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ケニア:水不足に悩む地域に安全な水を届けます

2012年04月16日  ケニア緊急支援
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現地の水事情について調査する難民を助ける会の林曜子

現地の水事情について調査する東京事務局の林曜子(2012年2月9日、キツイ県ムトモ郡)

難民を助ける会は、昨年東アフリカ地域で発生した干ばつ被災者への緊急支援として、2011年8月から11月にかけて、ケニア北東部で食料と生活物資を配付しました。また、ソマリア国境近くに位置し、干ばつの影響で大量の難民が流入したダダーブ難民キャンプでは、小学校の教室用テントの設置や学用品の提供などの教育支援を実施しました。現在は、水不足の問題を抱える東部州キツイ県ムトモ郡で、安全な水を供給する支援を行っています。難民を助ける会東京事務局でケニア事業を担当し、今年1月から1ヵ月間ケニアに出張した林曜子が報告します。

今後も起きるであろう干ばつによる被害を軽減するために

首都ナイロビ(左)からキツイ県ムトモ郡(右)までは車で片道約6時間かかります

昨年10月からの雨季にはケニア全土で例年通りの降雨量があったものの、東部州や北東州ではこれまでも干ばつが繰り返し起きており、今後も水不足に襲われるおそれがあります。東部州のキツイ県では、安全な水を家の近くで手に入れることができるのは干ばつ時でなくても人口の3割しかおらず、それ以外の人々は水を汲むために井戸や川まで片道約2kmから7kmの道のりを歩かなければなりません。

水を汲みに行くのは主に女性か子どもの仕事です。川で水を汲んでいる人々に話を聞くと、家の付近で水を手に入れることができたら、これまで水汲みに費やしていた時間で、学校に行ったり、農作物の世話をしたり、家族との時間ももっと多く持つことができると言っていました。

そこで難民を助ける会は、キツイ県ムトモ郡で安全な水を供給する事業を行うことを決め、2011年12月より調査を開始しました。

ロバに水を背負わせるキツイ県ムトモ郡の子ども

雨季には水が流れ、乾季には干上がる季節河川。女性や子どもたちが季節河川の底を掘って地面から浸み出してくる水を汲み、ロバに背負わせて家へ帰ります(2012年2月9日、キツイ県ムトモ郡)

季節河川で水を汲む女性

季節河川で水を汲む女性。家の近くでは水が手に入らないため、家からこの川まで片道3時間を歩いてきたと言います。この水を飲み水や調理、生活用水に使っています(2012年2月9日、キツイ県ムトモ郡)

雨水や川底の水ではなく、販売所のきれいな水を

パイプラインの設置作業の様子

パイプラインの設置作業には、地域住民の方々も積極的に参加しています。写真中央のジョイスさんは、「今まで丸一日掛けて、歩いて水を汲みに行っていたが、パイプラインが通ればより多くの水を家の近くで得ることができる。本当にありがたいです」と話していました(2012年4月10日、キツイ県ムトモ郡)

2012年2月からは、干ばつの際にも枯れない深い井戸から水が手に入りにくい地域に水を送るためのパイプラインと、水販売所を建設しています。パイプラインを通って運ばれてくる水は、水販売所の蛇口をひねれば出てきます。水は地域住民に安い値段で販売され、その売り上げはパイプラインや販売所の修繕費などにあてられます。

近くにはトイレも設置します。住民にトイレの使い方や手洗いの大切さなどを教える衛生教育も同時に行っていきます。また、水販売所やトイレを管理する委員会も立ち上げます。委員会メンバーは住民自身が選出し、パイプラインや水販売所などの給水システムを自分たちで管理することで、住民たちが設備を大切に、長期的に使っていくことを目指しています。

今年6月までに2本(総延長12km)のパイプラインと4つの水販売所、4つのトイレを設置する予定です。

パイプラインに使う資材を前に話し合う駐在員の高城大吾と永井萌子

水が手に入りにくい地域に水を送るパイプラインの資材を調達します。駐在員の髙城大吾(左)と永井萌子(右)(2012年3月20日、キツイ県ムトモ郡)

管理委員会のメンバーを選出している様子

水販売所の設置を予定している地域の住民に集まってもらい、管理委員会のメンバーを選出しました。中央の白いTシャツの女性が、駐在員の長島千野(2012年2月22日、キツイ県ムトモ郡)

※この活動は、皆さまからのご寄付に加え、ジャパン・プラットフォームの助成を受けて実施しています。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局 林曜子

大学でフランス語とフランスの植民地政策を学んだ後、航空会社などを経て、在外公館に勤務。困っている人に直接届く支援がしたいと、難民を助ける会へ。2010年12月よりラオス・シェンクワン事務所に駐在、2011年10月から東京事務局でケニア事業を担当。

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