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ケニア:約5,500人に安全な水を届ける給水施設を建設中です

2012年10月18日  ケニア緊急支援
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水不足に悩む東部州キツイ県で給水施設の建設を進めています

季節河川から水を汲む女性たち

乾季には、干上がった河川の川底を掘って湧き出た水を汲みます。ときには5メートル近く掘らないと水が出ないこともあります(キツイ県、2012年9月13日)

2011年に、過去60年で最悪と言われる大干ばつが発生した東アフリカ地域は、慢性的な水不足の問題を抱えています。

AAR Japan[難民を助ける会]は、大干ばつ発生直後の昨年8月からケニア共和国に職員を派遣し、物資配付などの緊急支援を行いました。今年2月からは水不足が続く東部州キツイ県ムトモ郡で、安全な水を供給する事業を実施しています。干ばつからの復興を支援するとともに、将来も起こりうる干ばつの被害を軽減するため、給水施設の建設を進めています。

全長17kmにもおよぶパイプラインを設置

AARが建設中の給水施設

図左端の井戸から、ンドゥドゥネを経由してンザラニに延びる5kmのパイプラインと、トゥビラに延びる8kmのパイプラインを建設します。トゥビラ側のパイプは、トゥビラから折り返してマケレへも水を届けます

AARが建設している給水施設の水源は、干ばつ時にも枯れない深さ約50mの井戸です。この井戸から、全長のべ17kmにもおよぶ2本の長いパイプラインを敷き、パイプラインの途中には一時的に水を溜める2基の給水塔を建設します。パイプラインは村の中心地や学校などの人の集まる場所に延び、新設する4ヵ所の水販売所につながっています。全ての施設が完成すると、周辺の地域に暮らす約5,500人が、水販売所から安全な水を手に入れられるようになります。水販売所の売り上げは、給水施設の維持管理のために使われます。

まず、水源となる井戸から、パイプを敷くための深さ約60cmの溝を掘ります。この作業には、地元の人々を積極的に雇用しました。水を届ける村まで溝を掘り進めた後は、パイプを接続しながら敷設していきます。パイプラインの建設と並行して、給水塔や水販売所、トイレの建設も進め、9月末までにほぼすべての工事が完了しました。

パイプ同士の接続部分は合計1,500ヵ所以上にもなります。現在は11月上旬までに全ての水販売所が運用を開始できるよう、パイプ接続部分の水漏れの修理を進めています。

現地の建設業者と協議する駐在員の斎藤文司と東京事務局の五十嵐豪

現地の建設業者と話し合いながら工事を進めてきました。ケニア駐在員の斎藤文司(右から二人目)と東京事務局の五十嵐豪(左から2人目)(2012年9月25日)

水給水所にて水の流れを確認する駐在員の高城大吾

マケレの水販売所まで水が届きました。地域の人々は運用を心待ちにしています(通水を確認するケニア駐在員の高城大吾、2012年10月11日)

給水施設は地域住民が自分たちで管理していきます

子どもたちに手洗いの大切さなどを教える水管理委員会のメンバー

周辺地域に住む子どもたちに手洗いの大切さなどを教える水管理委員会のメンバー(2012年6月22日)

AARは各水販売所の隣に手洗い場と水浴び場付きのトイレも建設し、給水施設の整備とともに、衛生環境の改善に取り組んでいます。AARが活動している地域には元々公衆トイレはなく、手洗いの大切さなど衛生に関する知識が広まっていませんでした。そこでAARは、まず地域に暮らす人々約20名からなる水管理委員会を立ち上げ、給水施設の維持管理に関する研修とともに、衛生教育の研修を4日ずつ行いました。そのあとは水管理委員会のメンバーが、それぞれの水販売所の近くに暮らす住民たちへ、研修で学んだことを伝えています。

完成した給水設備も、水管理委員会のメンバーを中心に、地元の人々が自分たちで管理していきます。繰り返し起こる干ばつに備えて、支援の効果が次の世代まで続くことを目指しています。

完成した給水塔

完成した給水塔。水約50トンを一時的に溜めることができます(2012年9月15日)

完成したトイレと手洗い場

公衆トイレに備え付けた手洗い場へも、パイプラインを通って水が運ばれてきます(2012年9月25日)

※この活動は、皆さまからのご寄付に加え、ジャパン・プラットフォームの助成を受けて実施しています。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局 森田 智彦

大学院卒業後、民間企業を経て在ジンバブエ日本国大使館に派遣員として2年間勤務。帰国後、2012年5月よりAARへ。6月よりケニア事業担当

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