南スーダン:水汲みの苦労がなくなりました!給水システムが広がっています
難民を助ける会では、2011年7月に独立した南スーダン共和国の東エクアトリア州で、水・衛生事業を実施しています。2006年に活動を始めて以来、これまでに96基の井戸と6つの給水システムを設置しました。2011年10月に同州カポエタ南部タウン地区に完成した、5番目となる給水システムについてご報告します。
複数の部族が暮らし、人口が密集するカポエタでは、近年さらに人口が増加傾向にあり、井戸の数が不足しています。少ない井戸に多くの人が集中し、順番や汲む量についての諍いも絶えない状況でした。
そこで難民を助ける会では、タウン地区の既存の井戸に給水塔を設置し、より多くの住民に水を供給できるようにしました。太陽光パネルを利用してポンプを動かし、井戸の水を高さ6メートルにあるタンクに貯めます。そこから長さ470メートルの水道管を引き、3ヵ所の水栓所に水を供給しています。水栓所では蛇口から水を汲むことができます。
各水栓所には近隣の住民からなる管理委員会が発足しました。難民を助ける会が実施した講習会で、開閉時間などのルール作りを含めた水栓所の適切な維持管理方法や水源周辺の衛生環境の改善について委員会メンバーに考えてもらい、住民が主体的に給水システムを管理できる体制を整えました。2012年1月中には同州ブディ郡でも同様の給水システムが完成します。
「水汲みの苦労から解放されてうれしい!」水栓所を利用するロピディンさんの声
「6人家族の我が家では、毎日20リットル容器で8缶分の量の水を使います。以前は井戸で毎日長い行列で待たされるうえ、順番待ちなどで井戸端での諍いも絶えませんでした。けれども、今は水栓所の蛇口をひねるだけで大量の水が出ます。ここでは水汲みは女性や子どもの仕事。子どもたちをこうした労働から解放できてうれしい。待ち時間が少なくなるので、その分もっと学校に行かせたいです。」
※この活動は、皆さまからのご寄付に加え、ジャパン・プラットフォームの助成を受けて実施しています
【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
南スーダン・カポエタ事務所駐在 豊井 彰一
2010年6月よりスーダン・カポエタ事務所駐在。大学卒業後、民間企業に勤務。その後、青年海外協力隊員としてウガンダでの村落開発に携わり、帰国後難民を助ける会へ。(兵庫県出身)