東日本大震災:被災地の子どもたちの笑顔のために
東日本大震災によって東北の多くの保育所は倒壊や浸水などの被害を受け、その影響は今も続いています。近隣の保育園が被災したために定員35名のところに55名の園児が通っている下矢作保育園(岩手県陸前高田市)や、小学校の教室を間借りして保育を再開したものの、校庭に仮設住宅が建ち並び、園児の遊ぶ場所がない安渡保育所(岩手県大槌町)など、それぞれの保育所が今も多くの問題を抱えています。
難民を助ける会が被災地の子どもたちのために行っている、支援活動の一部をご紹介いたします。
クリスマスや節分:季節の行事にあわせて
2011年12月、保育園などへ、クリスマスプレゼントを届けました。
岩手県の安渡保育所(大槌町)、赤崎保育園(大船渡市)、米崎小学校りんご学童クラブ(陸前高田市)、ふれあい教室(陸前高田市)、下矢作保育園(陸前高田市)にお届けしたプレゼントは、同県宮古市の福祉作業所「アトリエSun」に通う障害のある方々が作ったクッキーです。安渡保育所の幼児クラスの子どもたちは、サンタクロースの格好をした難民を助ける会の職員の訪問に眼を丸くしていましたが、プレゼントを渡すと満面の笑顔に。年中・年長さんは、行儀よくサンタクロースの話を聞いて、元気にいい子でいることを大きな声で約束してくれました。
2012年2月3日の節分には、鬼に扮した当会の職員が、岩手県大槌町の大槌保育園と釜石市の釜石保育園平田分園を訪問しました。最初は緊張していた子どもたちも、一緒に豆まきをしているうちに自然と笑顔になります。自宅でも豆まきができるようにアトリエSunに作っていただいた豆まきセットを全員にお渡しました。被災地での厳しい生活が続く中、保育園へ様子を見にいらっしゃった保護者の方々のお顔もほころんでいました。
ぬいぐるみやおもちゃもお届けしています
ぬいぐるみやおもちゃを岩手、宮城、福島の保育園や福祉施設にお届けしています。
福島県伊達市の梁川(やながわ)中央保育園では、一番大きなぬいぐるみを抱きしめて「ひっこしていったおともだちとおなじくらいの背だね」と話している子がいました。放射能の影響で、梁川から他の地域へ転居していくご家族は今でも後を絶ちません。梁川の子どもたちは、屋外で遊ぶ自由が制限されていることへのストレスと、友達が遠くへ行ってしまうことへの寂しさも感じていると、先生方が話してくれました。
【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
東京事務局 堀越 芳乃
2005年4月より東京事務局で勤務。現在は東日本大震災復興支援およびスーダン事業を担当。アメリカの大学院で国際政策を学んだ後、南米ガイアナで国連ボランティアとして国際機関に勤務。その後、難民を助ける会へ(東京都出身)