スーダン南部で14名の地域保健員が誕生
4年にわたる育成プログラムが終了
難民を助ける会の活動地域のひとつである東エクアトリア州ラフォン郡には、医療施設が不足しており、住民は医療サービスを受けることができなかったため、難民を助ける会は、2007年度にUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)と共同で、3棟の簡易診療所を建設しました。しかし、運営を担うはずの地方行政にその余力がなく、診療所で働く医療従事者の確保を依頼されました。そこで、難民を助ける会は、医薬品の運搬支援とともに、簡易診療所で基本的な診察、応急処置、医薬品の管理を行う、地域保健員の育成を行ってきました。
スーダン南部の自治政府には、9ヵ月の地域保健員育成カリキュラムがあり、それに沿って研修を行ってきました。受講生は、半農半牧の生活をしており、9ヵ月の研修を一度に受けることはできません。そこで、繁忙期を避け、2~3週間の研修を年数回ずつ、4年にわたって実施してきました。
2011年5月、すべてのカリキュラムを終え、修了式を開催。郡役所から2名が郡長代理として出席し、修了者に証書を手渡しました。研修の一環で、近隣の村々の女性を対象に行った調査では、この地域で非常に多い病気であるマラリアの原因を理解している人は、4分の1程度しかいませんでした。村の人々が健康に過ごせるよう、地域に住む保健員が治療を行うとともに、正しい知識を広めていきます。
簡易診療所のなかには、そこで働く医療従事者を確保できず、使われないままになっているものも少なくありません。診療所の建設から地域保健員の育成までの今回の取組みは、地域の医療サービス向上の成功例として、7月9日に独立予定の新国家の政策に活かしてもらうよう提言する予定です。
研修生代表のダニエル・オヒュチョルモイさん(28才) |
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こうして研修を修了でき、本当に良かったです。地域住民により良い医療サービスを提供するためにも、習得した知識、技術を日々生かしていきたいと思います。14名の講習生は、違う地域からやってきました。講習前には顔も見たこともない人たちです。しかし、今は仲間です。地域間では水や家畜を巡る争いがあります。こうして若者が集まり、親交を深めたことは、将来地域にとって非常に有益だと思います。このような機会を作ってくれた難民を助ける会に感謝します。 |
※この活動は、多くの方からのご寄付に加え、ジャパン・プラットフォームからの助成を受けて行っています。
【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
スーダン・カポエタ事務所駐在 角谷 亮
2007年11月から2010年3月までタジキスタン事務所に、同年4月よりスーダン・カポエタ事務所に駐在。大学では英米語学を専攻。卒業後、派遣員として在外公館に2年半勤務。その後、難民を助ける会へ(兵庫県出身)