ケニア:約5,500人に安全な水を届ける給水施設を建設中です
水不足に悩む東部州キツイ県で給水施設の建設を進めています
2011年に、過去60年で最悪と言われる大干ばつが発生した東アフリカ地域は、慢性的な水不足の問題を抱えています。
AAR Japan[難民を助ける会]は、大干ばつ発生直後の昨年8月からケニア共和国に職員を派遣し、物資配付などの緊急支援を行いました。今年2月からは水不足が続く東部州キツイ県ムトモ郡で、安全な水を供給する事業を実施しています。干ばつからの復興を支援するとともに、将来も起こりうる干ばつの被害を軽減するため、給水施設の建設を進めています。
全長17kmにもおよぶパイプラインを設置
AARが建設している給水施設の水源は、干ばつ時にも枯れない深さ約50mの井戸です。この井戸から、全長のべ17kmにもおよぶ2本の長いパイプラインを敷き、パイプラインの途中には一時的に水を溜める2基の給水塔を建設します。パイプラインは村の中心地や学校などの人の集まる場所に延び、新設する4ヵ所の水販売所につながっています。全ての施設が完成すると、周辺の地域に暮らす約5,500人が、水販売所から安全な水を手に入れられるようになります。水販売所の売り上げは、給水施設の維持管理のために使われます。
まず、水源となる井戸から、パイプを敷くための深さ約60cmの溝を掘ります。この作業には、地元の人々を積極的に雇用しました。水を届ける村まで溝を掘り進めた後は、パイプを接続しながら敷設していきます。パイプラインの建設と並行して、給水塔や水販売所、トイレの建設も進め、9月末までにほぼすべての工事が完了しました。
パイプ同士の接続部分は合計1,500ヵ所以上にもなります。現在は11月上旬までに全ての水販売所が運用を開始できるよう、パイプ接続部分の水漏れの修理を進めています。
給水施設は地域住民が自分たちで管理していきます
AARは各水販売所の隣に手洗い場と水浴び場付きのトイレも建設し、給水施設の整備とともに、衛生環境の改善に取り組んでいます。AARが活動している地域には元々公衆トイレはなく、手洗いの大切さなど衛生に関する知識が広まっていませんでした。そこでAARは、まず地域に暮らす人々約20名からなる水管理委員会を立ち上げ、給水施設の維持管理に関する研修とともに、衛生教育の研修を4日ずつ行いました。そのあとは水管理委員会のメンバーが、それぞれの水販売所の近くに暮らす住民たちへ、研修で学んだことを伝えています。
完成した給水設備も、水管理委員会のメンバーを中心に、地元の人々が自分たちで管理していきます。繰り返し起こる干ばつに備えて、支援の効果が次の世代まで続くことを目指しています。
※この活動は、皆さまからのご寄付に加え、ジャパン・プラットフォームの助成を受けて実施しています。
【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
東京事務局 森田 智彦
大学院卒業後、民間企業を経て在ジンバブエ日本国大使館に派遣員として2年間勤務。帰国後、2012年5月よりAARへ。6月よりケニア事業担当