、企業や団体、学校、個人の皆さまよりご寄付や物資のご提供などのご協力をいただいて行っております。すべての方々をご紹介することができませんが、何卒ご容赦ください。皆さまのあたたかいご協力に心より感謝申し上げます。
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【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
菅原 出(すがわら いずる)
国際政治アナリスト・国際ジャーナリスト。1969年東京都生まれ、中央大学法学部政治学科卒業後、アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科修士課程を終了し、修士号(M.A.)を取得。その後、フリーランスのジャーナリストとして、雑誌に執筆するなど国際情勢に関する著書も多数。 「折りたたみ式コンテナ」は輸送が容易で、数時間で組み立てる事が可能。政府が建設する仮設住宅が出来るまでの間、1日でも早く、一時避難中の被災者の方々に、安心できる空間を提供したい想いからコンテナハウスプロジェクトを立ち上げる。海外でのコンテナ調達から輸入まで、自らの手で積極的に活動を進めている。