シリア:故郷を離れ、トルコに逃れる人々
シリアからトルコへの避難民は約10万人
シリア国軍と自由シリア軍の戦闘が激しさを増すシリアでは、国外に避難する人々が相次いでいます。シリアを離れた避難民の数は10月5日時点で30万人以上、そのうちトルコへの避難民は96,000人を超えています。最近日本でも報道されているように、国境付近ではシリア側からの砲弾がトルコに着弾し、トルコ軍が報復のため越境砲撃をするなど、緊張が高まっています。
キャンプ外にいるシリア避難民が支援を必要としています
AAR Japan[難民を助ける会]の大西清人と川畑嘉文は9月26日からトルコに入り、アクチャカレ、ジェイランプナル、キリスなど、各地の避難民キャンプおよび市内や近郊の村々を訪問して調査を進めています。トルコ国内の避難民キャンプは現在14ヵ所設置され、10万人近い避難民がトルコ政府から支援を受けていることがわかりました。
しかしこの他に、キャンプに入らずに街なかや郊外の村で暮らすシリア避難民がいます。戦闘の激しくなった故郷を離れてトルコ側に避難したものの、キャンプでは家族が離れ離れになってしまうのではないかという不安や、キャンプ内は警察がいてなんとなく怖いなどの理由から、キャンプには入らずに暮らしているのです。夜には戦闘を避けてトルコ側で眠り、昼間には家畜の世話や農作業のためにシリアに戻る、という生活をする人々もいます。こうしたキャンプ外の避難民には公的な支援が届いていません。
戦闘のために故郷を捨てざるを得なかったシリアの人々
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キリス県に暮らすアリさん(仮名、男性、49歳)も、シリアからトルコに逃れてきた避難民の一人です。アレッポ近くの都市から今年7月頃に避難してきました。故郷の街は空爆を受け、自由シリア軍のメンバーを除きほぼだれも住んでいないといいます。弟を含め、家族の4名を亡くしました。「シリアにいたら、24時間死と隣り合わせだ。」現在は1Kのアパートに家族15人で暮らしています。それほど大きくない町で、仕事の口はなかなか見つかりません。「平和になったら、またシリアに戻って、一からやり直したいよ。」
キャンプに入らずに暮らすシリア避難民の数は、数千人とも数万人ともいわれています。AARでは今後、ハタイ県のキャンプ外で暮らすシリア避難民を対象に、小麦粉、食用油、豆、砂糖、マカロニなどの食料品と、石けん、毛布、おむつ、タオルなどの生活必需品を配付する予定です。皆さまのあたたかいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
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【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
東京事務局 大西 清人
AAR Japan事務局次長。1989年から2年間、在トルコ日本国大使館に勤務。2004年から2年間、アフガニスタンに駐在し、地雷対策活動に従事。パキスタン大地震(2005)、レバノン空爆(2006)、フィリピン台風(2009)、パキスタン洪水(2010)、ハイチ大地震(2010)、トルコ地震(2011)で緊急支援を担当。(広島県出身)