東日本大震災:皆さまからのお花とまごころを被災地の方々にお届けしています
日本全国から続々と応援メッセージが届いています
難民を助ける会では、東日本大震災の復興支援活動の一つとして、「被災地に花とまごころをとどけよう」キャンペーンを行っています。震災後1年以上が経っても、未だに震災直後のような光景が残る被災地では、花も津波で流されるなどして、彩りのない場所が少なくありません。そんな被災地の方々に応援メッセージを添えて花の苗をお渡しし、少しでも明るい気持ちになっていただこうというキャンペーンの趣旨に、日本全国の方々がご賛同くださり、続々とメッセージとご寄付が届いています。今回、キャンペーンを開始した4月11日から30日までにお寄せいただいた分を、福島県と岩手県の被災地にお届けしてきました。提供したお花は、被災地の生花店と障害者福祉施設で購入しました。
受け取った方々の顔がぱっと輝きました
2012年4月27日、当会が支援する福島県相馬市内の知的・精神障害者通所施設「ひまわりの家」の利用者の皆さま15名に、花と応援メッセージをお届けしました。「ひまわりの家」では震災直後、スタッフの方々が地域の拠点として炊き出しを行いつつ、被災した障害者の方々を支えるために奔走されました。
相馬市内の生花店「花遊民」から仕入れたピンク色のカーネーションの苗を和紙で美しくラッピングし、メッセージとともに施設利用者の皆さまへおひとりずつ手渡したところ、「わぁーきれい」「嬉しい!」と利用者の皆さんの顔がぱっと輝きました。花自体が放つパワーに加え、花に添えられたメッセージカードが、受け取った方々の心を和ませてくれました。
「ひきこもりがちな母も、この花を見ればきっと笑ってくれる」
施設利用者の一人、佐々木文子さんが受け取ったのは、愛知県に住む30代の女性からの「お花が咲いたとき、皆さんに笑顔が咲きますように」というメッセージカードとお花です。「嬉しいです。部屋の中に置いていつも眺めていたいです」と、笑顔で話してくださいました。
同じく施設利用者の池内さと子さんは、原発事故により立ち入り禁止区域となった南相馬市の小高区から母親とともに避難し、現在は相馬市の小池長沼仮設住宅で生活しています。仮設に来て以来、母親は塞ぎこんでばかりとのこと。池内さんは、受け取った花を手に、「仮設に引きこもっているお母さんも、この花とメッセージを見ればもう少し笑ってくれると思います」と喜んでくれました。
「津波で庭の花もすべて流されたので、花をもらえて嬉しいです」
翌4月28日には、岩手県大船渡市の地ノ森仮設住宅に伺いました。お届けした花は、岩手県大船渡市にある知的障害者就労支援施設・慈愛福祉学園の方々が育てたマリーゴールドです。慈愛福祉学園では、施設利用者が育てた花を近所で売り生計を立てていましたが、震災後は地域住民も被災したため、販路が断たれています。
お花をお届けした中村ちや子さんは津波で自宅が壊され、現在は知的障害のある息子さんと二人での仮設暮らしです。以前は自宅の庭でたくさん花を育てていましたが、すべて津 波に流されてしまいました。「花が大好きなので、こうして届けていただきありがたいことです」と深く頭を下げてくださいました。中村さんは、私たちがお届 けを終え車で帰路につく際も、最後まで手を振って見送ってくださいました。
同じく仮設に住む黒沢昭代さんは、大阪府に住む30代の女性からの「花を見て、あなたの笑顔も一緒に咲きますように」というメッセージに、「遠くからの応援ありがとうございます」と、笑顔で答えてくれました。黒沢さんは、震災当日は高台に避難して助かりましたが、自宅は津波で全壊。その後1ヵ月近くの避難所生活を経て、現在の仮設に父親、姉とともに暮らしています。仮設は4畳半と5畳の二間のみ。収納もなく狭い中での生活ですが、「不便なこともあるけれど、なんとかやっています」。
キャンペーンは5月31日まで実施します
上記でご紹介したもの以外にも、「我々は忘れていません、被災地の皆さんのことを。これからもずっとこの花のように皆さんの傍に寄り添っていきます」(東京都・30代男性)、「あなたの住む地に希望の花が咲き、希望の香りが感じられるよう祈っています」(兵庫県・30代男性)、「皆さまの毎日に少しでも彩が添えられますように」(京都府・40代女性)、「お花がいっぱいの町になりますように」(埼玉県・40代女性)など、たくさんのメッセージをいただいています。日本全国から寄せられた応援メッセージは、確かに被災地の方々にお届けしました。
「被災地に花とまごころをとどけよう」キャンペーンは5月31日まで実施します。引き続き、たくさんの皆さまのご参加をお待ちしています。
【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
東京事務局 伊藤 美洋
広報担当