カンボジア:水害被災者に支援物資を配付しました
東南アジア全域で発生している水害の被災者支援のため、難民を助ける会では、11月5日から岡山典靖と林早苗の2名をカンボジアに派遣して、緊急支援を開始しています。11月15日、首都プノンペン近郊のカンダール州サイカンダール郡で、300世帯に食料や生活必需品などの支援物資を配付しました。
被害世帯の半数以上に支援が届いていないサイカンダール郡で配付を実施
カンダール州サイカンダール郡では、12万世帯のうち12,200世帯が洪水の被害を受けました。床上まで水が来るような状況が1、2ヵ月も続いており、生活の糧である田畑にも深刻な被害が出ています。サイカンダール郡の郡長によると、これまでに支援を受けられたのは4,300世帯ほどで、その他の世帯には全く支援が届いていなかったそうです。
難民を助ける会では、障害者、高齢者、寡婦世帯など、災害時により弱い立場に置かれる人々300世帯を対象に、支援物資を配付しました。被災状況の調査や支援物資の調達にあたっては、難民を助ける会が以前プノンペンで支援していた障害者職業訓練校の元校長先生、ソチェットが全面的に協力してくれました。
「畑が駄目になって困っていました。支援をありがとう」
70歳の母親と妹家族と暮らすモン・チャムラエンさん(女性・40歳)は、生まれつき両足の膝下と右手がありません。15歳の時から織物を作って家計を支えてきましたが、洪水の後は市場まで行くことができず、収入が途絶えていました。9月から10月にかけて、自宅の周囲の水位は1メートルほどになり、家で育てていた米とサトウキビも被害を受けました。妹の貯金でお米を買って凌いでいたそうです。「他からの支援がなく、お米などの食料品はとても助かります。必要なものを買えるようお金が欲しい」と話していました。
「せっかく植えた苗や野菜の種が浸水でダメになってしまった。また一からやり直し、収穫まで何とか食いつながなくてはならない」と話すのは、ソ・ション・ナームさん(男性・40歳)。6歳のときの事故が原因で視覚障害があり、家族とともに農業で生計を立てています。9月から11月にかけてひざ丈まで水位があり、そのときは特に視覚障害のあるナームさんは全く外出できず大変だったそうです。「食べる物をいただけて本当に助かった。ありがとう」と笑顔を見せてくれました。
困難な時も助け合いながら暮らすカンボジアの人々
配付した物資は一人では持ち切れないほどの重さでしたが、事前にそのことを伝えていたため、みなさんご家族や友人と一緒に受け取りに来ました。自転車や荷台に物資を載せて帰路に着く人々からは笑顔が絶えません。洪水の被害に遭い大変なときですが、家族や地域の住民と支え合って生活している様子がわかりました。そのたくましい姿に、勇気付けられています。
今後はさらに被害の大きかったシェムリアップ州で、同様の物資配付を継続する予定です。引き続き、皆さまの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
1世帯当たりの配付物資 |
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食料:米(20kg)、塩(1kg)、油(400ミリリットル)、醤油(450ミリリットル)、魚醤(750ミリリットル)、魚の缶詰(10個) 生活必需品:蚊帳(1枚)、石けん(4個)、洗剤(0.8kg)、生理用品(1包)、バケツ(1個) |
緊急募金にご協力ください
被災者支援のための募金の受付を開始しました。どうぞご協力をお願いいたします。
郵便振替: 00100-9-600 加入者名: 難民を助ける会 |
- 通信欄に「東南アジア水害」とご記入ください。
- 領収証が必要な方はその旨お書きください。
【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
東京事務局 林 早苗
2010年6月より東京事務局で主にミャンマー(ビルマ)事業を担当。大学卒業後、民間企業に勤務。その後、英国の大学院で人類学を学び、国際機関勤務などを経て難民を助ける会へ。ミャンマーサイクロン「ギリ」の緊急支援、スリランカ洪水支援などに従事。(栃木県出身)